そんな共産と立憲、希望が単なる選挙協力ではなく、一緒に政権を目指して戦えるかどうか。そして政権奪取後は連立を組めるかどうか。それが野党勢力全体の命運を握っている。いま、そんな「野党政権」を現実的に構想できるかといえば、できない。安全保障政策の根幹が違っているからだ。
逆に言えば、共産が安保政策を根本的に見直して、日米安保条約も容認、自衛隊も容認する現実路線に転換すれば、初めて政権交代と野党政権が現実味を帯びてくる。ついでに、党名も「日本労働党」にでも変更すればさらにいい。
共産がそんな大転換を図るなら、他の野党は共産を加えた連立政権構想に大きな抵抗がなくなるだろう。共産が日本労働党に生まれ変わり、日米安保も自衛隊も容認する。そんな日はやってくるのだろうか。
私が司会を務める番組『ニュース女子』(毎週月曜夜10時、TOKYO MXほか)で野党をめぐる議論をしたとき、出演していた元日本共産党ナンバー4の筆坂秀世氏は「志位和夫委員長の時代に大転換はない。だが、小池晃氏が委員長になったら可能性があるかもしれない」と語った。
共産党の内側の知り尽くした筆坂氏がそう言うのだから、あるいは可能性はあるかもしれない。そうだとすれば、安倍晋三政権打倒を目指す人たちは、まず共産に大胆な変身を求めたらどうか。共産が変身すれば、野党勢力が一体化し、結果として政権交代の可能性が出てくる。
逆に安倍政権を応援する人たちは共産が間違っても変身しないように、ときどきは共産を応援することをお勧めしたい。共産がいまの路線で頑張ってくれればくれるほど、野党一体化が遠のき、結果的に安倍政権を応援することになるのだ。安倍政権反対派も応援団も、この逆説のロジックを理解できるかどうかが鍵を握っている(笑)。