〔PHOTO〕iStock
メディア・マスコミ ライフ

中国「毛皮産業」のヤバい実態〜日本もいまだ132万頭を犠牲に…

高級ブランドが続々と行う「ある宣言」

2018年春夏コレクションから動物の毛皮(リアルファー)の使用を永久的にやめる――2017年10月11日、イタリア高級ブランドのグッチがそう宣言した。

このニュースは世界中で大きく報道され、日本でもテレビを含めたマスメディアからファッション業界紙までが取り上げた。

私はこの報道の様子を見て、この10年間でリアルファーに対する日本人の態度が大きく変化したことを強く実感した。

きっかけは一本の動画だった

2004年冬、街中にはリアルファーが溢れかえっていた。総毛皮のコートは見かけなくなったが、いつからか、ごく当たり前のようにみんながコートのフードの縁にリアルファーをつけるようになっていた。

そうした状況を目にしたことで、「ファッションのために動物がこれだけ多く、当たり前のように犠牲にされている社会はおかしい、このままではいけない」という危機感が年々高まった。

2005年冬、中国の毛皮生産現場の実態が動画とともに明らかにされたことで、大きな衝撃を受けた。

 

狭い檻に閉じ込められたおびただしい数のミンクやキツネ、タヌキがケージの中をぐるぐると回り続けていた。

そして大きくなったキツネやタヌキを檻から無理やり引きずり出し、地面に体を打ちつけ、首元を踏み、こん棒で殴り、まだ意識のあるタヌキの手足の先をナタで切り落とした。周囲には肉球の付いた手足がゴロゴロと転がっている。

意識のあるタヌキを逆さ吊りにして足を針に引っ掛け、切り込みを入れ、毛皮を引き剥がしていく。皮膚と肉が引き裂かれ、血が滴り落ち、タヌキはもがく。

毛皮を剥がされた後、トラックの荷台に放り投げられ、荷台の上でタヌキはまばたきをし、首をもたげ、毛皮を失い様変わりした自分の体を見て、バタリと倒れた。

動画と一緒にリリースされたレポートには、1990年代以降急激に中国での毛皮生産が増えてきていることや、母親が子供を殺す割合が高く繁殖後の生育率が50%しかないことなどが事細かに書かれていた。

中国毛皮産業(2014年)(PHOTO:Animal Equality)

私たちは使用許可を得て、動画と資料を日本語に訳し、マスメディアに向けてリリースすると同時にネットに公開、毛皮反対キャンペーンを開始した(http://www.no-fur.org/dying-for-fur/)。

当時メディアの反応はほぼなかった。ツテを辿ってお願いしても「市民の関心ごとではない」と言われ、世界中で新聞のトップ記事になっていたにもかかわらず、日本で報道されなかった。自分たちの力不足を実感しつつ、さらに危機感は高まった。

今、あなたにオススメ
Recommended by