12月6日の東京株式市場の日経平均株価終値をiPhone画像で見て目をむいた。
前日比445円34銭安の2万2177円04銭で引け、今年最大の下げ幅となった。
この暴落の要因は幾つかあるが、最大の理由は同日午後(米東部標準時間)にドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転すると、米メディアが一斉に報道したことである。
トランプ大統領は5月、就任後の初の外遊となった中東訪問でサウジアラビア、イスラエル、パレスチナなど各国を訪れた。
同大統領がイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長と相次いで会談したことから、イスラエルとパレスチナの中東和平交渉が急速に進展すると期待感が高まった。
だが、今回のエルサレム首都認定によって、これまでサウジアラビア、ヨルダン、エジプトなど親米路線を明確にしてきた国々を含めイスラム圏諸国が猛反発。
エルサレムを首都と認めていない英国、フランスを始め欧州主要国からも批判の声が上がっている。
中東情勢が一気に緊迫化する兆候が見えてきた。
トランプ大統領の現在の関心事は、支持率が低迷するなかで昨年秋の大統領選公約「大使館移転」実現を通じて自らの支持層である保守系キリスト教徒へのアピールをすべてに優先することである。
具体的に言えば、日本のメディアはほとんど報じていないが、12月12日に実施される強固な保守基盤であるアラバマ州の上院補欠選挙を念頭に置いたものだ。
かつては大統領の最側近で、超保守イデオローグとして知られるスティーブン・バノン前首席戦略官が共和党執行部に対抗して推しているのが、元同州最高裁判所判事のロイ・ムーア候補。
だが、同氏の「レイプ疑惑」が発覚、民主党のダグ・ジョーンズ候補に肉薄されて、選挙戦終盤で両候補が大接戦を演じている。
トランプ大統領はムーア氏支持を明らかにしている。
しかし、同氏が敗れるようなことになれば、現在の米議会上院の共和党52人、民主党48人という勢力構図が崩れてしまうのだ。