ジェダイ騎士団の性格について その1


 プリークエル(『エピソードI 見えざる脅威』&『エピソードII クローンの攻撃』)の主要な舞台である、銀河共和国という存在…個人的には、ナブーやオルデラーンのような星系国家が集まって成立している、いわゆる「連邦政府」に近い存在なのではないか…つまり、イメージ的には私たちの世界の国連(国際連合)に近い組織なのではないか、そう考えているのですね。

 そして、千年もの長きに渡って、「銀河系(共和国)の平和と秩序の守護者」として存在してきた、ジェダイ騎士団という組織…これも個人的なイメージとしては、私たちの世界のヴァチカン市国(ローマ法王庁)および聖ヨハネ騎士団に近い存在なのではないか、そう感じています…後者のイメージの方がより近いように思われるのですが、しいて言うなら「実力はヴァチカン市国に、組織としてのあり方は聖ヨハネ騎士団に近い」という感じでしょうか。
(もっとも、ジェダイ騎士団と聖ヨハネ騎士団とでは、「騎士団」という組織としてのあり方はともかく、性格は大きく異っているだろうとも、感じてはいますが…特に「現在の」聖ヨハネ騎士団は、医療活動を中心に行っている慈善団体ですので)


 さて、まずはヴァチカン市国(ローマ法王庁)について、ですが…。

 ローマ法王庁という宗教組織の「政治的側面を体現する」ヴァチカン市国は、国連「非」加盟国であり、国連の「政治的側面」(たとえば「安全保障理事会」など)に対しては常に一定の距離を保つという、「名誉ある中立」…孤立ではなく、自らの理念に基づいて「自主的に」選んだ立場である、という意味の用語です…という立場を、「伝統的に」守っている存在でもあるのですね。
 とはいえ、国連の平和維持活動などには積極的に協力していますし…平和維持活動への兵員の派遣などは行っていませんが、ローマ法王庁という宗教組織の「政治的側面を体現する」ヴァチカン市国の性格を考えてみれば、当然の話でしょう…また、対立する勢力同士の争いを仲裁した上で話しあいの場を設けるといったような活動を、独自に行ってもいるのですね。

 もう1つの聖ヨハネ騎士団についてですが、おそらく日本においてはあまりなじみのない組織ではないかと思われますが、幸い非常に分かりやすい解説をされているホームページがありますので、ご紹介いたします。

歴史のお話 7.イェルサレム聖ヨハネ・オスピタリエレ (01-07-18).

 で、このページの筆者の方は、おそらく意識して触れておいでではないのだろうと思うのですが、実はローマ法王庁と聖ヨハネ騎士団の間にも、先にあげた「名誉ある中立」の関係が存在しているのですね。
 つまり、キリスト教の一派である「ローマン=カトリック」に属する宗教組織として、聖ヨハネ騎士団はカトリック世界の「首座(国家でいう「元首」に当たります)」であるローマ法王に属しているのですが、ローマ法王庁の「政治的側面を体現する」ヴァチカン市国に対しては、伝統的に「名誉ある中立」を保っているため、所属して「いない」のですね。
 こういった「伝統」「慣習」に基づく関係は、現在でもヨーロッパ世界の各方面に、根強く残っているようです…それ以外の地域の人間にとっては、不思議でなじみのない関係と感じられてしまう場合が多いだろうとも思われますが。


 さらに、現在まで存続している聖ヨハネ騎士団だけでなく、すでに滅びてしまった歴史上の騎士団(宗教騎士団、また軍事「修道会」とも呼ばれます)には、共通する「掟」が存在していたのですね。

 その掟とは、
  1. 妻帯(結婚)の禁止(本来は「恋愛そのものが禁止」)
  2. 私的所有の原則禁止
  3. 入団資格者は王侯貴族の子弟のみ
 一見して明らかなように、1. および 2. の「掟」は、ジェダイ騎士団にもそのまま反映されているわけですね… 3. に関しては、「王侯貴族の子弟」を「フォースを(操れる力を)持つ者」と読みかえればよいのではないか、そう考えています。

 ちなみに、単に「騎士」とだけ言った場合には、基本的に主君から「騎士」の称号を授けられた者「すべて」を指す事になりますが、騎士「団員」と言った場合には、「修道」騎士つまり「妻帯(結婚)の禁止」という「掟」のもとにある者を指す事になるのですね。
 なぜなら、歴史上に存在した騎士団のほとんどが、「宗教」騎士団=軍事「修道会」だったからなのですが…したがって、プリークエル(『エピソードI』&『エピソードII』)のジェダイ騎士「団」を見たアメリカやヨーロッパの人々は、おそらく自動的にジェダイ騎士「団」=妻帯(結婚)禁止、私的所有も原則として禁止の「修道」騎士「団」というイメージを持ったのではないか、そう私には思われるのですね。
(とはいえ、日本においてはこれまたほとんどなじみのないイメージと思われるだけに、もう少し説明が欲しかったような気もしてはいるのですが)


 さて、ジェダイ騎士団の性格について、ですが…。

 私的にはやはり、共和国の「政治的側面を体現する」元老院に対して、伝統的に「名誉ある中立」を保ち、常に一定の距離をおいて存在する組織なのではないか…そう感じているのですね。
 なので、先にあげた聖ヨハネ騎士団をジェダイ騎士団、ローマ法王を最高議長、ヴァチカン市国を銀河元老院と読みかえてみると、おそらく『エピソードI』&『エピソードII』で実際に見られるジェダイ騎士団の立場に、ほぼ相当する事になるのではないか…そう感じているのですね。

 したがって、名目上・形式上は「最高議長に属する」組織とはいえ、実際にはジェダイ騎士団という存在は、共和国内において「ある程度の」独立性を持ち、独自の「掟」をもって運営されている組織なのではないか、そう思われるのですね。
 実際にジェダイ・アーカイブ(図書館)のように「ジェダイのみが」利用できる施設が存在しているという事実からも、ジェダイ騎士団の共和国内における地位というものを読み取る事ができるのではないか…そうも思われるのですね。

 なのでおそらく、『エピソードI』&『エピソードII』のオープニング・タイトルの「ジェダイ(騎士団)は銀河系(共和国)の平和と秩序の守護者」であるという表現は、このようなジェダイ騎士団のあり方をも、意味しているのではないか…そう、私には思われるのですね。
 とはいえ、仮に「ある程度の」独立性を備えていたとしても、言うまでもなくジェダイ騎士団は共和国「内の」一組織であり、また「銀河系(共和国)の平和と秩序の守護者」というあり方から考えても、ジェダイたちは共和国の理念である民主主義を尊重しているだろう、そうも思われるわけですね。
(実際にも、『エピソードII』において「若き」オビ=ワンが、「(腐敗した議員どもが)金のためなら民主主義もないがしろにする」と、苦々しげに言っているシーンもありますし)

 また、この「銀河系(共和国)の平和の秩序の守護者」というあり方、つまり組織としての性格によって、ジェダイ騎士団はおそらく千年に渡って守護されてきた共和国の人々はむろん、それ以外の人々からも尊敬とある種の畏怖をもってうやわまれる、独特の「権威」を備えた存在でもあるのではないだろうか…そうも感じているのですね。
 そしてこの「権威」は、ジェダイ(騎士)たちが役目を果たす際にも、おそらく「ものを言って」いたのではないか…後ろめたい事のある人々(たとえば、『エピソードI』の通商連合総督ヌート=ガンレイや部下たち、また『エピソードII』のワトーなど)には怖れられ、そういった事のない人々(ナブーの人々など)には無条件で信頼を寄せられるという事にもつながっていたのではないか、そうも思っているのですね、これも個人的にではありますが。


…続きます ^^☆

(『ジェダイ騎士団の性格について』2002/08/05初稿、2004/11/30決定稿)



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