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鬼畜魂(KICHIKU-KON ) 2

紗江子の髪のゆらめきは、次第にシャリシャリと砂を噛むような音となり、得体の知れない
腐臭が部屋を充満した。

「おい!!やめろ!!」

僕は上擦る声を絞り出すように発した。でもそれはもう自分の声ではないような、変なしゃがれ声
となっていた。コキッコキッと壊れかけのカラクリ人形のような首の動きで、紗江子の首はいまにも
根元から折れてしまうようにみえた。

「だって、お兄ちゃんはいつも私の言うこと聞いてくれないんだもん」

あごをしゃくるようにして、髪と髪の隙間から見えた紗江子の目は、カッと見開かれ、そこには生命
が宿っているのかどうかもわからないぐらいのただのプラスチックのような目があった。瞳孔が
完全に開き、白目の部分には、浮きだつような血管が見える・・・

(ニジリ・・・・ニジリ・・・・)

紗江子は、僕に一歩一歩と近づく。
腐臭がきつくなり、僕は思わず後ずらりした。身体が硬直してしまいうまく動けない。鬼畜魂が
実体化してしまったときには、すでにヒトの心は失われている。だから僕は紗江子を・・・



妹である紗江子を殺さなくてはならない。




自分の心臓ではなくなってしまったかのような鼓動が、喉から出てくるかのような苦しさを覚えた。
喉はカラカラになり、もはや僕の部屋は戦場と化したも同然なのだ。


だから殺るしかない。

「お、お前はもう妹なんかじゃない!! だから俺は言ったんだ、矢面神社には絶対に
行ってはいけないと!あの神社は呪われている!!」

(ニジリ・・・ニジリ・・)

「ホホホホホ、お兄ちゃん、何を言ってるの?私は今までもそしてこれからもお兄ちゃんの妹だよ?」

「うるせーーーー!! ちかよるな!!」

僕は震える足に神経を集中させ、自分が今どの位置に立っているのかを足先で感じようとした。
コツンとかかとが触れたのは、机の脇に縦においてあるカラーボックス。その隣には、金属バットが
立てかけてあったはずだ。必死に部屋の構造を頭によぎらせ、神経を研ぎ澄ませた。紗江子の
異様な動きは、まるでボクサーのデンプシーロールだ。

「お前は鬼畜魂!俺がこの手で葬り去ってやる!」

(ニジリ・・・ニジリ・・)

「いったいお兄ちゃんは何を言ってるの?」

プラスチックのような目が俺を見据える。一瞬動きがとまった、その瞬間、僕は南部鉄器の風鈴の
下に下がっている短冊を軽くたたいた。

(チリリン~)

紗江子が音のほうをちらりと見たとき、倒れこむようにして、金属バットの柄を掴み取った。
紗江子の目が今度はスライドのように僕が握ったバットを捉え、口元に笑みを浮かべた。

「何がおかしいんだ、この化け物があああああ!!」

持った手に渾身の力を込め、水平切りのようにバットをフルスイングした。

(しとめた!!!!)

コンマ何秒か後に予測された紗江子の肉をバットで粉々にする感覚は・・・・なかった。
少年野球で鍛えた僕の渾身のスイングは間違いなく、ちょうど紗江子の腰の辺りを強打するはずだった。
だけど感覚がない。金属バットが宙をきったそのとき、グシャっとした音をなぜか自分の身体から
聞くことができた。

背中なのか、首なのか、いったいどこからなのかはわからない。

だけれど、僕ははっきりと僕のちょうど胸のあたりから、紗江子の手が突き出ているのを
見ることができた。


(うそだろ・・・・・)


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コメント

デビューできるんじゃ、、? by kohhei : URL
すごい怖かったけど、面白かったです。(小学生並みの感想)でも、この話、作家のよりいいかも、今すぐにでも、デビューできそうですね。
2016/05/19(木) 23:31:37 #-[ 編集]

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