松阪 武四郎の伝記刊行 札幌の合田さん執筆 探査ルートと宿泊地の図も

【合田一道さんが著した「松浦武四郎 北の大地に立つ」】

【松阪】ノンフィクション作家の合田一道さん(83)=札幌市=はこのほど、伝記「松浦武四郎 北の大地に立つ」(四六判、327ページ、税別2400円)を北海道出版企画センターから刊行した。来年は武四郎(1818―1888年)の生誕200年、北海道命名150年に当たる。

合田さんは北海道上砂川町生まれ。北海道新聞社で事件担当記者をしながらノンフィクション作品を執筆し、平成6年に退社。「裂けた岬 『ひかりごけ』事件の真相」などの著書がある。

北海道の名付け親として知られる松阪市小野江町出身の武四郎は幕末、28歳から41歳まで蝦夷地をアイヌの協力を得ながら6回踏査した。報告書を書くだけでなく、和人に漁業労働を強いられ苦しんでいたアイヌの救済を訴えた。

本には6回の探査それぞれのルートと宿泊地を示す「松浦武四郎足跡図」を掲載。「道内の市町村のそこここには、武四郎の足跡がいまも数多く残っています。一度その歴史の道を歩いてみてはいかがでしょうか。武四郎の心情が伝わってくると思います」と呼び掛けている。

また、「この本を読んで、アイヌの人たちに対する虐待の文章が随所に出てきて、眉を潜められた方も多かったと思いますが、実際に書かれた部分はもっと多く、筆者をうろたえさせたものでした」と記す。