いま日本株を買っている外国人は、中長期的な儲けを目指すプレイヤーたち。彼らが長い目で見て、「買い」と判断したニッポンの未来図とはどんなものか。投資先リストからその全貌が見えてきた。
史上初の16連騰を記録した勢いそのまま、11月に入っても日本株市場は「沸騰相場」が続いている。11月1日からして日経平均株価は前日比408円高の2万2420円へと急騰し、さっそく約21年ぶりの高値を記録して見せた。
言うまでもなく、この大相場を牽引しているのは日本株市場の全取引の7割を占める外国人投資家たち。
9月の第3週まで9週連続で日本株を売り越していた彼らが、日本株の買いに急遽転じたのには明確な理由がある。ケイ・アセット代表の平野憲一氏が言う。
「外国人投資家が日本株買いに転じたのは、日本の景気回復を確信し始めたのが大きい。彼らが買いを本格化させたのは9月末からですが、これは正社員の有効求人倍率の回復が確実になってきた時期と重なるんです。
正社員の有効求人倍率が1倍を超えたのは今夏が初でしたが、その後も順調に推移し、9月には1.02倍と統計を取り始めて以来過去最高値を叩き出した。
ここ数年は一部の大手企業社員や非正規雇用者の賃金だけが上がってきたが、いよいよ日本全国の正社員にまで賃金上昇が波及し始めた。それに気が付いた外国人投資家たちが、『賃上げ↑本物の景気回復』を信じて、積極的な買いに入った」
外国人投資家による直近4週間での買い越し額は約1兆7000億円。まさに「爆買い」だが、そんな外国人投資家たちが10月から買っていた「株リスト」が本誌独自調査で判明した。
今回本誌では、アメリカや欧州を拠点にする著名機関投資家たちが買った数十銘柄がずらりと並ぶそのリストを、金融・経済のプロフェッショナルとともに分析。彼らが日本経済の行く先をどう予測しているかがまざまざと見えてきた――。
まず間違いなく言えるのは、外国人投資家たちは「日本の不動産の活況」を見越しているということだ。
「さきほど言ったように賃上げから景気回復が本格化してくれば、いよいよインフレが始まる。当然、そうなれば不動産価格は上昇していく。
しかも、株高局面ではこれまで不動産を買い控えていた人がインフレを実感するようになり、いまのうちに買っておこうという心理変化も起きる。
外国人投資家が買い増している日神不動産やTHEグローバルは、都心部でリーズナブルなマンションや戸建てを手掛ける会社。まさにいままで買い控えていた層が不動産市場に入ってくるシナリオを見越してのことでしょう。
ゼネコンの安藤ハザマに加えて、エレベーターを手掛けるフジテックが入っているのも、五輪特需後もマンションなどの不動産需要が続くと見られている証拠です」(前出・平野氏)