米民主党のフランケン上院議員が辞任、セクハラ苦情受け
米上院で7日、一連の性的嫌がらせ(セクハラ)疑惑が浮上している民主党のアル・フランケン議員(ミネソタ州選出)が「今後数週間のうち」に辞任する意向を明らかにした。
NBCテレビの人気番組「サタデーナイト・ライブ」のコメディアンだったフランケン議員は上院議場で、「上院議員として在任期間中、女性の擁護者となることに自分の権限を使えたのを誇りに思う」と述べた。
この演説の前日には、30人近い民主党議員がフランケン議員の辞任を求めていた。
著名人に対し相次いで性的不品行の訴えが出るなか、政治家が辞任する例としてはフランケン議員が最も著名な人物となる。
一方、米下院倫理委員会は2人の共和党議員に対するセクハラ調査を開始した。
そのうちの一人、トレント・フランクス議員(アリゾナ選出)は7日、セクハラ調査の発表を受けて辞任の意向を明らかにした。
フランクス議員は、自身と妻が不妊症に直面した際、女性の議会補佐官2人に代理母をしなないかと聞き「不快な思いをさせた」ことを認めた。
倫理委員会はまた、ブレイク・ファレントホールド議員(テキサス州選出)を調査するとしている。ファレントホールド議員は事務所の報道担当だった女性とのセクハラ裁判で、和解金として8万4000ドル(約950万円)を公金から支払っていた。
一方でフランケン議員は上院議会で7日、同僚議員に対して次のように述べた。「私は今日、今後数週間のうちに米国上院議員を辞する意向を発表する」。
「議員は辞めるかもしれないが、声を上げることは諦めない」
上院議員を2期務めたフランケン議員は、痴漢行為やセクハラで同議員を非難していた複数の女性に謝罪したが、6日に新たな疑惑が浮上し、辞任を求める圧力が高まっていた。
フランケン議員は、自身に向けられた苦情の一部は「単に真実ではない」としつつ、女性には「耳を傾けられ、経験を真剣に受け止められるだけの価値がある」と加えた。
フランケン氏はまた、ドナルド・トランプ大統領とアラバマ州の上院補選に共和党候補として出馬しているロイ・ムーア氏に関する性的不品行の疑惑に言及した。
「私が辞任する一方で、過去にしてきた性的暴行の自慢話を録音された男が大統領執務室に座っていて、若い少女たちを狙って性的嫌がらせを繰り返してきた男が、上院補選の選挙運動をしている。それがある種の皮肉だと、他の誰よりも私は気づいている」
この数週間で性的嫌がらせの厳しい非難を受けた米国の政治家は、フランケン氏だけではない。
元女性スタッフからセクハラの訴えを受けていた民主党のジョン・コンヤーズ議員(ミシガン州選出)は5日、辞任を発表した。
これまで7人の女性が、アラバマ州最高裁の元判事、ロイ・ムーア氏から何十年も前に性的問題行動の被害を受けたと名乗りを上げた。
複数の民主党の女性上院議員らが、フランケン氏の演説後に同氏を抱擁した。その中には、前日に同氏に辞任を求めていた議員もいた。
バーニー・サンダース上院議員もツイッターで、フランケン氏が演説で述べたトランプ氏への批判に同調した。
バーニー・サンダース氏は、「女性たちに暴行したことを音声で認めた大統領がいる。現在起こっていることに留意して、辞任を考えていただきたい」とツイートした。
フランケン氏と同じくミネソタ州選出のエイミー・クロブチャー上院議員は、フェイスブックでフランケン氏に感謝を示し、同氏のことを「私の、そして私たちの州の大勢の友人」だと呼んだ。
クロブチャー氏は、「これは決して簡単でも心地いいことでもない。でも、私たちの職場での習慣、そしてお互いの人間としての接し方を変えなければならないと認識しなくては」と書き込んだ。
フランケン議員辞任後の欠員をどう埋めるのかは、民主党のミネソタ州知事マーク・デイトン氏に委ねられるが、声明の中でデイトン知事は誰にするかは決めていないとしている。
「フランケン上院議員に望まないことをされて耐えなければならなかった女性たちを非常に気の毒に思う」と述べた。
(英語記事 Senator Al Franken to resign amid sexual misconduct claims)