東浩紀「日本における女性の地位の低さは異様」
連載「eyes 東浩紀」
批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。
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去る11月22日、熊本市議会で緒方夕佳議員が生後7カ月の長男とともに出席を試みた。出席は認められず、最終的に長男は退場を迫られた。是非をめぐり議論が沸騰している。
ネットを見るかぎり、子連れ参加賛成派と反対派は拮抗(きっこう)しているようだ。欧米は子連れOKだと説く賛成派に対し、反対派は欧米になんでもあわせればいいのかと噛みついている。問題提起の方法に疑問を呈する向きもあるようだ。
しかし本当の問題はそこにはない。重要なのは、そもそも日本では女性議員の割合が異様に低いということである。日本の地方議会における女性の割合は、2016年の時点で都道府県議会が約10%、市区町村議会平均で約13%にとどまっている。この割合が異常なことはあきらかだ。地方議員の国際比較統計は存在しないが、日本の国会の女性議員比率は9%強(16年)。これは世界平均の約23%を大きく下回り、193カ国中163位だ。むろん中国や韓国よりも低い。欧米がどうという問題ではないのだ。