左の記号が、右のように見えるらしい
ときどき地面に謎の記号が手書きしてあることがある。「Ex4 1.5」とかだ。
見る人が見ると、そこから地下のようすが分かるらしい。 なんだかすごい能力だ。ふだんからそうやって地下を見ている人に話をきいてきました。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。
前の記事:「パイロンはがんばっている」 人気記事:「マクドナルドが一斉に閉店した日」 > 個人サイト ツイッター(@mitsuchi) これが謎の記号だ街を歩いていると、地面にこんなふうに手書きされてることがありませんか。
いろいろ書かれてる
「Wφ150」とか「DP0.8」とかいろいろ書いてある。
意味は分からないが、たぶん道路工事とかにかかわる関係者だけが分かる記号なんだろう。 これを通して地下を見る、という人たちそして世の中には、工事関係者でもなんでもないのに、これらを推測・解読し、それによって地下のようすを見ることができる、という人たちがいる。
Twitterでは、「#見える地下」というハッシュタグを検索するとその活動の一端を知ることができる。 「ガス管は全部の分岐点にバルブを設置するわけじゃないんだね」と書かれているが、ぼくからすればそこにはただ「G→」というシールが貼ってあるだけにしか見えない。
彼らにはいったい何が見えているのか。一緒に街を歩いて、「見える地下」について教えてもらうことにした。 東京の水道橋駅に集合しました。左から知人で編集者の磯部さん、小金井さん、Nさん(仮名)。
なにか書いてある
これを見て、Nさんたちが何やら話をしていた。
まずはここ。Wとある。
Nさん「まず左下のWは Water、つまり水道管がここに通っているということだ思います。」
つぎはこれ
Nさん「それからTはTelephone、つまり電話線でしょうね。」
三土「0.8っていうのはなんでしょう」 Nさん「それはおそらく電話線が敷設されている深さで、単位はメートルでしょう。」 これはなんだ?
三土「EX4 1.5っていうのは何でしょうね?」
小金井さん「たぶんE x 4ですね! ElectricのE。電線が4本っていう意味だと思います。」 三土「なるほどおおおおお」 小金井さんは主にマンホールを見ている人で、先日も「マツコの知らない世界」というテレビ番組でマンホールを紹介していた。地面にあるもの全般に詳しい。
納得しすぎて、さっきからなるほどしか言ってない。合わせると、こんなふうに地下に通っているってことだ。 まさに見える地下
だいぶ分かってきた気がする。ここまでをまとめるとこういうことだ。
見える地下の法則その1
Eは電気、Wは上水道、Tは電話 見える地下の法則その2
数字は深さで、単位はメートル。 すぐ近くにはこんなのもあった。
Ex3 0.6
つまり電線が3本、60cmの深さに埋まってるっていうことだ!「読める。読めるぞ!」という気持ちだ。
ラピュタ王のようになったぼくの横で、Nさんがまた何かを発見した。 Kと書かれたマンホールの蓋
Nさん「ここにKって書かれた蓋がありますね。これは警察のKですが、右側に黒いアスファルトが続いてます。」
Nさん「この黒い新しいアスファルトをたどっていくと、」
Nさん「この歩行者信号まで届いてます」
言うまでもなく、信号を管轄しているのは警察だ。
Nさん「つまり、この新しいアスファルトに沿って信号に必要な電線とか通信線が埋まってるんでしょうね。これも見える地下です。」 つまりこういうことか!
これには飛び上がって驚いた。地面に何も手書きしてなくても、Kが警察のマンホールであるという知識、新しいアスファルトが信号まで延びているという観察によって、地下にあるものが見えてしまうのだ。
見える地下の法則その3
新しいアスファルトがヒントになる Nさん、いったい何者なんだ。
|
|
▲デイリーポータルZトップへ |