わずか6秒 皆既日食 を直視した女性、両眼に回復できないダメージを負う。米医学誌が論文発表
たった6秒が一生に"影"を落とす
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2017年の夏は、アメリカ大陸を38年ぶりに皆既日食が横断していくということで、米国の大人のほぼ9割が真夏の太陽を見上げたのだそう。ただ、いくら皆既日食とはいえ、その光を直視すると目に悪影響を引き起こす可能性があるとして、必ず日食観測用メガネなどを使うよう呼びかけられていたのは、ご存知のとおりです。
ところが、ある女性はうっかり観測用メガネをつかわず、肉眼で日食を目視してしまいました。時間にしてわずか6秒間。彼女はその後メガネを使っておよそ20秒間日食を見てみたものの、そのときにはすでに目にダメージがあり、4時間後には視界が黒くぼやけるようになってしまったとのこと。
米国医師会が発行する医学誌「JAMA眼科学」は、この事例を取りあげ、太陽の直視がたったの6秒で目に大きな損傷を与える可能性があることを示しました。
論文では、日食が約7割ほどになったときに約6秒間、肉眼で太陽を見た20代の女性について紹介しています。この女性は日食の数時間後には視界全体がぼんやりと歪み、特に左目で見る世界には黒い斑点が見え始めたとしています。
そして、3日後に眼科医で検査を受けたところ、両眼とも網膜にある視細胞に恒久的な病変がみられることがわかりました。論文の著者は「この患者の視覚を機能回復できるかはまだわからない」としています。
太陽のような強い発光物を見たときに起こる目の損傷を治療する方法は、患者には残念なことですが今のところありません。しかし、太陽を見た後にどのような影響が現れるかを詳しく調査することが、今後の治療方法の発見に役立てられるはずです。
米国では次の皆既日食は2024年とされるものの、それ以前にも、たとえば高輝度LEDやレーザーポインターはすでにわれわれの身のまわりにありふれています。これらは太陽の光とは多少異なるもののやはり目に悪影響を与えるため直視してはならないとされます。
少なくとも、皆既だろうとなかろうと、日食だろうとなかろうと、太陽を見る場合はかならず観測用のメガネを使って目を保護しなければなりません。
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