米 エルサレムを首都認定へ パレスチナ側が反発強める

米 エルサレムを首都認定へ パレスチナ側が反発強める
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アメリカのトランプ大統領が、中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことにパレスチナ側は反発を強め、抗議行動を呼びかけていて、イスラエル政府はエルサレムなどで警戒態勢を強めています。
アメリカ、トランプ政権の高官によりますと、トランプ大統領は中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決め、国務省に対し、現在、テルアビブにあるアメリカ大使館をエルサレムに移転する準備を始めるよう指示することにしていて、6日午後(日本時間の7日未明)、みずから発表する予定です。

エルサレムは、イスラエルが首都だと主張していますが、イスラエルの占領下にあるパレスチナ側も将来、国家を樹立する際の首都にするとしていて、国際社会はイスラエルの首都だとは認めていません。
このため、パレスチナ側のすべての政治勢力は、6日から3日間を「怒りの日」と位置づけ、抗議行動を呼びかけています。

また、一夜明けたエルサレムの旧市街では、パレスチナの住民らが「完全に不公平で誤った決定であり、イスラエルとの和平交渉はこれで終わったも同然だ」とか、「エルサレムはアラブ人、イスラム教徒のものであり、これからイスラエルに対する抗議活動が活発化するだろう」と話し、怒りをあらわにしていました。

これまでのところ、大きな混乱は起きていないものの、8日金曜のイスラム教の集団礼拝の後などは、抗議デモが拡大する可能性もあり、イスラエル政府はエルサレムを中心に治安部隊を増員して警戒態勢を強化しています。

イラン 強く反発

アメリカのトランプ大統領が中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことについて、イランの最高指導者ハメネイ師は6日、政府高官らが集まった式典で「イスラム諸国はこの謀略に対して、間違いなく立ち上がるだろう」と述べて、強く非難しました。

また、同じ式典に出席したロウハニ大統領も「新たな冒険主義とごう慢な政策は受け入れられない」と憤りをあらわにしました。

イランは、イスラエルがパレスチナの領土を不法に占拠しているとして、イスラエルを国家として承認しておらず、トランプ政権がエルサレムを正式に首都と認めれば激しく反発することが予想されます。

中東専門家「テロの口実与えることに」

アメリカのトランプ大統領が中東のエルサレムをイスラエルの首都と認め、大使館を移転する方針を決めたことについて、中東和平問題に詳しい防衛大学校の立山良司名誉教授は「テロを行う口実を与えることになる」と述べ、イスラム社会全体に反発が広がり、中東情勢の不安定化やテロの連鎖につながるおそれがあると指摘しました。

立山名誉教授は6日午後、NHKのインタビューに応じ、中東和平への影響について、「和平交渉を再開し、前進させるような環境になかったところに加えて、大使館移転という考えによって再開の芽を全部つぶしてしまったと言える」と述べ、中東和平に向けたプロセスが崩壊してしまうという見方を示しました。

また決定の背景については、エルサレムへの大使館移転を強く支持してきたアメリカ国内のキリスト教福音派の存在を挙げ、「トランプ大統領への支持率が下がる中で、依然として福音派の支持は強い。最後のよって立つ基盤である福音派の支持を確実にするため、今回の措置を取ろうとしているのだと思う」と指摘し、国内的な理由によるものだと分析しました。

そのうえで「パレスチナ人の間で抗議行動が拡大し、イスラエルの治安部隊と衝突して流血の惨事が拡大したり、暴力の連鎖が再び起こる可能性がある。テロ組織にテロを行う非常にいい口実を与えることにもなる」と述べ、イスラム社会全体に反発が広がり、中東地域の不安定化やテロの連鎖につながるおそれがあるという懸念を示しました。

ローマ法王も強い懸念

アメリカのトランプ大統領が、中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことについて、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、6日バチカンで演説し、「エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、そして、イスラム教の聖地がある独特な街だ」としたうえで、「私は、この数日間でもたらされた状況について強い懸念を隠しえない。エルサレムの現状を尊重すべきだとすべての人々に訴えたい」と述べました。

そのうえで、「人々の英知やつつましさによって新たな混乱が回避されるよう祈りをささげる」と述べ、今回の決定が、新たな対立の火種とならないよう力を合わせるべきだと呼びかけました。

米 エルサレムを首都認定へ パレスチナ側が反発強める

アメリカのトランプ大統領が、中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことにパレスチナ側は反発を強め、抗議行動を呼びかけていて、イスラエル政府はエルサレムなどで警戒態勢を強めています。

アメリカ、トランプ政権の高官によりますと、トランプ大統領は中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決め、国務省に対し、現在、テルアビブにあるアメリカ大使館をエルサレムに移転する準備を始めるよう指示することにしていて、6日午後(日本時間の7日未明)、みずから発表する予定です。

エルサレムは、イスラエルが首都だと主張していますが、イスラエルの占領下にあるパレスチナ側も将来、国家を樹立する際の首都にするとしていて、国際社会はイスラエルの首都だとは認めていません。
このため、パレスチナ側のすべての政治勢力は、6日から3日間を「怒りの日」と位置づけ、抗議行動を呼びかけています。

また、一夜明けたエルサレムの旧市街では、パレスチナの住民らが「完全に不公平で誤った決定であり、イスラエルとの和平交渉はこれで終わったも同然だ」とか、「エルサレムはアラブ人、イスラム教徒のものであり、これからイスラエルに対する抗議活動が活発化するだろう」と話し、怒りをあらわにしていました。

これまでのところ、大きな混乱は起きていないものの、8日金曜のイスラム教の集団礼拝の後などは、抗議デモが拡大する可能性もあり、イスラエル政府はエルサレムを中心に治安部隊を増員して警戒態勢を強化しています。

イラン 強く反発

アメリカのトランプ大統領が中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことについて、イランの最高指導者ハメネイ師は6日、政府高官らが集まった式典で「イスラム諸国はこの謀略に対して、間違いなく立ち上がるだろう」と述べて、強く非難しました。

また、同じ式典に出席したロウハニ大統領も「新たな冒険主義とごう慢な政策は受け入れられない」と憤りをあらわにしました。

イランは、イスラエルがパレスチナの領土を不法に占拠しているとして、イスラエルを国家として承認しておらず、トランプ政権がエルサレムを正式に首都と認めれば激しく反発することが予想されます。

中東専門家「テロの口実与えることに」

中東専門家「テロの口実与えることに」
アメリカのトランプ大統領が中東のエルサレムをイスラエルの首都と認め、大使館を移転する方針を決めたことについて、中東和平問題に詳しい防衛大学校の立山良司名誉教授は「テロを行う口実を与えることになる」と述べ、イスラム社会全体に反発が広がり、中東情勢の不安定化やテロの連鎖につながるおそれがあると指摘しました。

立山名誉教授は6日午後、NHKのインタビューに応じ、中東和平への影響について、「和平交渉を再開し、前進させるような環境になかったところに加えて、大使館移転という考えによって再開の芽を全部つぶしてしまったと言える」と述べ、中東和平に向けたプロセスが崩壊してしまうという見方を示しました。

また決定の背景については、エルサレムへの大使館移転を強く支持してきたアメリカ国内のキリスト教福音派の存在を挙げ、「トランプ大統領への支持率が下がる中で、依然として福音派の支持は強い。最後のよって立つ基盤である福音派の支持を確実にするため、今回の措置を取ろうとしているのだと思う」と指摘し、国内的な理由によるものだと分析しました。

そのうえで「パレスチナ人の間で抗議行動が拡大し、イスラエルの治安部隊と衝突して流血の惨事が拡大したり、暴力の連鎖が再び起こる可能性がある。テロ組織にテロを行う非常にいい口実を与えることにもなる」と述べ、イスラム社会全体に反発が広がり、中東地域の不安定化やテロの連鎖につながるおそれがあるという懸念を示しました。

ローマ法王も強い懸念

アメリカのトランプ大統領が、中東のエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を決めたことについて、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、6日バチカンで演説し、「エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、そして、イスラム教の聖地がある独特な街だ」としたうえで、「私は、この数日間でもたらされた状況について強い懸念を隠しえない。エルサレムの現状を尊重すべきだとすべての人々に訴えたい」と述べました。

そのうえで、「人々の英知やつつましさによって新たな混乱が回避されるよう祈りをささげる」と述べ、今回の決定が、新たな対立の火種とならないよう力を合わせるべきだと呼びかけました。