by コヤマタカヒロ(2013/11/13 07:00)
ちょっと前に引っ越しをしたことで、最寄り駅が遠くなってしまった。そこで購入したのが電動アシスト自転車だ。自宅エリアはいわゆる多摩丘陵の一部で、ちょっとの移動でもアップダウンがあり、通常の自転車では普段運動をほとんどしていない40代の男には厳しかったことが理由だ。
購入したヤマハの「PASナチュラL デラックス」は、日本初の「トリプルセンサーシステム」を搭載した電動アシスト自転車。8.7Ahのバッテリーを搭載し、オートエコモードプラスで、約45km、強モードでは約32kmの走行ができる。
トリプルセンサーシステムは、車速を感知する「スピードセンサー」、ペダルを踏み込む力を感知する「トルクセンサー」、ペダルを回す速度を感知する「クランク回転センサー」の3つのセンサーで、快適な走行をアシストする機能だ。
オンラインショップでの価格帯はほぼ変わらず、送料に若干の差があった。ただし、アマゾンなど、自転車専門店以外では、防犯登録ができないことも多く注意が必要だ。なお、そのような場合は、最寄りの自転車店など「自転車防犯登録所」に購入した持ち込むことで防犯登録ができる。基本的には自店で購入していない自転車でも、「自転車防犯登録所」なら防犯登録をしてもらうことができる。
約1カ月ほど、最寄りの急行駅までの片道20分を連日走行したのでその使用感をご紹介しよう。
メーカー | ヤマハ発動機 |
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製品名 | PASナチュラL デラックス 2013年モデル カラメルブラウン |
希望小売価格 | 110,000円 |
購入場所 | アウトレット自転車館 |
購入価格 | 93,500円 |
アシスト操作は簡単、装備も充実
「PASナチュラL デラックス」は、いわゆるママチャリと言われるスタイルの自転車だ。デザインがスタイリッシュなのが特徴で、特にリアキャリアまで、ボディと同じカラーリングを採用していることや、大型のテリーサドルなどの採用が特徴だ。
自転車としての装備は、内装3段変速ギアを搭載。LEDバッテリーランプや、LED1灯ソーラーテールランプなども標準搭載しており、購入後に何らかのアイテムを追加する必要はなかった。
ただし、3段変速ギアはギア比の設定が非常に軽めの印象で、大人の男性なら、よほどの急坂でもない限りもっとも重い「3」以外を使うケースは少ないだろう。特に「1」は、ペダルが空回転しているかと勘違いするぐらい軽く、その分、加速性も非常に低い。
電動アシストの制御は、ハンドル左側に搭載する「3ファンクションメーター搭載メインスイッチ」で行なう。電源ボタンを押すことで、アシストが駆動する仕組みだ。
電源オン時は、自動的に「標準」モードで起動。これは他のモードで利用していて、電源をオフにした場合も、「標準」モードで立ち上がるようになっていた。他社の電動アシスト自転車では走行モードを記録するものもあるが、走り出し時に「強」モードだと加速が非常に強く、危険性が高いため、この設定は安全に考慮していると感じられた。
メーターの表示は、バッテリー残量のパーセント表示、残りの走行距離、そして走行時の時速を切り替えることができる。残りの走行距離はそのとき選択している走行モードに合わせて切り替わるため、今利用しているモードでどれくらい走れるのかがわかる。
電動アシスト自転車を日常的に利用するうえで、気になるのが防犯対策だ。「PASナチュラL デラックス」では、1キー2ロックに対応。後輪にサークル錠を装備しており、付属のディンプルキーでロックできる。この時、同時にハンドルがロックされる仕組みだ。このため、何らかの方法で、後輪のサークル錠を解除されたとしても、ハンドルを切ることはできない。
もちろん、この鍵だけで問題なしというわけではないが、外出先などでも素早くロックできるのはうれしい。
ゆっくり走ればしっかりアシスト
そもそも電動アシスト自転車は、言葉の通り走りを「アシスト」するものだ。現在、道路交通法により、フル電動の自転車は禁止されており(原付扱いになる)、電動アシスト自転車も多くの規制がある。このため、電動アシスト自転車の登場時は、そのパワーのなさやバッテリー持続時間の短さなどで、あまり評価されなかった。しかし、2008年に道交法が改正され、新アシストレギュレーションに準拠した電動アシスト自転車が登場したことで、使い勝手は大きく変わった。
旧基準では、時速10kmでの走行時に電動アシストのパワーは「1:1」に規制されていた。しかし、新基準ではこれが「1:2」にパワーアップしている。このアシスト比率は、時速24kmまでの間になだらかに下がっていき、時速24kmを越えた時点でアシストはゼロとなる。
走行時の体感では、強モードでも時速15~18kmを越えたあたりでアシスト感が大きく下がり、20kmを越えるとほぼ感じなくなった。
つまり、電動アシスト自転車は自力で頑張って漕げば漕ぐほど、アシストパワーが下がっていくということだ。では実際に走った感想をご紹介していこう。
自宅から駅までのルートは、Googleマップのルート検索では徒歩で35分という距離。実際はかなりアップダウンがあるため、もっとかかる印象だ。そこを電動アシスト自転車で走行する。
平地は標準モードで走行。時速10km台後半の速度で快適に走行できる。そもそもスピードが出ているため、強モードにしてもそれほどアシスト力に差は感じなかった。しかし、オートエコモードにするとほぼアシスト力はゼロに近づいたのか、非常に重くなった。下りなら問題ないが、わずかでも上り勾配だとつらそうだ。
坂に入るとアシストを「強」に切り替える。走行スピードが下がると非常に力強いアシストで、グイグイと引っ張ってくれる感覚だ。
コースには坂を下ったところが交差点になっていて、さらに上りといった場面が多く、そういった場面では、上り坂を下りの勢いを使うことなく上ることになる。電動アシスト自転車はそういう場面にこそ強かった。
先に紹介したとおり、電動アシスト自転車は走行速度が遅ければ遅いほど、アシスト力が強くなる。体感上は時速15km以下での上りは、自分が漕いでいるパワー以上にアシストしてくれる印象だ。逆に立ちこぎをして、自分でしっかりと漕ぐと、アシスト力は下がってしまう。
つまり、緩やかに漕ぎ、スピードを出しすぎないことが、適度なアシストが得られ、結果として快適に走行できるということだ。
頑張る必要がないから続けられる
電動アシスト自転車に乗って感じたのは頑張る必要がないということだ。通常の自転車のようにしっかり漕ぎすぎると、せっかくのアシスト力は規制によりパワーが下がり、ただの重たい自転車を漕いでしまうことになる。
また、自転車走行は日常運動として優れているものの、急な坂を上る運動は負荷が高すぎて、運転者も疲労してしまいがちだ。
電動アシスト自転車は適度な運動ができ、さらに自転車にとってつらい坂道は、アシストの力で快適に上れるのが一番の魅力だといえる。標準モードで走行している分には、それなりの運動になっていることも体感できた(もともとの運動量がほぼゼロのため)。
電動アシスト自転車があれば、毎日片道20分の自転車通勤も快適に楽しめそうだ。