少女を描いた絵画作品が、子どもを性的対象することを美化しているーー。そうした理由から、作品を撤去するよう美術館に求めるネット署名が、アメリカで1万人の賛同を得ている。
撤去が求められているのは、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されている、フランスの画家・バルテュス(1908〜2001年)の作品「夢見るテレーズ」(1938年)だ。
バルテュスは、少女をモチーフにした作品を多く残していることで知られている。ここで描かれているのも、やはり少女だ。
椅子に座った彼女はリラックスした表情で机の上に片足をあげており、スカートがめくれて下着が見えている。その横では、猫がミルクをなめている様子も。
モデルとなったテレーズは、バルテュスの近所に住んでいた。1936〜39年の3年間に描かれた11作品に猫や兄弟とともに登場しており、これは12〜13歳ごろのものとみられている。
「作品を見てショックを受けた」
この作品の撤去を求めるネット署名が始まったのは、12月1日のことだ。
「子どもを性対象にすることを美化」しているとして、ギャラリーからの撤去や、絵の説明に「一部の人は不快に感じることもある」などの文脈を加えることを求めている。
キャンペーンを始めた女性は、このように賛同を呼びかけている。
「1週間前にメトロポリタン美術館に行ったとき。私は、性的に挑発的なポーズを取る少女を描いたこの作品に、ショックを受けました。美術館側が誇らしげにこのような作品を掲げていることに、戸惑いすら覚えたのです」
2013年にメトロポリタン美術館で開催されたバルテュスの展覧会には、よりあからさまな小児性愛的な作品があったが、女性が求めるような説明文が加えられていた、とも指摘。
さらに「これはあくまで検閲ではなく、破壊を求めているわけではない」とも強調している。
「写真だったら児童ポルノ」
署名が始まった背景には、アメリカで相次ぐ著名人らによる性暴力やセクシャル・ハラスメント被害の告発がある。ネット上では「自分も被害者」を意味する「#Metoo」も拡散している。
女性はこの点にも言及し、こうした状況下で何の説明もなしに展示をすることが、「意図的でなくとも、美術館側が子どもの性的対象化を支持することにつながる」としている。
目標を1万2千筆にした署名には、12月9日までに1万1千を超える賛同が集まっている。たとえば、こんなコメントとともに。
「これが写真だったら児童ポルノになるはずです。性的対象とされた子どもたちに、芸術性はありません」
「美術館側は、少女たちは力もなく、同意もしていなかったということに気がつくべきではないでしょうか」
「展示をやめないのが正しい」という意見も
一方で、批判の声もある。
日本のTwitter上では「美術作品はそれが作られた時代の中で見るべきでは」「絵画作品に少女を性的対象にする意図があったとは思えない」という意見が出ている。
また、「署名で言っていることも正しいが、表現の意思を圧力から守るため、美術館も展示をやめないのが正しい」といった声もあった。なかには、こうした議論が巻き起こったことにより、作品が蘇ったという人も。
「もはや過去のアートの亡骸としてまったり消費されていたあの絵を『生きたアート』として再び現代に蘇らせたとさえいえる」
AFP通信によると、メトロポリタン美術館側は、作品の撤去や解説文の修正はしない方針だという。
BuzzFeed Newsでは【撤去された「朝鮮人強制連行追悼碑」 問われた展示の「中立性」とは】という記事も掲載しています。
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