読者諸賢、しばらくぶりである。
突然ではあるが
この私に託された病について少し書かせていただこう。
ときは2012年。
私は米子にいた。
そう
多くの
読者諸賢ならお分かりいただけることだろう。
あの
「米子の夜」
が起こった当時、
私は
ももクロのライブに行こうと
嬉々としていた
先輩を小馬鹿にし
仕事に
研究に
勤しんでいた。
それはおそらく
その年の
秋ごろだったと思い出す。
突然
身体が金縛りにあったように動かぬ朝が訪れ
友人に病院へ連れて行かれるも
(幸いにも私の勤め先は病院だった)
特に異常はないと言われた。
しかしながら
様子の芳しくない日々は続き
しまいには
手指の振戦
つまりは
右手が不随意にけいれんしだしたのである。
それが
夜間に強烈な発作のように
全身に転移し
私は気が狂ったように
叫びながら
呼吸さえうまくできず
自身の
人間の
無力さを痛感した。
私にとっての
「米子の夜」
はこのような結末を迎えた。
のちに
例の彼女たち
の
「米子の夜」
について語られるようになるらしいのだが
それを私が知るのは
まだ随分と先のことである。
それが
一晩じゅう
毎夜のように
続くものであるから
私は
多方面から検査を受けるべく
大学病院へと移送された。
しかし
この間にも
具体的な異常はみられず
ことによって
精神の異常
であると
診断をされた。
正直に申せば
この
「精神の異常」
についてのアプローチは
現在も続いている。
明らかに生活が著しく阻害されているため
「〇〇障害」
などというていで
無理矢理にも診断名はくだされてはいるものの
いまだに
主治医が確信めいたことを一言も申さないのは
おそらく
そういうことであるのだ。
実際のところ
わからない。
私も
医者も。
しかしながら
異常な視覚・聴覚等の特殊感覚刺激の過敏性
筋肉のけいれん・過緊張・萎縮
記憶力・遂行機能の障害
全身発作
など
多方面にわたって
障害が露呈され続けた結果
単なる
「精神の異常」
として片付けてはならないことは明らか。
というのが
現在の状況である。
人間関係の崩壊
仕事復帰不可
入院生活
自殺企図
という絶望的な時期を
私は
何の目的もなく
ただ
「生きる」
という意思だけによって通過してきた。
今に至っても
なぜ私なぞが
生きているのかすらよく理解できないところではあるし
「生」に関する人間の美意識・観点は
いかにわがままで幼稚ですらあるようなことも考えたものだ。
最初は同情や慈悲を求めていた。
私はこのような意味不明な難病であるのだ
なぜ私なのだ
誰か助けてくれ
私を一人にしないでくれ
人間が病に至る場合
それが単なる風邪であろうが
上・下肢の切断であろうが
精神疾患であろうが
誰しもが
このような心理を経験することだろう。
だが今は
私が
生きていることによって
救われる
命があることを心に宿して
ただ
「生」
を全うすることに尽くすことにした。
何がしたい
何かをやりたい
何かになりたい
何者にもなろうとしない
周囲の環境に愕然として育った私は
このような思いがもともと強かったが
5年経った今
考えるのは
「生」
の先に何があるか見てみたいという
微々たる好奇心にすぎないのである。
そして
この微々たる命の先には
どのような命が待ち受けているか
興味津々なのである。
そう
わたしの命は微々たるものである。
病によって
それはともすれば
さらに縮小され
ある人からは存在さえ消され
ある人からは記憶からも消去される
しかし
それでも構わない。
私を知っている者だけの命ではないことを私は知らされた。
たとえ
私の親兄弟がこの世から消え失せてしまって
私を知るものが誰一人いなくなったと仮定しても
この私の
微々たる命が
微々たる命を
救うことが
あるかもわからぬ。
「ふはは」
と笑いあえる日が来るかもわからぬ。
そうやって
人は
人を
知っていく……。
私が
vivi(=びび・微々)と名乗るようになったのは
このようなことからだ。
そして
ネットを通じてではあるが
確実に
冷え切った私の心を温めてくれた
微々たる命
いやしかし
大勢の
命を見つけた。
あのとき
まさに
ひとりぼっち
だった私にとって
騒ぎ立てられたようなあの鳴り止まない通知は
私の心を躍らせたし
また誰かのために
生きていけると
確信した出来事だった。
この出来事について
よくわからない読者諸賢に
具体的に説明するつもりはない。
私が言いたいのは
私はモノノフと呼ばれる人々に幾たびも
命を救われているということだ。
これだけは覚えておいてほしい。
そのために私はこうして書いているのだ。
発症から5年が経過し
私は随分と
この病気をコントロールできるようになった。
その経緯について
そしてどのようなことを具体的にしているかというのは
またの機会にさせていただこう。
少しおしゃべりが過ぎたようだ。
ちなみに
冒頭のイラストは
私がリハビリの一環として描いた
「まるごとれにちゃん」
である。
治療の一つでもあるので
私の非利き手である
左手で描いてみた。
賛否両論あるだろうが
私としては満足いっている。
なにしろ
新しい方の手で好きなものを描けたのだから……(え?玉井さんは?)
それでは
今晩は冷え込む故
暖かくして眠られよ。
また!
現場で会おうZ!!!!!