米国が突然エルサレムを首都に認定する事情

アラブ諸国は一斉に反発の声

エルサレムの旧市街(写真:Ammar Award/ロイター)

ドナルド・トランプ米大統領が、選挙公約を実現させる形でエルサレムをイスラエルの首都と認め、商都テルアビブにある米大使館の移転を指示した。

米政権の歴史的な転換は、中東和平の最大の争点であるエルサレム帰属問題で、「東西不可分の首都」とするイスラエル側の肩を一方的に持つものだ。パレスチナやアラブ諸国からは批判の声が上がっており、中東和平の仲介役としての米国の信頼は揺らいでいる。

トランプ政権の「読み」

が、トランプ政権には違った読みがあるようだ。

中東では目下、サウジアラビアやエジプトに代表されるイスラム教スンニ派諸国と、イランを軸としたシーア派の宗派間対立が主要な争点となっている。イランを宿敵とするイスラエルが、水面下でスンニ派との連携を深めているなど、アラブ諸国は、反イスラエルや反米で団結できない事情を抱えている。トランプ政権は、イスラム圏からの一時的な反発をやり過ごせば、和平交渉再開も可能と見ているのだろう。

一方、中東諸国の指導者は一斉に批判の声を上げている。フェイスブックでもイスラム信徒やパレスチナ人らが、エルサレムにあるイスラム教聖地の写真を掲げるなどしてトランプ政権の決定に反発を強めている。パレスチナ難民を多数抱えるヨルダンは「新たな現実を押し付けようとする一方的な動きは無効だ」と指弾。

トルコの レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「エルサレムはイスラム教徒にとって越えてはならない一線だ」と反発した。イランの最高指導者アリー・ハメネイ師も「イスラム諸国はこの謀略に間違いなく決起するだろう」と非難している。

エルサレム帰属問題は、同じ一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教の融和を阻む心に刺さったトゲのような存在である。聖地が重なり合うエルサレム旧市街には、ユダヤ教の神殿が建てられていた場所に「嘆きの壁」が残り、約200メートル離れた場所にはイスラム教第3の聖地である岩のドームやアル・アクサ・モスクがある。

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  • NO NAME2681a0750028
    イギリスさんやフランスさんは過去の所業を蒸し返されたくないだろうけど、まあしょうがないよね
    up17
    down4
    2017/12/8 06:03
  • NO NAMEff6d8891fe7a
    イスラム圏があれだけバラバラなんだから、イスラエルとサウジが接近するのは、両国とも現実感覚に優れていると思う。おそらくサウジはパレスチナがイスラエルの首都でも構わないだろう。
    イスラム圏がばらばらなら、OPECの団結力も弱まり、一方的な減産による石油価格高騰も抑えられるだろう。同時に、石油と天然ガスを持ってるロシアをいじめ続けることも出来るだろう。
    宗教的には、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教ともに、同じ神を崇拝しつつ、預言者が違うだけである。いつまでも地域方言を巡っていさかいを続けるのは、損だと気付くべき。この点でもお金持ちのサウジは賢明。
    up9
    down0
    2017/12/8 09:51
  • NO NAME5fa2acaf6f00
    北の核を認めるという事かと。
    俺は弱腰じゃねえよというアピールね。
    プロレス外交だからわかりやすい。
    up11
    down3
    2017/12/8 07:50
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