事務所を借りる場合
賃貸で開業する場合の事務所についてご紹介します。
この場合のメリット・デメリットは、自宅事務所と反対と考えてください。
では、メリットから見ていきましょう。
事務所を借りるメリット
高い信頼性
賃貸事務所の1番のメリットは、信頼性があるという点です。
お客様としては、行政書士に限らず弁護士も司法書士もオフィスビルや店舗型のような場所に事務所を構えているというイメージを持っています。
こちらの方が当たり前という感覚なので、実はそれだけでプラスになるものではありません。
しかし、自宅事務所と比べると賃貸事務所のほうが断然信頼性は高いでしょう。
事務所のイメージは、そのまま行政書士のイメ―ジとリンクしますので、清潔感のある素敵な事務所は、より一層好感度を上げるものとなります。
逆に、賃貸事務所であっても、汚かったり、古すぎる建物だとマイナスになるので注意してください。
立地が良い
次に立地が良いというメリットがあります。
ご自身の街ではどんな場所に行政書士事務所があるか、少し注意深く見てみてください。
恐らく、役所や警察署など官公署の近くに多いのではないでしょうか。
こういった場所は市民が来やすいように交通の便が整っています。
従って、事務所にも来やすいということになります。
また、こういった場所は駐車場なども多くありますので、車を利用するという方も来やすい環境といえます。
さらにメリットはお客様だけでなく、行政書士側にもあります。
官公署に近いということは、業務で申請するときも便利だからです。
時間と費用を節約することができます。
民事系の業務をメインにしようと考えている方は、商業的なところに賃貸事務所を設置するのも良いでしょう。
駅の近くや商店街の近くなど、人通りが多いところは、お客様としても便利ですし、何より入りやすいので飛び込みのお客様も来所します。
プライベートと区別できる
賃貸事務所だとプライベートと区別することができます。
自宅事務所でもどんな事務所にするかによりますが、自宅事務所の場合、なかなかプライベートと区別しにくいです。
特にお子様がいる方は注意しましょう。
お客様と話しているときに、子供の声がうるさかったり、電話口で聞こえることのないよう対策をしておかなければなりません。
賃貸事務所の場合は、そういった心配は不要です。
自宅住所を非公開にできる
賃貸事務所の場合、自宅住所を公表する必要はありません。
当たり前ですが、名刺やホームページなどにも賃貸事務所の住所を掲載するわけですので。
女性の場合は特に、この点は重要なのではないでしょうか。
では次にデメリットについて見ていきましょう。
行政書士事務所 事務所を借りる場合のデメリット
コストがかかる
賃貸事務所の1番デメリットはやはりコストがかかるという点です。
賃貸料だけでも月々数万円~十数万円かかります。
場所や条件によっては、もっとかかります。
賃貸料に加え、光熱費、通信費などもかかります。
経営が軌道に乗れば十分回収できる金額ですが売上が安定していない開業当初は、かなりの負担となるでしょう。
経営が軌道に乗る前に資金がなくなってしまう、なんてことにもなりかねません。
通勤時間や費用がかかる
どの場所に賃貸事務所を構えるかにもよりますが、通勤時間や費用がかかることもデメリットと言えるでしょう。
なかには、会社員時代は通勤が嫌だったという人もいると思います。
「会社員時代の通勤が嫌で、せっかく独立したのに結局また通勤するはめになったよ」と言っている行政書士の先生もおります。
自宅事務所であれば雪の日でも台風の日でも通勤することなく、自宅ですぐに仕事できますが、賃貸事務所では、そんな日でも事務所に行かなければなりません。
時間に制限がある
賃貸事務所の場合、時間に制限があるというデメリットもあります。
自宅事務所であれば遅い時間まで仕事ができますが、賃貸事務所の場合、そういうわけにもいきません。
事務所にも泊まれるようにしておけば問題ないのですが、家族がいる人は、そんなことを繰り返しているのも気が引けるでしょう。
また自宅事務所の場合、自宅の私用を済ませてから、また仕事に戻るなんてこともできますが、賃貸事務所の場合、場所にもよりますがなかなか大変だと思います。
しかし、だからこそ、限られた時間内で仕事をするようになり効率が上がるというメリットもありますが。
賃貸事務所の注意点
最後に賃貸事務所開業の注意点について触れたいと思います。
まずは初期費用が多額という点です。
敷金、礼金に加え、保証金もあります。
また保険などにも加入することになるでしょう。
それだけの費用をかけて借りますので、あまり良い物件じゃなかったと思ってもすぐに引っ越すわけにもいきません。
また事務所の引っ越しはかなりの労力を使いますし、行政書士会に変更手続きなども必要となってきます。
開業する物件選びは慎重に検討する必要があります。
次に、どんなタイプの事務所で開業するかという点です。
大まかにいうと、店舗型の事務所とオフィス型の事務所があります。
店舗型のイメージとしては不動産屋などでしょうか。
店舗型のメリットは入りやすいというところです。
予約なしで、ふらっと入るお客様もいるそうです。
窓ガラスや壁に広告や看板を設置しやすいので、通る人の目に留まりやすいからでしょう。
しかし、そういうお客様がいるということは、事務所で打ち合わせしている時などにも来所する可能性がありますので、受付を担当する従業員を雇うなど対策が必要となります。
オフィス型はビルの一角を賃貸事務所として開業するという形です。
時折、住居型の建物の1室を賃貸事務所として借りている方がいますが、あまりおすすめしません。
その1階部分で商業店舗のように設置するのは良いのですが、そうではなく、2階や3階などで住居用の部屋を賃貸事務所として開業している場合です。それだとお客様からすると、自宅事務所と変わりません。
せっかく、賃貸事務所としてリスクを取って開業しているのに、そのメリットをスポイルしてしまいます。
賃貸事務所のメリット
・信頼性がある
・立地が良い
・プライベートと区別できる
・自宅住所を公表しなくて良い
賃貸事務所のデメリット
・コストがかかる
・通勤費用がかかる
・時間に制限がある
賃貸事務所の注意点
・初期費用がかかる
・住居型の建物の1室を賃貸事務所として借りるのはおすすめしません
・場所など総合的に十分検討すること
まとめ
さて、ここまで自宅事務所と賃貸事務所のメリット・デメリットについて解説させて頂きましたが、いかがだったでしょうか。
皆さんの経営戦略の参考になれば幸いです。
私の意見としては、まず自宅で開業されることをおすすめします。
自宅事務所にもデメリットはありますが、そのデメリットはやり方次第でカバーできます。
賃貸事務所はコスト面のリスクが非常に高いです。
開業後すぐに経営が軌道に乗れば良いですが、うまく仕事を受注できなかったらすぐに資金が底をついてしまうでしょう。
まずは自宅事務所にして、経営が軌道に乗ったら、事務所を借りることを検討するのが良いと思いますよ。
また行政書士登録申請の際は、後々面倒なことにならないよう疑問や不安な点があれば、丁寧に教えてくれますので所属する行政書士会に問合せしましょう。
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