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鬼畜魂(KICHIKU-KON ) 3

飛び散る自分の血が、「赤い色」だと認識できたのは、ほんの一瞬で、
紗江子との思い出が、まだ辛うじて生きていた脳細胞から無理やり引き出された刹那、僕の視界は
完全にブラックアウトした・・・・最後に、、、一番最後に感じることができたのは、紗江子の手が
ズリュリと引き抜かれたその感覚だけだ。不思議と痛みはなかった。

(僕はおそらく死んだ)


紗江子は、血の滴る右腕をダラリと下げたまま、崩れ落ちた兄の背中からトプトプと流れ出る血に
急に我に返った。はじかれたように、ドアを蹴倒し台所まで走っていった。ゴミ箱の中から漁るように
して、ペットボトルの空き瓶を見つけて、また元の部屋に戻る。

兄の背中から流れる血をペットボトルにうまく流し込ませた。

コンコンと流れる血の鮮やかさとは裏腹に紗江子は顔面蒼白で、少し玉の汗が
吹き出ていた。

自分がどのようにして兄を死に至らしめたのか、もはや記憶にもない。

しかしながらここに倒れている兄を殺したのは、紛れもなく自分だという意識だけはあった。
手に持つペットボトルは、小刻みに震えだした。自分が何者なのかを知ってしまった驚きと
実の兄を殺してしまった恐怖。そして、そうすることが当たり前のように血を集めている不可思議さ。

心の中で何かがザワツイテいるものの、その正体がいったい何なのかわからない。
どのように実体化したのかもわからなかった。

「・・・わからない・・・。」

だが紗江子がとっている行動は意識外で何者かが突き動かしているようでもあり、自分の意識が
しっかりと根付いているようでもある。


次に紗江子は、自分の部屋に小走りに走っていった。
ベッドの奥に手を伸ばし、黒く光ったジュラルミン性のアタッシュケースを取り出した。
パスコードを入力するとゆっくりと上蓋が開き、赤外線センサーが紗江子の頭をスキャンした。
スキャンを終えると、"complete" という文字が3回点滅し、高速起動ののちに、モニター部分に
異様な文字を浮かび上がらせた。


ホログラフィックなのか、実態なのかわからないぐらいの鮮明さで、モニターから出現したのは、
まるで理科の実験で使う三角フラスコを逆さにしたようなシルエットの物体だった。パソコンの
モニターから浮き上がるように出現したホッパーに兄の真っ赤な血を慎重に流し込んだ。

(これでいいわ・・・)



さらに紗江子はポケットをまさぐり 携帯端末を取り出した。
callすると、無機質な電子音応答が聞こえた。

「はいこちらは、鬼畜魂対策浄化本部です。ご用件に応じて番号を押してください。なお番号の途中でも
操作は可能です。浄化メンバーをご希望の方は1番、鬼畜魂の情報をご提供の方は2番、
その他のご用件は3ば・・・(ピッ)」


紗江子は、3番を押した。

「そのままでお待ちください・・・・。」

(なんだっけこの音楽) 対策浄化本部の保留音を聞いたとき、紗江子は懐かしさを覚えた。

(放課後の音楽・・・そうだわ・・・放課後の)


「はい、お待たせしました。浄化メンバー主任の田所ともうします。」

受話器の声は、さわやかな青年を想像させた。突然現実に引き戻され、
最初の第一声を出すまでに、少し時間がかかった。



「・・・・人が死んでるわ・・・すぐに来て・・・住所は、曙町5丁目4の78」

「え? なんですか?すみません、あなたはどなたですか?よく聞き取れませんでしたので、
再度お願いできますか」

「いい?もう一度言うわ。人が死んでる・・・住所は、曙町5丁目4の78・・・」 (プツリ)

紗江子は一方的に電話を切った。

人の死を伝える側と 受け取る側では、お互いのギャップを埋めあうまでにラグがあるものだ。
しかし電話を切る間際、田所が息を呑む様子が十分に伝わった。
血の指紋がついてしまった携帯端末をしまい込み、兄の躯をじっとみつめた。


「お兄ちゃん・・・私の頼みごとはね・・・私を殺して、、、、っていうことだったの。。。
お、お兄ちゃん・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・

お兄ちゃん!!」


鬼畜魂が宿ってしまった身体に気づいたのは、自分自身の身体能力が異常発達したことを
知ったときだった。

ミツバチの羽のうごきが、まるでスローモーションのように見えた。

高速で動く車輪の動きの溝まではっきりと目で確認できた。


路地で私を襲おうとした奴らの動きが読めた。



「鬼畜魂が宿った・・・お兄ちゃん、、、助けて・・・・お兄ちゃん!!」


言葉にならないむせぶような声が小さな部屋に響き渡る。


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