マインクラフトサーバー Novel3rd

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Lobby

 5月になり、木々に降りかかる太陽の光が葉っぱをすり抜けて、少しずつ雪を溶かしはじめている。天井から生えた木は、Lobbyの守り神ともいえる存在で、ときには強すぎる太陽の光を和らげ、ときには戦い終えた戦士たちを優しく出迎えてくれる。”守りの大樹”と呼ばれ続け、樹齢何千年にもなると囁かれた。何人も斧を入れることは出来ず、何人も枯らすことは出来ない。まるで精霊が宿ったような存在なのだ。凍てつくような冬であっても大樹の息吹は人々の心に暖炉を燈し、真夏であってもそよ風を運び火照った身体を正常に保ってくれる。
 ジュンペイはアカシアの木で出来たLobbyの中央に立ち、いつものように上を見上げた。グロウストーンの明かりがところどころにつき、いつも見える父の像と対話した。

「やぁ、父さん。今日やっと赤目の凶暴なウサギを仕留めることができたんだ。」

光が、消えかけの蛍光灯のように反応し、チリチリと頭の中で会話が完成する。

(そうか。よかったな・・・)と応えてくれた。いや、きっとそう応えてくれたに違いないという気持ちが勝手な言葉を作っていたのかもしれない。

木を伐採し、剣をつくり、昼間のうちに狩りをして動物の肉を焼き、夜は洞穴のような家で露をしのぎ、ときには帰り道に迷いながらも何とかここまで生き抜くことができた。ゾンビの襲来や蜘蛛の大量発生とも戦い、傷を負い死ぬかもしれないという場面に何度も遭遇し、辛くも次の朝を迎えることができた。

守りの大樹のご加護、ジュンペイはそう思い込んでいた。守りの大樹に宿る精霊を父だと思い込むことで偶像化することができていたのだろう。

 その昔、ジュンペイが11歳の頃、Lobbyが生まれる前の中心世界は、通称”world”と言われた。誰もその本当の名前を知らなかったため、いつしか「ワールド」という俗称で通ってしまっていた。商業や様々な施設が次々と発達し、争いもない平和な世界だった。ところがある日突然、異空間フォルダに取り込まれてしまい、その存在が消滅したのだ。何者かの大規模な電磁攻撃により信号が完全に細分化され、0の信号と1の信号に分断された。もはや修復不可能となったとき、最後の最後まで電磁攻撃を食い止めるべく残ったのが、ジュンペイの父だった。


 突如、天空の遥か彼方に出現した大きな島を見つけたジュンペイは。貴重なルーンをひとつ消費して、巨大な島に降り立った。吸い寄せられるように巨大樹の元に辿り着いたとき、すぐにその場所はLobbyと名づけられた。

 我武者羅にただ生き抜くことだけを考えていた一年。装備も少しずつ整い、狩りの腕もあがった。安全な場所と危険な場所の見分けがつくようになり、動物を焼くかまどや食料や装備、武器を蓄えておくチェスト、ベッド、クラフトテーブルなどが揃い、最初の家から比べると少しまともな家に住めるようにもなった。ちょうどその頃から、Lobbyには少しずつ異変が起こり始めた。


 移住民がだんだんとLobbyに降り立ち始めたのだ。

本物の世界にある特殊なWEBサイトで、特殊なランチャーを手に入れ、特殊な暗号を知ったものだけが飛び込むことが出来る世界。これは偽者の世界ではなく、2070年の世界認定されたサーバー移住許可事業の隠れ目玉として、米国から発信した最先端技術を利用したサイバースペース・・・つまり第二の世界ということになる。

第二の世界は、数万とも言われているサイバースペースの分岐サーバーが設置され、世界で運営されている。本物の世界に残る身体に分けれを告げるわけだから、屍同然の状態にはなるが、生身の身体は腐敗せず確実に保管される。但し、ここには大きなそして絶対に忘れることが出来ないルールがある。

それは『2回しか往復してはならない』という厳格なルールだ。

1回目 本物の世界⇒第二の世界(片道)  第二の世界⇒本物の世界(ここで往復となる)

2回目 本物の世界⇒第二の世界(片道) 第二の世界⇒本物の世界(ここで2回目の往復となる)

つまり、行って帰ってを2回しかできないというものだ。ところが、手に入れたランチャーに添付されたチケットには、

【2.5回分】と赤く印字されているのだ。

2回の往復のみが許された条件なのに、最後の片道チケットがついている・・・・

そう・・・・最後のチケットは「リアルデッドチケット」簡単に言えば、本当の死が訪れるチケットということだ。わかりやすく言えば、最後の0.5の部分を使用すれば本物の世界の自分の身体は確実な保護対象とはならず、可能性高く腐敗し、身体は滅びる。


そして、第二の世界で一生暮らすことになるのだ。

ジュンペイも父も最初の一回のチケットしか使用していない。本当は一度本物の世界に戻り、学校の勉強もしなくてはいけない。しかし父を亡くした今、失意から立ち上がることが出来ず、

(このままこっちに住んでもいいかな)と思い始めたところだ。

Lobbyの中心でジッとしていると、ふと人の気配を感じた。


「こんにちは~」

オレンジ色の浴衣みたいのを来た同じぐらいの年頃の男子がにこやかに話しかけてきた。

「あ、どうもこんにちは。」ジュンペイはちょっと驚きながら挨拶に応じた。その男子の名前はタイキと言う。Lobbyに限らず、この世界では名前は尋ねなくても頭の上に白く名前のホログラフが浮かんでいるからだ。これは特に身体にも害はなく、またどこから光線が出ているのかもわからない。最初の頃は頭の上が気になり、日に何度も頭上の文字を見ようとしたが、どうやら自分では判別できないものらしい。

まだ明るいうちだったから良かったものの もし少し暗くなりかけていたら、さぞかしびっくりして、数メートル吹っ飛んだに違いない。

タイキは、挨拶を済ませるとフラフラ~~と歩き始め、しまいには軽やかなステップで、石ころを蹴飛ばしながらずんずんと先のほうに進んでいった。


「ジュンペイはここに暮らしているの?」

タイキが声をかけてきた。ここでの声は、すべて電脳でのやり取りのため、話しかけられた言葉は頭の中のチャットメッセージに自然に浮かぶ。返事を返したいときには、伝えたい言葉をただ想像するだけでいいのだ。

「うん、そうだよ。もう一年ぐらいかな」

「それはすばらしいですしおすし!」

(ん?なんか・・・・変だな。電脳壊れたかな? ですし、、、おすし?)ジュンペイは頭をぶんぶん振りながら、電脳が壊れてガシャガシャとなってしまうのではと恐れつつもまだ頭を振っていた。

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