ダウンサイジング化やハイブリッド化が進む日本の自動車業界だが、そのなかでもとりわけ激しい燃費競争を繰り広げているジャンルがコンパクトカーだ。
近年発売されている車種は、JC08モード燃費が30km/Lを超えるどころか、40km/Lに近い数値を記録する車種も登場しており、コンパクトカーは日本で最も低燃費化が進んでいるジャンルと言える。それに伴い、ハイブリッドモデルの種類も豊富だ。
実は“コンパクトカー”というジャンルには明確な定義がない。そのため、今回の実燃費ランキングでは、「5ナンバーの5ドア車(ミニバンを除く)」というレギュレーションで車種の選定を行った。
このランキングでは、オートックワンで実燃費を計測していない車種はランキングに含まれていないので注意していただきたい。また、マイナーチェンジ等で燃費性能が現行型とほぼ変わらない場合は、マイナーチェンジ前のモデルを掲載する場合がある。
今後もオートックワンで実燃費レポートが増えるたびに更新していく予定なので、お楽しみに![2017/12/8最終更新]
現在オートックワンで実燃費を計測した国産コンパクトカーの、実燃費ランキングは以下の通り。
1位は、トヨタ アクア。アクアは全てのグレードがハイブリッドモデルとなっており、カタログに掲載されるJC08モード燃費は34.4km/L~38.0km/L。実燃費は27.6km/Lを記録。
2位は、ホンダ フィットのハイブリッドモデル。JC08モード燃費は33.6km/Lとアクアにほど近い数値をカタログに載せる。実燃費は26.1km/Lとなっており、アクアとほぼ変わらない低燃費を記録。
3位は、スズキ スイフトのハイブリッドモデル。2017年7月にフルモデルチェンジを行ったスイフトのフルハイブリッドモデルは、燃費性能も文句なしだが走りの良さにも光るものがある。JC08モード燃費は32.0km/Lとなっているが、平均実燃費は21.6km/Lとなった。達成率は67.5%と上位2車より少し落ち込んだ。
4位は、日産 ノートe-power。JC08モード燃費は34.0km/Lとなっており、アクアやフィットハイブリッドと同程度の数値。しかし、シリーズハイブリッドの特性上、高速道路を苦手とするため実燃費が落ち込み、21.5km/Lと低めの数値となった。とはいえ、大台である20km/Lを超えているので文句はない。
5位は、スズキ イグニス。イグニスは、2016年2月にスズキから久々の新顔として登場したコンパクトクロスオーバー車だ。マイルドハイブリッドを搭載し、実燃費は21.0km/Lと背の高いクルマでありながら優秀な数値を記録した。
6位以降は下記の表に参考データとしてまとめておく。なお、それぞれの燃費レポートへのリンクと、車種の概要を見たい方は、ページの最下部までスライドされたし。
▼オートックワン調査 コンパクトカー実燃費ランキング
オートックワン調査|コンパクトカー実燃費ランキング 1位~5位 | |||
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順位:車種名 | パワートレイン | 平均実燃費 | JC08モード燃費 |
1位:トヨタ アクア | 2WD/ハイブリッド | 27.6km/L | 34.4km/L |
2位:ホンダ フィット | 2WD/ハイブリッド | 26.1km/L | 33.6km/L |
3位:スズキ スイフト | 2WD/ハイブリッド | 21.6km/L | 32.0km/L |
4位:日産 ノート | 2WD/ハイブリッド | 21.5km/L | 34.0km/L |
5位:スズキ イグニス | 2WD/マイルドハイブリッド | 21.0km/L | 28.0km/L |
トヨタ アクアは2011年12月に発売されたトヨタのハイブリッドカーだ。発売時から世界トップクラスの低燃費を謳っており、一部改良が施された2013年11月以降のモデルでは、全グレードでJC08モード燃費37.0km/Lを達成するなど、日本でもトップクラスの低燃費を誇る。
2015年11月のマイナーチェンジでは、衝突回避支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」を搭載。2017年6月のマイナーチェンジではエクステリア変更を伴う各部の改良を実施し、より洗練された乗り味と静粛性を手に入れている。
発売から6年余りが経過し基本設計の変更はされていないが、それでも日本車トップクラスの低燃費は健在である。
オートックワンの新車見積もりで人気のグレードは最もリーズナブルなL。手動式ウインドウや15インチスチールホイールを採用し、軽量化と走行抵抗を減らした結果、JC08モード燃費は38.0km/Lとなっている。消費税込み1,785,240円からという低価格も魅力の一つだ。
トヨタ アクアの実燃費計測結果まとめ | |
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グレード | G ソフトレザーセレクション |
価格 | 2,090,000円 |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 34.4km/L |
高速道路実燃費 | 27.7km/L |
街乗り(市街地)実燃費 | 27.0km/L |
郊外路実燃費 | 28.1km/L |
総合実燃費 | 27.6km/L |
【燃費】トヨタ 新型アクア実燃費レポート|2017年のマイナーチェンジで本当に燃費は良くなったのか、ノートe-POWERと徹底比較!
現行型で三代目となるホンダを代表するコンパクトカー フィット。
ハイブリッドシステムには「SPORT HYBRID i-DCD」を採用し、先代のJC08モード燃費26.4km/L(1.3リッター車)に対して、現行型(Fパッケージ)ではJC08モード燃費で33.6 km/Lを達成。カタログ燃費上ではアクアにほど近い数値を記録している。
燃費ランキング1位のアクアとの明確な差は、アクアよりも210mm高い全高からくる居住スペースとラゲッジスペースの広さだ。特に後部座席については、アクアでは大人の男性が座ると足元スペースと頭上に窮屈さを感じるが、フィットハイブリッドでは身長180センチほどの男性が座っても頭上とレッグスペースに余裕が生まれる。
フィットハイブリッドはアクアよりも2年後に発売している分、このあたりはライバルを研究し尽くした結果だろう。オートックワンの新車見積もりで人気のグレードは1.5ハイブリッド Fで、価格は1,796,000円となっている。
ホンダ フィットハイブリッドの実燃費計測結果まとめ | |
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グレード | F |
価格 | 1,796,000円 |
駆動方式 | 2WD |
乗車定員 | 5人 |
JC08モード燃費 | 33.6km/L |
総合実燃費 | 26.1km/L |
街乗り(市街地)実燃費 | 26.0km/L |
郊外路実燃費 | 26.1km/L |
高速道路実燃費 | 26.1km/L |
【試乗】ホンダ 新型フィット(2017年マイチェンモデル)試乗レポート|クラスNo.1のキャビンに優れた実用燃費と安全性
スズキの主力車種であり、現行型で4代目となるスイフト。2017年7月に追加となったフルハイブリッドモデルのスイフトがランクインした。
「HYBRID SG」「HYBRID SL」共に4代目ソリオのハイブリッドシステムと同じものが搭載され、K12C型エンジンに5速AGSトランスミッションと駆動用モーターを合わせたハイブリッドシステムが採用されている。
JC08モード燃費は32.0km/Lとなり、この数値もソリオハイブリッドと共通。高速道路では高い燃費性能を発揮したものの、市街地ではランキング5位中最下位の数値となり、20km/Lを割る結果となってしまった。
オートックワンの新車見積もりで人気のグレードは1.2 ハイブリッド SGとなる。フルハイブリッドを搭載しながら、消費税込み1,668,600円という低価格。少し燃費が落ちるマイルドハイブリッドを搭載したハイブリッドMLとの価格差は僅か43,200円。この価格差ならば実際に元が取れてしまうだろう。
スズキ スイフトハイブリッドの実燃費計測結果まとめ | |
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グレード | ハイブリッドSL |
価格 | 1,949,000円 |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 32.0km/L |
高速道路実燃費 | 23.8km/L |
街乗り(市街地)実燃費 | 19.0km/L |
郊外路実燃費 | 21.9km/L |
総合実燃費 | 21.6km/L |
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「電気自動車の新しいカタチ」として2016年11月に発売された日産 ノートe-powerは、このランキングで唯一となるシリーズハイブリッドを搭載するコンパクトカーだ。
エンジンには通常のノートと同じくHR12DE型エンジンが搭載されているが、ノートe-powerではこのエンジンを駆動には使わず、モーターを駆動するための発電機としてのみ使用している。
JC08モード燃費はアクアにも迫る34.0km/Lという数値になっているが、街乗りから高速道路まで全体的に数値を落とし、達成率はランキング中最も悪い63.2%という結果になってしまった。
オートックワンの新車見積もりで人気のグレードは1.2 e-POWER Sとなり、e-powerを搭載しないすべてのノートを含めてもナンバーワンの人気を誇っている。
リーフと同じ駆動用モーターを採用しているノートe-powerの走りはとても力強くスムーズ、それでいて静粛性も非常に高い。電気自動車のような走行フィールが好みだが、充電のことは気にしたくないという方には最良の選択だろう。
日産 ノートe-powerの実燃費計測結果まとめ | |
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グレード | メダリスト |
価格 | 2,330,000円 |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 34.0km/L |
高速道路実燃費 | 22.4km/L |
街乗り(市街地)実燃費 | 21.7km/L |
郊外路実燃費 | 20.2km/L |
総合実燃費 | 21.5km/L |
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スズキ イグニスは、軽クロスオーバーであるハスラーと、3ナンバークロスオーバーのエスクードの中間に位置するスズキのコンパクトクロスオーバーだ。
日本では初代となるイグニスだが、欧州では初代スイフトがイグニスとして使われていたこともあり、欧州市場では2代目となる。
パワートレーンには全車種K12C型デュアルジェットエンジンを採用。IGS(モーター機能付き発電機)を用いたマイルドハイブリッドにより、JC08モード燃費で28.0km/L、実燃費では21.0km/Lを記録し、スイフトのフルハイブリッドモデルに迫る低燃費を実現している。
オートックワンの新車見積もりで人気のグレードは、1.2 ハイブリッド MXとなる。オプションではあるが、自動ブレーキやApple CarPlay(アップル カープレイ)を選択することもでき、200万円を切る価格でありながら非常に充実した装備が魅力の一台だ。
スズキ イグニスの実燃費計測結果まとめ | |
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グレード | ハイブリッドMZ |
価格 | 1,739,000円 |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 28.0km/L |
高速道路実燃費 | 23.3km/L |
街乗り(市街地)実燃費 | 19.3km/L |
郊外路実燃費 | 20.6km/L |
総合実燃費 | 21.0km/L |
【燃費】個性的なキャラで人気のコンパクトクロスオーバー「イグニス」の実燃費を測ってみた
オートックワンがこれまで調査したコンパクトカーの実燃費ランキングは以下の通り。それぞれの車種の高速道路、街乗り・市街地、郊外路での実燃費は、車種ごとの燃費レポートをご覧いただきたい。
オートックワン調査|コンパクトカー実燃費ランキング 6位~13位 | |||
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順位:車種名 | パワートレイン | 平均実燃費 | JC08モード燃費 |
6位:スズキ スイフト | 2WD/マイルドハイブリッド | 20.2km/L | 27.4km/L |
7位:トヨタ パッソ | 2WD/ガソリン | 20.2km/L | 28.0km/L |
8位:スズキ ソリオ | 2WD/マイルドハイブリッド | 20.0km/L | 27.8km/L |
9位:マツダ デミオ | 4WD/ガソリン | 19.4km/L | 19.2km/L |
10位:ホンダ フィットRS | 2WD/ガソリン | 18.3km/L | 19.2km/L |
11位:トヨタ ルーミー | 2WD/ガソリン | 17.2km/L | 24.6km/L |
12位:日産 ノート | 2WD/ガソリン | 16.6km/L | 23.4km/L |
13位:スズキ スイフトスポーツ | 2WD/ガソリン | 16.2km/L | 16.4km/L |
※スイフトスポーツは3ナンバーだが、ベースモデルが5ナンバーとなるので例外としてランク付け。
【6位】新型スイフト実燃費レポート/1Lターボとハイブリッド、燃費がいいのはどっち!?
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