2017-12-08

ソシャゲ屋を辞めた理由

年末からかなんだからか、転職退職に関する話題が多い。

Advent calendarは2セット満員だし、Twitterハッシュタグもバズったようだ。


ずっと吐き出せなかったことを、匿名で書いておこうと思う。

書ききったら思いのほか、長くなってしまった。

結論だけ知りたい人は、最後段落だけ読んでくれても良い。


先に言っておくが、おそらく普通の人が期待するような

ユーザから絞り上げる体制が~」だの「ゲームバカにする姿勢が~」だの言う話は無い。


また、ここに書いた事がすべてではない。

例えば給料とか、通勤が面倒とか、そういったありふれた理由も多くある。

ここに書くのは、辞めようと思った原因の一つでしかない。


私はずっと、プログラマとして賃金を稼いでいる。

そのソシャゲ屋に入ったのも、引っ越しを機に転職した、ただそれだけの話だった。

ソシャゲ屋に絞って探していたわけではない。

ただ、ゲームは好きだった。


物心いたこから、家にはゲーム機があり、両親もゲームが好きだったので、よく家族プレイしていた。

独立してからも、帰宅すれば真っ先にネットゲームログインし、コンシューマゲームと並行でプレイしている、それくらいにはゲームをやっていた。


さて、ソシャゲ屋と言ってもピンキリだが、入ったソシャゲ屋は比較的大きな所だった。

上にも書いたような、悪意はほとんど表立って聞くことは無く、

ユーザに少しでも楽しんでもらおう、と日々願う、ゲーム好きな人たちが集まったところだった。


さて、ソフトウェア開発で「ドッグフード」と呼ばれるプロセスをご存じだろうか。

何年も前に話題になったので、知っている人も多いと思う。

私も、せいぜいウェブで読んだ程度の

知識なので、具体的な定義は違うかもしれないが

自分たちで開発したソフトウェアを、自分たちで使って評価する、という事だと、私は認識している。

ただのテストプレイでは無く、ユーザとして利用する、という意味だ。


Web屋の延長としてのソシャゲ屋が多かったことも有り、私の所属していた会社も、そのような行動を推奨していた。

まり「自社ゲームプレイしろ!」という事である

※本題からはそれるが、もちろん他社ゲームプレイするように言われていた。


実際にユーザとして遊ばないと解らないような、ゲームバランスがある。

ネトゲソシャゲ界隈ではよく、中途半端修正が来るたびに「運営プレイしたのかよ」と言うような不満が飛び交う。

それに対するアンサーとして、確かに、正しい。


でも私には、どうしても、社員が自社ゲームユーザとしてプレイしていることが、許せなかった。

仮にそれが実費だとしても、である





上に書いた通り、私は、ネトゲも良くやっていた。

ギルドクラン所属し、上位を競う、そういう遊びも沢山やった。

※面倒なので、以後ギルド単語を絞る。


ネトゲにおける集団戦は、情報戦としての側面も強い。

もちろん、個々のプレイヤースキルも大きい。

だが、いかに早く次の実装内容を知り、それに合わせて準備するか、といったことも、とても重要だった。


とすると、不思議情報の早いギルドが出現することがある。

そして、真偽は解らないが「あのギルド社員が居るから」という噂が、まことしやかにささやかれるのだ。


私は、それがもし本当なら、卑怯だ、と。ずっと思っていた。






さて、ソシャゲ屋であれば、当然、プレイ統計情報を見ることが出来る。

サーバ全体で、何の装備・キャラがどれだけ使われているのか。

物の価値はどうなっているのか。

そういったものは、運営チームの中で共有される。

当たり前だろう。次のイベントを考えるためには、必須情報だ。

更にいうなれば、未実装かつ未公開の実装情報も、いち早く知ることが出来てしまう。


しかし、それを知っているものが、イチプレイヤーを装って、普通にプレイすることが出来るのだろうか?

私はそれがずっと疑問だった。

間違いなく、情報として優位になるだろう。知り得た情報を「意図的に使わない」という事は非常に困難だ。



ソシャゲイベントにはランキング報酬というものがある。

何らかのスコアランキングを競い、上位〇名が報酬をゲットできる、というものだ。

ある日、とある社員の人が、最近開催されたイベントで、ランキング上位に入ったという話を聞いた。

それも最上位の報酬だ。相当な金と時間効率プレイを行わなくては、入ることが出来ないと思われるものだ。

実装の話が出てから、ずっとそのために準備してたんだって飲み会も控えてお金貯めてたんだって」なんて噂とともに。




私にはそれがどうしても我慢できなかった。

情報優位にある社員プレイし、上位報酬を取る。

その社員が、情報を知らなければ、上位に入れていたかは分からない。

別の誰かが報酬をゲット出来ていた可能性もある。

なんて邪悪なのだろうと思った。






良いゲームバランスのためには、実際にゲームプレイしてみないといけない。

そして、ソシャゲネトゲの類は、ユーザの行動によってバランスが決まる部分が多く、

ローカルでのテスト環境では、正しく判断をすることが出来ない。

しかし、情報優位な社員が、一般ユーザに交じってプレイすることは、不公平ではないか

人によっては数百万円単位でつぎ込むことも有る、ソシャゲネトゲにおいて、それは許されることなのだろうか?

この問題に答えが見つかるまで、二度と、ゲーム仕事はしないと心に決めている。

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