最近、LinkedInで転職の情報収集をしていた。LinkedInに掲載されている求人広告は、Easy Applyという機能を使ってワンクリックで応募できる。
一度にかなりの数の会社に応募することができるので、どの会社にいつ応募したかあまり覚えていない。
ある日、履歴書に掲載していたメールアドレス宛に、イギリスの某社の人事マネージャーを名乗る人物から連絡がきた。
あなたは選考の結果、募集ポジションの候補に選ばれたので、ついては来月、ロンドンの某所に来られたいという内容だった。
メールにはPDFで職務の詳細を記載した書類、面接の招待状、ロンドンまでの旅行情報が添付されており、非常に信憑性が高く見えた。
職務詳細書類に記載されていた給料は高く、福利厚生がしっかりしており、魅力的なポジションに見えた。
会社のウェブサイトにアクセスすると、小規模であるがしっかりとした会社であるように見えた。
旅費は会社負担で、ロンドン到着時に払い戻す。ついては当社と提携関係にある旅行会社の職員に連絡をし、さっそく旅行の手配をしてほしいと先方から言ってきた。
そのため、指示された連絡先へ、旅行の手配を依頼する連絡を入れた。
翌日、旅行会社の職員を名乗る人物から返信があり、添付ファイルで旅行の手配準備に使用する文書を送ってきた。
その文書によれば、送金サービスを使って、旅行会社宛にデポジットを送金していただきたい、パスポートのコピー、申込書とともに送金確認書を送れば、旅行の手配をすると書いてあった。
後日、旅行会社へ送金をしようと思い、日本にある送金サービスの代理店へ行ったが、こちらの側に手続き上の情報に関する不備があり、送金することはできなかった。
帰り際にそこの職員の人に言われたのだが、その送金サービスを使った詐欺があるので、気をつけてくださいということだった。
その詐欺とは、あなたは宝くじに当たったので、ついては引き出すための前金としてかくかくしかじかの宛先に、送金サービスを使ってお金を送ってくださいというものらしい。
帰りの道すがら、自分の場合は実在する会社の転職面接に行くだけだから大丈夫だろうと思っていた。
帰宅後、LinkedInを開いて、面接に呼ばれた会社名で検索をすると、その会社で働いている人が一人も検索にヒットしなかった。
Companies Houseという、イギリスの政府が提供している企業の登記情報検索を使って、会社名を検索すると、ヒットしなかった。
次に、「その会社名 scam〔←詐欺のこと〕」の検索語でGoogle検索をすると、LinkedInで当該の会社について議論しているページが見つかった。
ページを投稿したユーザーによれば、彼も同じような面接に関するメールを受け取り、自分は注意深いと思っていたが、あやうく引っかかりそうになったそうだ。
彼が公開しているレターを見ると、自分が受け取ったものと同じだった。
だが、書かれている会社名が違った。
どうやら、求職者を狙って詐欺を常習的に繰り返しているグループに自分も引っかかりそうになっていることに、このときはじめて気づいた。
問題の会社のウェブサイトで使われている画像をGoogleで検索すると、ロゴマーク(つまり社名)だけが違うが、まったく内容が同じウェブサイトにたどり着いた。
つまり、詐欺グループが、イギリスの地方に実在する会社のウェブサイトを丸ごとコピーし、ロゴマークだけねつ造して、それらしいウェブサイトをでっちあげているわけだ。
これを書いている時点で、偽会社のウェブサイトと、LinkedIn上の偽会社のページはまだ存在している。
手続きの不備があったせいで、結局自分は1円もなくさないですんだけれど、だまされたんだなーという、がっかり感が残った。
自分はそれほど必死に焦って転職しようとしているつもりではなかったけれど、高い給料と魅力的な仕事内容をちらつかせられると、あっさり騙されるんだなと、脱力してしまった。
その後、LinkedIn経由で応募したアメリカの会社のインタビューを受けてオファーをもらった。
LinkedInは転職活動に結構便利だけど、怖い部分もあるということを周知したくて、これを書き残すことにした。
参考になりました。ありがとう! 新天地でも頑張ってください。