「ナブー(VS通商連合)紛争」の理由について 「ナブー(VS通商連合)紛争」が生じた理由については、これまでは「よく分からない」また「すべては偶然の産物に過ぎない」などと片づけられてしまう場合が多かったように、個人的には感じているのですね。 しかし実は、この紛争の生じた理由やその性質、意味、そして紛争の当事者であるナブーおよび通商連合の持つ性格については、『エピソードI 見えざる脅威』のオープニング・タイトルにおいて、簡潔に説明されているのですね。 また、元老院におけるパルパティーンの発言の中でも、「交易ルートの課税問題を発端に…」と、少しではありますがこの紛争が生じた理由について触れているのですね。 (とはいえ、オープニング・タイトルの説明が伝わらない状態では、この発言そのものもほとんど意味を持たないというか、何やら意味不明の事をつぶやいているとしか受けとられない可能性が高いのではないかと思われますし…仮にそう受けとめられてしまう場合が多かったとしても、無理もない事ではないだろうか…そうも感じているのですね) このオープニング・タイトルが、『エピソードI』DVDの日本語字幕版ではまったく訳されておらず…また、吹替版に収録されている日本語版オープニング・タイトルには、残念な事に誤訳と思われる部分が2ヶ所あるようなのですね。 そのため、「ナブー(VS通商連合)紛争」という事態が「なぜ」生じたのかという理由が、観ている側にはほとんど伝わらないまま、『エピソードI』の本編が始まってしまい…結局最後までよく分からないまま終わってしまうという事になってしまうようなのですね。 その結果、「強欲な(貪欲な)通商連合が、何の理由も意味もなく突然…それも偶然、ナブーという小さな惑星を襲った」という、おそらくは製作した側としてはまったく意図していないだろうと思われるイメージを、観る人の多くが持ってしまうという事にもなっているようなのですね…困った事ではあるのですが。 さて、なぜ私がこの問題に気づいたかといいますと、最初に『エピソードI』を観たのがTV放映版だったから、なのですね。 TV放映版『エピソードI』を編集された方々は、おそらくはこの問題…オープニング・タイトルの説明がほとんど伝わらないために、『エピソードI』のイメージを形作っていく上で欠かせない設定の1つであるはずの「ナブー(VS通商連合)紛争」の意味が、観る側には最後までよく分からないまま物語が終わってしまう…を改善するためではないかと思われるのですが、英文オープニング・タイトルのスクロールに合わせて、まったく新しく作られた日本語ナレーションをかぶせて内容を説明していくという形を取っているのですね…ご覧になられた方は、すでにご存知の事だろうとは思うのですが。 では、問題のオープニング・タイトルを、まずはオリジナルの英文からあげてみたいと思います。 Turmoil has engulfed the Galactic Republic. The taxation of trade routes to outlying star systems is in dispute. Hoping to resolve the matter with a blockade of deadly battleships, the greedy Trade Federation has stopped all shipping to the small planet of Naboo. While the Congress of the Republic endlessly debates this alarming chain of events, the Supreme Chancellor has secretly dispatched two Jedi Knights, the guardians of peace and justice in the galaxy, to settle the conflict,,, 以下は、個人的に作ってみた訳です…()内の言葉は、訳に当たって補ったものです。 銀河共和国は、騒乱のただ中にあった…辺境星域への交易ルートの課税(の問題) が、紛争となったのだ。 貪欲な通商連合は、恐るべき戦艦団による封鎖をもって事態の解決を図り、小惑星ナブーへのすべての船舶の航行を阻止していた。 この驚くべき一連の事件に(際し)、共和国議会が果てしなく討論をしている間に、最高議長は (双方の)利害の衝突を解決するため、銀河系の「平和と正義の守護者」ジェダイの騎士を2人、急使としてひそかに送った… また、TV放映に当たって新しく作られた日本語ナレーションもあげてみます。 銀河共和国は、混乱の極みにあった…惑星間の貿易関税率をめぐる争いが、泥沼に陥っていたのだ。 強欲な通商連合は、武力で事態の解決を図ろうと強力な宇宙戦艦を出動させて封鎖線を張り、小惑星ナブーへのあらゆる船舶の通行を阻止した。 この非常事態に際し、ひたすら無意味な議論の応酬をくりかえす共和国議会に業を煮やした最高議長は、ひそかに銀河系の「正義と平和の守護者」ジェダイの騎士と連絡を取り、波乱の収拾を求めた… 最後に、DVDに収録されている日本語吹き替え版オープニング・タイトルは、以下の通りです。 (<>内が、誤訳と思われる部分です) 銀河共和国を混乱が襲った…辺境の星との交易に、<税を課すべきか否か>。 貪欲な通商連合は武力での事態解決を図り、バトルシップ艦隊を出動…小惑星ナブーへの航路を封鎖してしまった。 この非常事態に、共和国議会は果てしない討議をくりかえすばかり…共和国最高議長は、事態打開のために「平和と正義の守護者」ジェダイの騎士2人を、ひそかに<通商連合側に>派遣した… 以上、騒乱また混乱という言葉にも示されているように、銀河共和国にとって『エピソードI』時点における「ナブー(VS通商連合)紛争」という事態は、共和国始まって以来の事件ではないものの、それでもめったに起こる事のない非常事態という設定になっている…そう、私には思われるのですね。 また、この紛争が生じた理由についても、オープニング・タイトルにおいて明確に「(辺境星域への)交易ルートの課税(関税の事でしょうね )問題が原因である」 となっている以上、「通商連合が突然…しかも偶然、理由もなくナブーを襲った」のではない、そうも思われるのですね。 つまり、ナブーと通商連合の間には「交易ルートの課税問題」をめぐる争いが、おそらくは長年に渡って存在していたのではないか…その争いが昂じたため、あるいは何らかの「きっかけ」があったために、結果として『エピソードI』で実際に見られるような武力紛争という最悪の事態に発展したのではないか…そうも感じているのですね。 (ちなみに、通商連合の側にとってはおそらく、『エピソードI』で描かれていたシディアスの働きかけが、そのまま「きっかけ」になっただろうと思われるわけですね…言うまでもない事だろうとも思ってはいますが) また、「交易ルートの課税問題」をめぐって、武力こそ用いていないものの通商連合のような強力な存在と正面から争っている事から考えると、ナブーはおそらく「単なる辺境の小さな惑星(国家)」あるいは「ど田舎こと辺境星域の弱小国であり、共和国にとってはどうでもいい存在」では「ない」のだろう…そう感じているのですね。 おそらくナブーは、周辺の辺境星域と銀河系の中心地域とをつなぐ「交易ルート」の「拠点」の1つとして繁栄している国なのではないだろうか…小さな惑星国家としては不釣り合いとさえ思われるほどの豊かさは、実は「交易ルート」を介した「中継貿易」、およびその交易に対する課税=関税という形でナブーにもたらされている、莫大な利益によるのではないだろうか…そう、私には思われるのですね。 したがって、ナブーという国はおそらく、共和国の首都コルサントを中心に銀河系全体に網の目のように張りめぐらされて共和国の物流、さらに経済活動そのものを支えている、大規模な流通経路=「交易ルート」の中で、辺境星域における「中継貿易」のたばね役を担っている、いわば「辺境星域の女王」とでも呼ぶべき存在なのではないか…そうも感じているのですね。 とはいえむろん、言うまでもなくナブーは「文化国家」であり…民主主義を尊重し、平和を愛する国民性からも、おそらくは「喜んで、自分たちにできる形で、できる限りの力をもって」共和国への献身と義務=責任を果たそうと努力する国家でもあり、そのためもあって共和国内において常に「高い信用(信頼)」と「(ある種の)尊敬」をよせられ、共和国を支える主要なメンバーとして活躍していながらも、決しておごり高ぶる事もない「理想的な」国家でもあると思われる…こういったイメージのすべてが、あのナブーという美しい国にいわば「(国家というものの)理想の体現」として託されているのではないか、そうも思っているのですね…個人的にではありますが。 ではまた ^^☆ (2002/11/01初稿、2003/11/23改稿)
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