iOS2 Advent Calendar 2017 | 7日目
来年、サービスが開始されると言われているビジネスチャット。
個人的には WWDC 2017 のセッションで、CoreML、Metal 2、ARKit に匹敵するぐらいの機能とサービスではないかと考えており、あまり話題になっていないのでまとめてみる。
ざっくり、ビジネスチャットを説明すると iMessage アプリを使用した企業がお客さんと行うカスタマーサポートで、
Apple 製品で iMessage アプリ経由でのサポートを受けた人なら想像がつくと思う。
Apple 自体が使用しているものを企業や開発者に開放したものではないかと。
以下、Bussiness Chat 開発者向けトップページ説明の意訳。
ビジネスチャットは、企業が顧客と直接メッセージでつながる強力かつ新しい方法を提供します。
ビジネスチャットを使用するとお客様は iPhone、iPad、および Apple Watch から、企業への質問に対する回答や問題の解決案を得たり、そこから決済を完了することができ、 お客様は Safari、マップ、Spotlight、および Siri からあなたのビジネスへのコミュニケーションを開始することができます。
英語が苦にならないなら、WWDC 2017 のセッションを観た方が分かりやすいし、下の文章を読まなくても済む。
使用用途
- リアルやネットの店舗での購入のサポート、iMessage アプリ内での直接購入。
- ゲームやサービスなどのカスタマーサポート
その他、対話ベースで何かを行うサービス関係で使用できると思われる。
Bussiness Chat の流れ
- 顧客はこのサービスを開始するため、企業へのアドレスを QR コードで取得する
- 顧客から質問などメッセージを企業側に送る
- 企業側からは Web サイトの管理画面から顧客に対して何らかのリアクションを送る
企業側ができるリアクション
- テキストメッセージによる返信
- 画像、動画、音声、ファイルなど iMessage が扱えるデータを表示する
- 時間を指定するタイムピッカーからの項目選択(場所の提示も可)
- 商品アイテムや提案などリストピッカーからの項目選択
- Apple Pay による支払いを促す
- iMessage 用アプリの起動リンク(インストールされていない場合は iMessage の App Store が起動)
試してみる
Bussiness Chat Sandbox という Bussiness Chat を試すサイトがあるのでアクセスしてみる。
多分、開発者のアカウントでなくてもアクセスできると思われる。
注意点としては iCloud の使用がオンになっているアカウントが必要なところ。
Bussiness Chat Sandbox ページの起動
アクセスすると QR コードが表示されるので、顧客側と想定される iOS 11 の端末のカメラから QR コードを取得。
(QR コードから返信先が一発で表示されない場合があるので、その場合はもう一度トライ)
iMessage が起動し Bussiness Chat Sandbox への宛先が表示されるので、 何かメッセージを送ってみる。
送信が完了すると Bussiness Chat Sandbox で返信を行うことができる画面が表示される。
Bussiness Chat Sandbox ページから顧客と想定される端末にメッセージを送る
Bussiness Chat Sandbox ページの初期状態だと「Text」になっているので、 入力部分に何かを書いて下にある「Send」を押すと顧客側の端末にメッセージが送信される。
また、右下 Message Contents (JSON) をクリックするとそこに送信する内容の JSON が表示され、
こちらが Apple 側のサーバーに送られ処理されている模様。
テキストの内容を変更するとリアルタイムに中身が変わる。
こちらをコピーして、「Raw JSON」の入力部分にペーストすると、返信するメッセージを定型化できる。
Bussiness Chat からカスタムのアプリを呼び出す
以下から Bussiness Chat の iMessage Extension のサンプルファイルをダウンロード
https://developer.apple.com/sample-code/wwdc/2017/iMessage-Business-Chat.zip
ターゲットのコードサイニングを変更し実機で実行。
エクステンションなので PackageDeliveryMessagesExtension の方も変更が必要なので注意。
README.md に書かれているように BCSandbox_payload.json で書かれている2箇所の <team-identifier> を自分の ID に変更して json 保存。
Bussiness Chat Sandbox の「My App」にドラッグ&ドロップし「Send」を押すか、
内容を「Raw JSON」の入力部分にペーストし「Send」を押して送信。
顧客側の端末にはアプリの起動を促すメッセージが出る。
起動を促すメッセージ
タップ後の表示
「CONFIRM」タップ後
「Text」「My App」「Raw JSON」以外の項目
Bussiness Chat Sandbox では特に害はないので色々試してみると良いと思われる。
Bussiness Chat を削除 / 通知の一時停止
iMessage アプリのメッセージ一覧で左にスワイプする。
本番に向けての企業登録
こちらから可能。
https://register.apple.com/business/
まとめ
直接顧客とのやりとりから購入まで iMessage で行うことができ、
非常に強力だと思われる。
Apple Pay Cash などが対応されれば、商品やアプリ課金等などの返金対応などもできそうだし。
また、カスタマーサポートでの顧客との意思疎通の向上によって より良い体験をもたらすのではないかと期待している。
参照リンク
開発者ページトップ
Business Chat - Apple Developer
WWDC 2017 のセッション
https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2017/240/
Bussiness Chat の iMessage Extension のサンプルファイル
https://developer.apple.com/sample-code/wwdc/2017/iMessage-Business-Chat.zip
Bussiness Chat の仕様
Business Chat Specifications: About Business Chat
Bussiness Chat Sandbox (要 iCloud アカウント)
https://icloud.developer.apple.com/businesschat/
Bussiness Chat の企業登録
https://register.apple.com/business/