ジェダイ評議会機能不全の理由 『エピソードI 見えざる脅威』における、シディアスの「シス」つまり「真の姿(本質)」としての最大の目的は、「クワイ=ガン・ジンの暗殺」だったのではないでしょうか。 『エピソードI』において、シディアスは「自分から」通商連合総督ヌート・ガンレイをそそのかし、自分の「仮の姿」「隠れみの」である「政治家パルパティーン」の「出身地」であるナブーとの間に大規模な紛争が起きるよう、わざわざ仕向けたわけですね。 それによって、政治家パルパティーンとしては「最高議長の地位の獲得」をいわば「必須条件」として目指したのではないか…その結果として、「宿敵」ジェダイ(騎士団)を打倒するために必要となる「力」=権力、武力、財力、Etc. のうち、もっとも基本的かつ重要な「権力」を手に入れる事にまずは成功したのではないか、そう感じているのですね。 同時に、「真の姿(本質)」であるシス卿ダース=シディアスとしては、大規模かつ利害が複雑にからまりあった紛争を解決するに当たって、評議会メンバーに勝るとも劣らない老練さと経験の豊かさを買われて出動する可能性が高いと思われるジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンを、騒動に紛れる形でダース=モールに「暗殺」させる事に成功したのではないか…その結果としてジェダイ騎士団、特にジェダイ評議会を『エピソードII クローンの攻撃』で見られるような機能不全の状態に追いこむ事にも、成功したのではないだろうか…そうも感じているのですね。 さて、「なぜ」クワイ=ガン・ジンという「個人」がシディアス(パルパティーン)の「標的」になるのかという理由についてですが…個人的には、以下にあげる資質をすべて備えた「真のジェダイ」とも呼ぶべき人物だったからではないか、そう考えているのですね。 1. 頭がいいのは言うまでもないが、さらに物事の裏を読んで推理する事ができ、直感的に真実を見抜く事もできる。 つまり、状況を「疑って」推理を深め、背後に隠されている真実を見抜くという「洞察」=「(敵と戦うために行う)発想の転換」ができる。 2. 思いやりや愛などの情は人一倍深いが、決してそれに溺れる事はない。 必要とあればいつでも、情を切り離した上で考えを進めたり行動を起こしたりする事ができる。 3. 自分なりの判断ができ、決断を下す事もでき、必要とあれば「手段を選ばない」行動を起こす事もできる。 (ただし、ある一定の「節度」を持って…あまり相手を追いつめ過ぎて「窮鼠猫を噛む」の逆襲状態になってしまうと、収拾がつかなくなってしまうので…なので「節度」ある対応では解決できそうにないと思われる場合は、最初に「とどめ」をさしてしまった方が、後々の面倒を避けられるという意味ではよりよい選択ではないかとも思われる) ついでながら、当時のジェダイの長であるメイス=ウィンドゥという人物を考えてみますと、おそらく先にあげた 1. の資質…特に「物事の裏を読んで推理する事ができ、直感的に真実を見抜く事もできる」を大きく欠いているのではないか、そう思われるのですね…もっともこれはメイス「個人」の問題ではなく、当時のジェダイ(騎士団)全体の問題というか、限界だったのではないだろうか、そうも思ってはいるのですが。 2. に関して言うなら、情はもともと「ない」だろう、そう考えています…これもメイスに限らず当時のジェダイ(騎士)は、「持っている情に溺れない」のではなく、「情というものを初めから持たない」事によって、「フォース(のライトサイド)を体現する存在」にふさわしくあろうとしていたのではないか、そう思われるからなのですね。 3. については、正確な情報を入手できた場合はまったく問題ないだろうと感じています…ただし、故意に誤った情報をつかまされてしまった可能性が考えられる場合では、敵の隠された思惑をおしはかるための「発想の転換」=「洞察」を行う事ができないのではないかと思われる以上、せっかくの判断力も決断力も、文字通り「宝の持ち腐れ」となってしまう怖れがあるのではないだろうか…現に『エピソードII』ではすでに、その状態に陥ってしまっているのではないだろうか…そうも感じているのですね。 さて、話を戻しますと…。 先にあげた資質をすべて備えている人物が敵の陣営にいるとしたら、陰謀にしろ自分の正体にしろ「いつ」「何がきっかけで」見破られてしまうか分からないわけで、パルパティーン(シディアス)でなくても非常にやりにくいのではないだろうか…ましてや現在は元老院議員、近い将来は最高議長という立場では仕方のない事とはいえ、かなり頻繁に顔を合わせなくてはならない間柄とあっては、見破られるリスクがますます高くなると思われるため、なおさらの事ではないだろうか…そう思われるわけですね。 しかし、そのような人物が敵の中に現時点で「1人」しかいなかったとしたら…これは裏を返せば、大変なチャンスとも言えるのではないか、そう私には思われるのですね。 つまり、その「1人」=クワイ=ガン・ジンという「個人」を抹殺する事にさえ成功すれば、結果として敵であるジェダイ(評議会も騎士団も)の動きを、かなり確実に封じる事が可能になるのではないか…そうも思われるからですね。 クワイ=ガン・ジンという「個人」、つまり万一にでも自分の正体を見破る可能性のある具体的な「敵」を消してしまいさえすれば、残ったジェダイ(騎士)たちにはクワイ=ガンと同じ「洞察」…置かれた状況を疑って推理を深め、背後に隠されている真実を直感的に見抜くという「(敵と戦うために行う)発想の転換」はできないと思われる以上、最高議長となった「政治家パルパティーン」にさらなる権力、武力、財力、Etc. が集中し、ジェダイ(騎士団)、ひいては共和国そのものを打倒できるほどの「力ある」存在になろうとしていても、その「状況を疑って」パルパティーン=シディアスという正体(真実)を見破る事は、おそらく不可能だろう…そう、シディアスは「読んで」いたのではないかとも思われるのですね。 したがって、ジェダイ(評議会)が機能不全に陥った最大の理由は、「洞察」のクワイ=ガン・ジン&「瞑想」のヨーダ&「決断」のメイス、このいわばトライアングルともいうべき関係の基礎であり出発点でもある部分を、『エピソードI』の時点で「クワイ=ガンの死」により壊されてしまった事にあるのではないか…そう感じているのですね。 いわば鼎(かなえ)を支える三本の足の一本を、シディアスは狙いすまして折ったのではないか…その後、残されたヨーダがいくら「瞑想」しようとも、メイスの冷静な「判断力」「決断力」にいささかの曇りがなかろうとも、その支えとなる出発点であるクワイ=ガンの「洞察」を奪われてしまった時点で、ジェダイ(評議会)はいわば大きな「足かせ」をつけられた状態…自分たちの置かれた状況には裏、つまり罠が潜んでいるのではないか、自分たちの把握している情報は本当に正確なのか、それを元に判断し決断を下しても本当に問題はないのか、確かな事は何も分からず、何が分からないのかさえ分からない…のまま、シスの「見えざる脅威」に対抗せざるを得なくなったのではないか、そう思われるのですね。 なのでやはり、『エピソードI』の時点で「クワイ=ガン・ジンの暗殺」に成功した事により、先の状況にジェダイ(評議会も騎士団も)を追いこむ事にも成功した、シディアス(パルパティーン)の策略勝ちと言えるのではないだろうか、そうも感じているのですね…個人的にではありますが。 ではまた ^^☆ (2002/09/08初稿、2005/04/10改稿)
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