日本人が知らないフィンテック大国の実像

あのインドで急速に進むキャッシュレス

世界最大のフィンテック・フェスティバル。会場は各国からの参加者で連日大盛況を見せた(筆者撮影)

シンガポールの金融当局・シンガポール通貨監督庁(MAS)が主催する、世界最大のフィンテックに特化した見本市、フィンテック・フェスティバルが先月、シンガポール・エキスポで開催された。2回にわたってリポートをお届けしよう。

デジタル金融都市としてアジアを牽引するシンガポール(筆者撮影)

フィンテックとは、金融(ファイナンス)とIT(インターネットなど情報技術)が融合した新しいビジネス業態。世界中で進みつつある動きだ。昨年開催されたフィンテック・フェスティバルの第1回は、60カ国から1万3000人が参加したが、今年はそれをさらに上回る大盛況となり、100カ国以上から約3万人が集結した。

シンガポール政府は、国としてフィンテックの育成に本腰を入れており、国際金融拠点としての競争力を強化して、アジアのハブとなることを目指している。会場では、各国からのスタートアップはもちろん、大手金融機関や投資家、政府関係者らが集まり、至るところで情報交換をする光景が繰り広げられた。

その場でビジネスチャンスを見いだそうとパソコンを広げて直接交渉をする姿も見られた。単なる展示会にとどまらず、協業の可能性や投資の機会を探り合うことができる場としてシンガポール政府が後押ししているだけあり、会場は熱気があふれていた。

目立ったのはインド勢

客足が絶えなかったインドパビリオン。国を挙げてフィンテック推進を加速させている(筆者撮影)

とりわけ、今回目立っていたのはインド勢だ。実際に参加した“スタートアップ”の内、36%は地元シンガポールの企業だったが、次いで多かったのが17%のインド企業。3位のアメリカ企業が8%だったことをみても、インドがフィンテック分野で新たなスタートアップを次々に創出していることは明らかだ。会場を見渡してもインド人の多さが目立った。

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  • NO NAME1f780efe6714
    日本にはスタートアップの芽を大企業が積んでいく現実をいくつも知っているの。だから、なかなか最先端のスタートアップが成功しにくい。それでも、ある程度市場ができると日本はかつての明治維新後のように、模倣が得意で市場を席巻してきた。その成功事例を、中国をはじめ多くの発展途上国がまねをし始め、競争が激化している。やはり、物まねでなくて日本初の新しい技術が必要だ。サラリーマン社長の多くなった我が国で、それができるのか問われているのでは。
    up24
    down2
    2017/12/8 07:38
  • NO NAME1f780efe6714
    シンガポールは、政府が積極的にスタートアップの誘致に乗り出していて、実証実験を始め規制面での優遇措置も充実している。税制面も含めて、日本を始め、他の東南アジア諸国からも多くの若いスタートアップがシンガポールに降り立つ例は多い。わざわざ日本に行く例が少ないのはやはり、言語面、規制面などから魅力が薄いからだろう。
    インドは頭脳の国とも言われており、特に理数系に強い学生が生まれる教育面からも、フィンテック分野での起業家輩出においては今後ますます注目の国でしょう。
    up16
    down0
    2017/12/8 07:45
  • NO NAME9750b564882a
    5000円のスマホがあれば日常決済は間に合うし、
    現金管理の手間もない。
    あとは商売の仕入れや出納・経営管理さえ電子化すれば、
    日常で現金は不要になる…ということは、
    それは仮想通貨でも構わないということになる。

    要はマイクロクレジット&ペイメントの電子化ですね。
    up7
    down0
    2017/12/8 13:47
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