最近、人工知能の開発に投資を行うニュースが増えています。政府だけではなく、トヨタやオムロン、日立製作所、ダイキンなどの企業も次々と投資を表明。研究拠点の設立や、人材育成、企業買収、ベンチャー投資など、その内容はさまざまです。
こうした投資の動きは、日本だけではありません。補助金に加えて税制優遇など、間接的、直接的な“支援”という形で、世界各国が惜しみなく資金をつぎ込んでいます。
ロシアのプーチン大統領が、2017年9月に行われた講演で「人工知能(AI)分野で主導権を握る者が世界の支配者になる」と語ったことからも、これはいわばプライドを賭けた、国家間のAIを巡る争奪戦が起きていると考えてよいでしょう。
そんな中、諸外国の支援状況を見ている日本国内の研究者からは「もっと政府に支援をしてもらいたい」という切実な声が上がっています。
人工知能の技術開発を担う、理化学研究所 革新知能統合研究センター長の杉山将氏は、読売新聞の取材に「世界に大きく遅れている。周回遅れと言ってもいい」「一企業が年に数千億円を投じる米国に対して、日本は新センターの新年度予算案が約30億円。差は広がる一方だ」と話し、危機感をあらわにしています。
このまま、日本は人工知能の研究開発で、海外に負けてしまうのでしょうか。今回は米国政府と中国政府に焦点を絞り、国家としてどのような“支援”を行っているのかをご紹介します。
米国は人工知能に対して、どのくらい本気なのでしょうか。直接的に人工知能という分野に投資をしている金額については公表されていませんが、国全体における研究開発の投資金額という点では、国立研究開発法人科学技術振興機構が発表している「主要国の研究開発戦略」が参考になります。
その資料によると、AI以外も含めたあらゆる研究開発に対して、米国の官民合わせた投資金額の規模は、2013年で4561億ドルとなっています。これは世界の総研究開発投資1兆6710億ドルの約3割を占める勢いです。研究費の負担割合は連邦政府が27.7%とのことで、ざっくりと1263億ドル程度が政府支出額だと推察できます。
4561億ドルという金額は世界でトップであるものの、対GDP比率を見てみると“約3%”と、他の先進国とそんなに変わらない割合であることが分かります。世界銀行が発表した全世界のGDP内訳を見ると、米国は18兆5691億ドルで、全世界の約25%を占めます(2016年)。つまり、基本的にGDPという国の経済力によって、研究開発投資規模が連動すると考えればいいでしょう。
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