お金は寝かせて増やしなさい、著作にかける思い
水瀬ケンイチさんの著書を読みました。Twitterで相互フォローさせていただいており、水瀬さんの執筆にかける情熱を見聞きしていただけにより深く読めました。おそらくこの著作「お金は寝かせて増やしなさい」に関しての内容は多くのブロガーさんが書くのでしょう。
ということで、私はちょっと私見だらけの感想文をつづりたいと思います。
水瀬ケンイチさんと言えば、豊富な知識で超有名なブロガーさんですが、一応ご紹介しておきます。こちらの梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーで有名ですね。ご本人は大変クールなたたずまい、しかし熱い大宮サポーターです。
正直言って書籍というのは非常に難しく、よほど売れないとなかなか収益には繋がりません。今はすでにアフィリやブログのほうが収益が良くなっています。特に投資本のような専門書の類はそうです。
そういう中で執筆に情熱をささげられたということ、そうしてまで伝えたかったメッセージがあるということですね。完成本を手にしたときに、「不覚にも涙が出た」という表現をされていましたが、思いとはそういうことだと思います。
単著というのは自分の名前だけでの出版になるので、より難しいです。私も本業で出したことがあるのでそこは非常に分かりますし、共感します。ただ、手元に形として残るということ、これは独特の重みがありますね。
当たり前ですが、収益だけで人生は決まらないということです。ここはお金を扱う投資、米国株ブロガーとしては書いておきたいところですね。
お金は寝かせて増やしなさいの見どころ
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インデックス投資家で最も有名なブロガーさんの1人である水瀬ケンイチさんですから、中身はインデックス投資に関する文章が殆どです。ただ、ブログの内容よりはるかにかみ砕いた内容で、投資初心者でも分かるように書いてあります。
というよりも、ターゲット層は今まで投資に慣れ親しんだことのない層ですね。初心者層に絞っている印象を受けます。インデックス投資というのはうんちくも面白いですが、結局コアとして買う商品はベテランも初心者も同じだったりします。
それは、米国株ETFもそうですね。そういう意味では、書籍でツッコミ過ぎず、誰もが分かるインデックス投資として書かれているところに共感を覚えました。
是非読んでほしい、夢も希望もなかった2000年代のことを
私が非常に共感して読んだのは、水瀬ケンイチさんが投資を始めた2004年からの振り返りのところです。毎年のように悪材料が連続し、超ド級のリーマンショック、さらにギリシアショックのつながりのところです。
リーマンショックの時にはインデックス投資の水瀬ケンイチさんでさえ53%の元本毀損があったということですから、並大抵のマイナスではありません。私も同じ時代を過ごしてきました。私の場合は2000年からでしたので、くぐった地獄の数はもうちょっと多いのですが、まあいいでしょう。
こんなのは経験しないに越したことは無いのです。
水瀬ケンイチさんがリーマンショック後に投資元本に対してプラスに転じたのは2012年のことだそうです。実に、報われない投資が5年間にも及んだわけです。これは何ら珍しいことではなく、2000年代というのはそういう時代だったのです。
累積マイナスという意味では、2008年から2012年までの5年間、単年度マイナスという意味では4つの年があったのですね。
私はいい加減なので、元本毀損とか損益率とかあまり出していませんが、私も安定して利益が出始めたのは同じようなものではなかったかと思います。昨今、セミナーやオフ会でお会いする人たちと話していて驚くのは「リーマンショックを知らない世代」が多いということです。
その人たちは本当に恵まれた環境で投資をしてきたわけです。生まれてきた時代が良かったのか、始めた時期が良かったのか、いずれにせよ僥倖と言ってよいでしょう。
そして、そういう難しい時代には水瀬ケンイチ氏のブログに向けてありとあらゆる誹謗中傷が殺到したそうです。景気の良い時には熱心な読者としてコメントしていた人が、不況になると手のひらをかえす。そういうものなのでしょうね。
ぶれない投資、いやぶれない価値観を自分の中に持つというのは意外に難しいことなのです。
私たち投資ブロガーで投資歴の長い人たちは「投資するリスクと投資しないリスク」を経験的に知っています。しかし、このごろ始めた人は知識としては知っていても、当たり前ですが経験的には知らないはずです。
投資を始めた人にもおススメですが、大暴落の連続という困難な時代をまだ知らない中堅投資家さん、あるいは酸いも甘いも知り尽くした投資家さんにもお勧めの本です。私は非常に共感的に読みました。
あの時代があって、今がある。あの時代があって、今に確信が持てる。そういうことです。
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水瀬ケンイチ氏の前著です。こちらは山崎元氏との共著です。この本も分かりやすいですね。
米国株投資ならばこの本の観点は勉強になります。経済的な濠について書かれた本で、投資眼を養うのに役立ちます。
おすすめの投資本とはどのような本か、ということですね。