PKO保険料は自衛隊員の自腹!? 駆けつけ警護とPKFで命を懸けても雀の涙
「自衛隊ができない20のこと 08」
2016年11月15日、南スーダン派遣部隊に現地のホテルに取り残された邦人を救出すべく駆けつけ警護の新任務が閣議決定されました。市街地まで拡大した南スーダンの大統領派と副大統領派との戦闘が首都ジュバまで拡大。現地に国連職員やNGO職員が取り残されていました。自衛隊機が日本から派遣され、ホテルから空港までは陸上自衛隊が輸送し、無事邦人を救出したことをおぼえていることでしょう。
当時、国連平和維持活動をしていた中国人隊員2名が殺害され、5名が負傷していました。JICA(国際協力機構)の47人の在留邦人と大使館員を自衛隊は救出し、ジプチにある海上自衛隊の基地にまで輸送しました。危険と隣り合わせの危険な任務だったのです。
ホテルからも銃撃戦の音が聞こえる状況で、当時はホテルにいるNGO職員が不安をつづったツイッターが現場の緊迫感を伝えていました。ホテルの中にまでは武装した集団が入ってこないだろうと思うけれど、一歩外へでればどうなるかわからない状態でした。民間航空機は危険すぎて離発着できないため、自衛隊機が迎えにくるといっても、空港までどうやって危険な市街地を抜けてたどり着くのかが大問題でした。
PKO活動中に武装集団に活動を妨害されるようなときの武器使用は「事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」とあります。ある一定の武器使用は許されているのですが、基本的に相手が撃ってこないと自衛隊から初弾を撃つことはありません。
まず、だれかが撃たれてからの対処になってしまうのです。市街地戦で込み入った場所での銃撃戦にまきこまれれば、跳弾が当る可能性もありますから、相手に狙われなくても跳ね返った銃弾で負傷する場合もあるのです。戦闘で初弾を撃つことができない。先制攻撃を受けて、仲間が撃たれてから初めて攻撃することができるわけです。普通の軍隊よりも隊員が負傷する可能性は高いのです。
駆けつけ警護で邦人を救出するようなときも武器使用は認められますが、まず相手が撃ってきてからです。そのあたりは変わりません。
この駆けつけ警護のあと、防衛省は、陸上自衛隊員の殉職や重度障害に対しての見舞金の限度額を、それまでの6000万円から9000万円へと引き上げました。それほど駆けつけ警護の新任務が危険だと認識したということです。賞恤金というのは任務中に死亡または重度障害になった人のなかで、特別な功労があった人に送られる見舞金や弔慰金のようなものです。
ここで大事なことを確認します、賞恤金の最高金額9000万円は死亡時に必ずでるというものではないのです。死亡した隊員のなかで特別な功労のあった人に特別に出せる最高額が9000万円になったという話です。
偶発的な事故や流れ弾にあたったような場合どうなるのかは謎です。
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