急増する日本語学校 あっせん業者に頼り留学生募集

急増する日本語学校 あっせん業者に頼り留学生募集
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全国で急増する日本語学校について、国が初めて実態調査を行った結果、調査対象となったすべての学校が海外のあっせん業者に頼って留学生を募集し、その半数近くはこの数年で定員を1.5倍以上に急増させていることがわかりました。専門家は「留学生の中には業者の仲介によって多額の借金を抱え、違法に長時間のアルバイトをするケースもあり、日本語学校は来日前に適切に情報提供をすべきだ」と指摘しています。
政府が留学生を積極的に受け入れる計画を進める中、受け入れ先となる日本語学校も全国で急増し、その数はことし過去最高の643校に上っています。一方で去年、犯罪で検挙された外国人の5分の1を留学生が占めるなど、日本語学校などに通う留学生の犯罪も増えています。

こうした状況を受けて総務省がことし7月、全国の日本語学校から30校を抽出し、初めて実態調査を行ったことがわかりました。

その結果、すべての学校が海外の留学あっせん業者に手数料を支払って留学生を募集していたほか、半数近くの学校がこの数年で留学生の定員を1.5倍以上に急増させ、中には4年間で定員を3.5倍に増やしている学校もあったことがわかりました。

また30校のうち犯罪で検挙された留学生がいる15校を調べたところ、専任教員の数が国の基準を満たさない学校もあり、急増する留学生に教育体制が追いついていないケースが多く見られたほか、日本語能力試験の合格率も入学者の4分の1程度と低い傾向だったということです。

一方、週28時間以内に限って認められている留学生のアルバイトについて、日本語学校は法律に違反しないよう内容を把握する必要がありますが、学校側からは「留学生の自己申告がベースとなっていて、アルバイトの管理には限界がある」などという意見が寄せられたということです。

こうした調査結果を受けて、法務省や文部科学省などの関係省庁は、留学生の審査の在り方などを検討することにしています。

ベトナム人犯罪急増 在留資格は「留学」が最多

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察が検挙した来日外国人による犯罪は中国人が4620件、ベトナム人が3177件などとなっていて、ベトナム人による犯罪は10年前と比べ2倍以上に急増しています。

検挙された外国人を在留資格別に見ますと「留学」が全体の22%にあたる2269人と最も多く、10年前と比べおよそ15%増えています。
このうちベトナム人では留学生の検挙が5年前の8倍以上の1208人に急増し全体のおよそ半数に上っています。
またことしに入って半年間の来日外国人による犯罪の検挙件数ではベトナム人が中国人を抜いて国別で最も多くなっています。

ことし6月には東京都内でベトナム人2人が留守中の住宅に侵入し、ダイヤの指輪などを盗んだとして逮捕・起訴されました。警視庁によりますとこの2人を含むベトナム人のグループは全国で500件以上の空き巣を繰り返し、被害額は3億円を超えるということです。

借金をして来日した留学生は

ことし7月に来日したベトナム人の23歳の留学生の男性です。東京都内の日本語学校に通いながら飲食店でアルバイトをしています。
男性によりますと、来日前にベトナムの留学あっせん業者に1年分の学費の前払いや在留資格を得るための書類作成費などとして支払った費用は日本円にしておよそ135万円で、親が銀行から借金をして工面したということです。

日本への留学生は週28時間以内であればアルバイトが認められていて、男性は借金の返済や今後の学費の支払いのため週に5日、時給1050円のアルバイトを午前中から1日5時間程度したあと、午後からは日本語学校に通っているということです。
また生活費も切り詰め、6畳1間の部屋に4人で共同生活していますが、月12万円ほどのアルバイト代では借金の返済も進まないということです。

男性は「機械の仕事などに興味があり日本の企業に就職するために留学しました。日本はベトナムより給料が高く魅力的だと思い来日しましたが、借金も返せないうえ、今後の学費も稼げず生活がきついです。週28時間を超えて働くのは違法だとわかっていますが、このままだと借金が返せるかどうか不安です」と話しています。

ベトナムのあっせん業者は

ベトナムではここ数年、日本への留学を希望する若者が急増しています。
経済成長が進む中国からの留学生が減少傾向にある中、日本国内の日本語学校などで学ぶベトナム人留学生はことし6月の時点で6万9000人余りと、5年前の8倍近くに上り、毎年、およそ1万人ずつ増えています。

留学生急増の背景には、日本語を身につければ、高収入の仕事につけると考えられていることや、留学生は週28時間以内であれば、アルバイトとして働くことが可能になっているため、日本語を学ぶだけでなく、お金を稼ぐこともできると考えられていることが挙げられます。

それに伴いベトナムでは、提携先の日本語学校などに留学生を紹介する「留学あっせん業者」も急増しています。「留学あっせん業者」は、留学を希望する人から1年分の授業料や寮の家賃のほか、書類の作成費などとして、100万円を超える現金を受け取るケースが多いということです。そして授業料の送金や留学に必要な手続きを代行し、留学生を紹介した日本語学校からは1人につき、およそ10万円程度の紹介料を受け取っているということです。
ベトナムの平均月収は2万円程度のため留学生の中にはあっせん業者に費用を支払うために多額の借金をするケースもあるということですが、業者の中には「日本でアルバイトをすれば大金が稼げるので借金はすぐに返済できる」などと実態とかけ離れた宣伝をする業者もいるということです。

去年まで、留学のあっせんをしていたという元業者は「留学生をたくさん紹介できるあっせん業者は日本語学校から1人当たり10万円から15万円の紹介料を受け取っている。留学あっせんは誰でもできるので競争が激しく多くの若者を集めるためには何でもやる」と話しています。そのうえで「留学あっせん業者は、『アルバイトは掛け持ちできる』とか『仕事はすぐに見つかり週28時間より多く働いても誰も気がつかないし、日本語学校も知らないふりをしてくれる』などと強調して勧誘している」などと証言しました。

専門家「国としての対策必要」

外国人留学生の問題に詳しい神戸大学の斉藤善久准教授は「人手不足の日本の社会が安い労働力を必要としていることが背景にあるのではないか。日本人は働きに来てくれないから外国人を使いたいという需要を見越した結果だと思う」と指摘しています。

また、斉藤准教授は「勉強目的で来日している留学生がいる一方で、出稼ぎ目的の学生もいる。留学生に認められている週28時間以内のアルバイトでは大して稼げないことをわかっていながら来日前にきちんと説明していない現地のあっせん業者の存在も大きく影響している」と話しています。

そのうえで「留学生の中には業者の仲介によって多額の借金を抱え、違法に長時間のアルバイトをするケースもある。国の方針としてたくさんの留学生を受け入れようとしている以上、国の責任で支援すべきだ。留学生の経済状況について、来日前によりしっかりと審査するなど入国を厳しくすることも大事だが、日本語学校は来日前から日本で必要な学費や生活費、また、アルバイトではどれくらいの収入が見込めるのか、きちんと情報提供すべきだ」と話しています。

急増する日本語学校 あっせん業者に頼り留学生募集

全国で急増する日本語学校について、国が初めて実態調査を行った結果、調査対象となったすべての学校が海外のあっせん業者に頼って留学生を募集し、その半数近くはこの数年で定員を1.5倍以上に急増させていることがわかりました。専門家は「留学生の中には業者の仲介によって多額の借金を抱え、違法に長時間のアルバイトをするケースもあり、日本語学校は来日前に適切に情報提供をすべきだ」と指摘しています。

政府が留学生を積極的に受け入れる計画を進める中、受け入れ先となる日本語学校も全国で急増し、その数はことし過去最高の643校に上っています。一方で去年、犯罪で検挙された外国人の5分の1を留学生が占めるなど、日本語学校などに通う留学生の犯罪も増えています。

こうした状況を受けて総務省がことし7月、全国の日本語学校から30校を抽出し、初めて実態調査を行ったことがわかりました。

その結果、すべての学校が海外の留学あっせん業者に手数料を支払って留学生を募集していたほか、半数近くの学校がこの数年で留学生の定員を1.5倍以上に急増させ、中には4年間で定員を3.5倍に増やしている学校もあったことがわかりました。

また30校のうち犯罪で検挙された留学生がいる15校を調べたところ、専任教員の数が国の基準を満たさない学校もあり、急増する留学生に教育体制が追いついていないケースが多く見られたほか、日本語能力試験の合格率も入学者の4分の1程度と低い傾向だったということです。

一方、週28時間以内に限って認められている留学生のアルバイトについて、日本語学校は法律に違反しないよう内容を把握する必要がありますが、学校側からは「留学生の自己申告がベースとなっていて、アルバイトの管理には限界がある」などという意見が寄せられたということです。

こうした調査結果を受けて、法務省や文部科学省などの関係省庁は、留学生の審査の在り方などを検討することにしています。

ベトナム人犯罪急増 在留資格は「留学」が最多

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察が検挙した来日外国人による犯罪は中国人が4620件、ベトナム人が3177件などとなっていて、ベトナム人による犯罪は10年前と比べ2倍以上に急増しています。

検挙された外国人を在留資格別に見ますと「留学」が全体の22%にあたる2269人と最も多く、10年前と比べおよそ15%増えています。
このうちベトナム人では留学生の検挙が5年前の8倍以上の1208人に急増し全体のおよそ半数に上っています。
またことしに入って半年間の来日外国人による犯罪の検挙件数ではベトナム人が中国人を抜いて国別で最も多くなっています。

ことし6月には東京都内でベトナム人2人が留守中の住宅に侵入し、ダイヤの指輪などを盗んだとして逮捕・起訴されました。警視庁によりますとこの2人を含むベトナム人のグループは全国で500件以上の空き巣を繰り返し、被害額は3億円を超えるということです。

借金をして来日した留学生は

ことし7月に来日したベトナム人の23歳の留学生の男性です。東京都内の日本語学校に通いながら飲食店でアルバイトをしています。
男性によりますと、来日前にベトナムの留学あっせん業者に1年分の学費の前払いや在留資格を得るための書類作成費などとして支払った費用は日本円にしておよそ135万円で、親が銀行から借金をして工面したということです。

日本への留学生は週28時間以内であればアルバイトが認められていて、男性は借金の返済や今後の学費の支払いのため週に5日、時給1050円のアルバイトを午前中から1日5時間程度したあと、午後からは日本語学校に通っているということです。
また生活費も切り詰め、6畳1間の部屋に4人で共同生活していますが、月12万円ほどのアルバイト代では借金の返済も進まないということです。

男性は「機械の仕事などに興味があり日本の企業に就職するために留学しました。日本はベトナムより給料が高く魅力的だと思い来日しましたが、借金も返せないうえ、今後の学費も稼げず生活がきついです。週28時間を超えて働くのは違法だとわかっていますが、このままだと借金が返せるかどうか不安です」と話しています。

ベトナムのあっせん業者は

ベトナムではここ数年、日本への留学を希望する若者が急増しています。
経済成長が進む中国からの留学生が減少傾向にある中、日本国内の日本語学校などで学ぶベトナム人留学生はことし6月の時点で6万9000人余りと、5年前の8倍近くに上り、毎年、およそ1万人ずつ増えています。

留学生急増の背景には、日本語を身につければ、高収入の仕事につけると考えられていることや、留学生は週28時間以内であれば、アルバイトとして働くことが可能になっているため、日本語を学ぶだけでなく、お金を稼ぐこともできると考えられていることが挙げられます。

それに伴いベトナムでは、提携先の日本語学校などに留学生を紹介する「留学あっせん業者」も急増しています。「留学あっせん業者」は、留学を希望する人から1年分の授業料や寮の家賃のほか、書類の作成費などとして、100万円を超える現金を受け取るケースが多いということです。そして授業料の送金や留学に必要な手続きを代行し、留学生を紹介した日本語学校からは1人につき、およそ10万円程度の紹介料を受け取っているということです。
ベトナムの平均月収は2万円程度のため留学生の中にはあっせん業者に費用を支払うために多額の借金をするケースもあるということですが、業者の中には「日本でアルバイトをすれば大金が稼げるので借金はすぐに返済できる」などと実態とかけ離れた宣伝をする業者もいるということです。

去年まで、留学のあっせんをしていたという元業者は「留学生をたくさん紹介できるあっせん業者は日本語学校から1人当たり10万円から15万円の紹介料を受け取っている。留学あっせんは誰でもできるので競争が激しく多くの若者を集めるためには何でもやる」と話しています。そのうえで「留学あっせん業者は、『アルバイトは掛け持ちできる』とか『仕事はすぐに見つかり週28時間より多く働いても誰も気がつかないし、日本語学校も知らないふりをしてくれる』などと強調して勧誘している」などと証言しました。

専門家「国としての対策必要」

外国人留学生の問題に詳しい神戸大学の斉藤善久准教授は「人手不足の日本の社会が安い労働力を必要としていることが背景にあるのではないか。日本人は働きに来てくれないから外国人を使いたいという需要を見越した結果だと思う」と指摘しています。

また、斉藤准教授は「勉強目的で来日している留学生がいる一方で、出稼ぎ目的の学生もいる。留学生に認められている週28時間以内のアルバイトでは大して稼げないことをわかっていながら来日前にきちんと説明していない現地のあっせん業者の存在も大きく影響している」と話しています。

そのうえで「留学生の中には業者の仲介によって多額の借金を抱え、違法に長時間のアルバイトをするケースもある。国の方針としてたくさんの留学生を受け入れようとしている以上、国の責任で支援すべきだ。留学生の経済状況について、来日前によりしっかりと審査するなど入国を厳しくすることも大事だが、日本語学校は来日前から日本で必要な学費や生活費、また、アルバイトではどれくらいの収入が見込めるのか、きちんと情報提供すべきだ」と話しています。