ややキム先生には同情するべき部分も大と言えども、経歴詐称の問題については一応記述しておきます。



 もともとは、中韓の日本政府に対するスパイ活動や、日本の大企業などに対する、もっぱら技術への産業スパイの問題の延長線上ではあるわけですけれども、このところ、日本の産業政策、とりわけ情報通信に関わる高度な政策議論や技術動向について、詳細な資料が中国、韓国のネットに一部流出するという騒ぎが立て続けにありました。



Kim_jung_hoon_120529http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:46c__mNx_IgJ:securityblog.jp/interview/4592.html+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp



 どうもなあ、と思っておったわけなんですけれども、とりあえず関係する会合に出席している委員を片っ端から調べていったところ、問題のありそうな人物が複数出てまいりまして、そのうちの一名がキム先生であり、すべての学籍や論文を取り寄せ、指導教官に対しても問い合わせをし、経歴に大きな詐称が見つかったために、面白半分でブログに書き綴る次第です。



 キム先生本人とも直接お電話をしまして、詐称の内容については認めるお話をしておられますので、問題となる部分を改め、再掲載する方向で調整はしております。まあ、明日にでもメルマガでまた号外か! と言われつつ取り上げることにはなろうかと思いますけれども…。



肩書き修正

http://kimkeio.typepad.jp/blog/2012/05/%E8%82%A9%E6%9B%B8%E3%81%8D%E4%BF%AE%E6%AD%A3.html




 一番大きい部分は、ハーバード大学客員教授とされている部分については、彼自身がブログで修正している通り、"visiting scholar"つまり客員研究員です。ただし、在籍している期間の中で認められる査読論文は現段階では確認できません。先月、電話で「お前んところにおるキムさん言う客員教授やけどな」「誰やねんそれ」という問答を経ての、堂々たる経歴誤認でございます。



 いろいろと武士の情けの部分もありますので詳細は伏せますけれども、「それってさあ、実質四ヶ月間の在籍でも客員研究員名乗ってええもんなの」とか「つーか、上席研究員はちゃうやろ。うちの大学はそんな期間で業績も出してへんやつにそんなん名乗らせたりせえへんで」などといった生々しいご回答が得られ、欧州連合標準化委員会に至っては「2005年だかに機構改革したからそれより前のことはよう分からへんけど、うちらヨーロッパの標準化団体やさかい、なんで極東の半島から出てきた奴に委員させなあかんの?」とマジレスされてしまいました。電話口で、こちらが固まってしまうわけですねえ…。



 キム先生が直接仰るには、慶應のKMDに入った2004年以降については、どうもjob descriptionの中で「学術イベントの開催やマネジメントなど、いわゆる研究活動外のところを行う内容で合意していた」とのことですので、まあそうであるならば、確かに2004年以降のキム先生の論文が探しても見つからないのは分からないでもないわけですが。



 ただ、そのキム先生が、2004年にどうやって慶應の社会人大学院に潜り込んだお入りになられたかというあたりは、非常に興味深い証言がいっぱい出てくるわけですね。そのまんま引用しますとこんな感じ。



[引用]DMC後期、DMC運営が暗礁に乗り上げて、村井さんなどが参画するに至ったタイミング。KMD側は、イチヤ・菊池が身元引受人になることが、DMC終了時に決まっていました



 ということで、中村伊知哉せんせと菊池尚人せんせが事実上の身元引受人として、その当時は正体の良く分からないはずだったキム先生を慶應に引き入れていることになります。話では、国領二郎せんせの件も出てきておりますね。どう転ぶのか、私も固唾を飲んで腰を振りたいと思います。



Kazari_120529



 キム先生は率直にお話を伺いましたが、Naverという韓国のインターネット関連会社で政府との係わり合いが深いと言われている会社の諮問委員をされているとのことで、我が国の政府中枢の政策決定に関する審議会等に出席することで利害関係が相反する可能性についてどお考えですか、と訊きましたところ、月に一回、Naverのサービスを利用者の立場から品評するという仕事に過ぎず、資金を得ていたわけではない、とのご回答でありました。そうですか。真摯にご回答いただきまして、ありがとうございました。



 なお、現在キム先生はGREEのソーシャルゲーム利用環境やリアルマネートレード(RMT)防止施策などについて、 議論してもらうアドバイザリーボードの有識者、それも議長に就任しておられるとのことです。おそらく青柳さんが依頼したんだと思いますが、この状況、この経緯で凄まじくピンポイントでの人選だったため、その発表を見た瞬間、調査方一同心の底から、その類まれなセンスを激賞したものであります。



 とはいえ、キム先生の件は一連のお話の中の、ほんの一部分だと思います。

 むしろ、キム先生はまだ、この程度で済んでいらっしゃるから、まだまだ再起は可能ですし、信頼回復は普通にキム先生が努力されれば余裕だろうと考えますので、引き続きのご活躍を祈念するところであります。



 ここからが本当の地獄だ…。