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オルビス30周年記念 「ケの美」展
2017年11月17日(金)-12月24日(日)
11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休

グラフィックデザイナーの佐藤卓氏をディレクターに迎え、日本人の伝統的な世界観である「ハレ」と「ケ」の「ケ」、すなわち当たり前に繰り返される日常生活の中における「ケ」に着目、そこに潜む「美」とは何かを、クリエイター14名の方々にご参加頂き、浮かびあがらせます。会場では、一般の方々が「朝食」「場所」「漢字」の3つのテーマで日常だと感じる写真の投稿により構成される、参加型展示「みんなのケ」も実施。日々の生活における「ケ」の存在に様々な視点で気付きをもたらします。

プロフィール
14名の参加クリエイター(五十音順 敬称略)

石村 由起子(いしむら ゆきこ)/「くるみの木」代表・空間コーディネーター
香川県高松市生まれ。暮らしを楽しむ祖母の知恵にくるまれて育つ。学生時代には染織を学び、民芸に親しむ。1984年、奈良市の郊外で出会った小さな小屋でカフェと雑貨の店「くるみの木」を始め、現在は他に、奈良市内で「秋篠の森」「鹿の舟」、東京・白金台で「ときのもりLIVRER」を展開。それぞれの店を運営しながら、奈良生活デザイン室を立ち上げ、高松市丸亀町の商業施設や島根県にある温泉街をプロデュースするなど、商品開発から町づくりまで、企業や地域の夢をかたちにする手伝いも行っている。「石村由起子のインテリア」(主婦と生活社)、「暮らしのコツコツ」「くるみの木の日々用品」(共に文藝春秋)、「奈良のたからもの」(集英社)など著書多数。

緒方 慎一郎(おがた しんいちろう)/「SIMPLICITY」代表・デザイナー
1998年、SIMPLICITY設立。「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、和食料理店「八雲茶寮」、和菓子店「HIGASHIYA」、プロダクトブランド「Sゝゝ[エス]」などを展開。自社ブランドのみならず、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐にわたるプロジェクトにおいて、デザインやディレクションを手がける。2008年、紙の器「WASARA」の総合デザインおよびディレクション。2011年、東京大学総合研究博物館「インターメディアテク」の空間デザイン。著書に『HIGASHIYA』(青幻舎)、『喰譜』(東京大学出版会)、『拈華』(青幻舎)。

小川 糸(おがわ いと)/ 作家
1973年生まれ。2008年に発表した小説『食堂かたつむり』が映画化され、ベストセラーに。主な著書に、『喋々喃々』、『ファミリーツリー』、『リボン』、『にじいろガーデン』、ドラマ化された『つるかめ助産院』、『ツバキ文具店』などがある。作品は、ヨーロッパやアジア各国で翻訳され、2011年、『食堂かたつむり』で、イタリアのバンカレッラ賞を、2013年、フランスのウジェニー・ブラジエ小説賞をそれぞれ受賞した。最新の長編小説は、『キラキラ共和国』(幻冬舎)。小説以外にも、日々の暮らしをまとめた『これだけで、幸せ』や、ラトビアのミトンを題材にした『ミ・ト・ン』(絵・平澤まりこ)など、著書多数。

隈 研吾(くま けんご)/ 建築家
1954年生まれ。1979年、東京大学大学院建築学科修了。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授を経て、2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で日本建築学会賞、2010年「根津美術館」で毎日芸術賞、その他、国内外からの受賞多数。近作に「サントリー美術館」、「浅草文化観光センター」、「アオーレ長岡」、「歌舞伎座」、「ブザンソン芸術文化センター」、「FRACマルセイユ」等。新国立競技場の設計にも携わる。著書に『自然な建築』(岩波新書)、『小さな建築』(岩波新書)、『建築家、走る』(新潮社)、『僕の場所』(大和書房)、『広場』(淡交社)等。

小山 薫堂(こやま くんどう)/ 放送作家・脚本家
1964年熊本県出身。日本大学芸術学部放送学科在籍中に放送作家としての活動を開始。「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」「ニューデザインパラダイス」など斬新なテレビ番組を数多く企画した。
2008年、初脚本の映画「おくりびと」で第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞。
執筆活動の他、下鴨茶寮主人、京都造形芸術大学副学長、文化庁「日本遺産審査委員会」委員など、多くの政府・地域・企業のアドバイザーなどを務める。また、熊本県地域プロジェクトアドバイザーを務め、人気キャラクターくまモンの生みの親でもある。

塩川 いづみ(しおかわ いづみ)/ イラストレーター
1980年長野生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2007年よりフリーランスで仕事を始める。広告、雑誌、プロダクトなどのイラストレーションを中心に活動するほか、ドローイング作品の展示発表も行う。主な仕事にCLASKA shop&gallery“DO”のオリジナル商品「SWAY」「MAMBO」、一保堂茶舗のオリジナル商品、きもの やまと「DOUBLEMAISON」のイラストレーションなど。

柴田 文江(しばた ふみえ)/ プロダクトデザイナー
エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションまで、インダストリアルデザインを軸に幅広い領域で活動をしている。
代表的な作品に、無印良品「体にフィットするソファ」/オムロン「けんおんくん」/カプセルホテル「9h (ナインアワーズ)」/庖丁「庖丁工房タダフサ」/キントー「unitea」などがある。
毎日デザイン賞/グッドデザイン金賞/ドイツiFデザインアワード金賞/ドイツred dot design awardなど多数受賞。
著書「あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ」(ADP)。

千 宗屋(せん そうおく)/ 武者小路千家家元後嗣
1975年京都生まれ。2003年に武者小路千家十五代次期家元として後嗣号「宗屋」を襲名。現代アートの芸術家や建築家など他分野とのコラボレーションに精力的に取り組む一方、2008年には文化庁文化交流使としてアメリカ・ニューヨークを拠点に世界各国で活動した。京都府文化賞奨励賞/京都市芸術新人賞受賞。
著書:『茶-利休と今をつなぐ』(新潮社)
『もしも利休があなたを招いたら 茶の湯に学ぶ”逆説”のもてなし』(角川書店)
『茶味空間。 茶で読み解くニッポン』(マガジンハウス)

土井 善晴(どい よしはる)/ 料理研究家
おいしいもの研究所代表。食の場のプロデューサー/地域食の洗練化、レストラン総合開発。東京造形大学非常勤講師。日本の料理を初期化し、命を作る仕事である家庭料理の本質を伝える。変化する料理とその周辺を考察した食文化を提案。日本の未来を担う若者に持続可能な日本らしい食を伝えたい。講座「土井善晴の勉強会」「大人の食育」「土井善晴のお稽古ごと」。TV朝日「おかずのクッキング」28年間講師/NHK「視点論点」「きょうの料理」「ラジオ深夜便」。BS朝日「土井善晴の美食探訪」/プレバト盛りつけ審査/近著「おいしいもののまわり」・「一汁一菜でよいという提案」グラフィック社。

原田 郁子(はらだ いくこ)/ 「クラムボン」ミュージシャン
福岡生まれ。1995年にバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。
バンド活動と並行して、様々なミュージシャンとの共演、ソロ活動も精力的に行い、「ピアノ」「気配と余韻」「ケモノと魔法」「銀河」4枚のソロアルバムを発表。
2010年、吉祥寺にあるイベントスペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。
結成20周年を迎えたクラムボンはメジャーレーベルから独立後、自身のレーベル「トロピカル」より、『モメントe.p.』『モメントe.p. 2』を発表。流通を介さず、全国ツアーの会場で限定販売しサイン会を行う”直売スタイル”を確立。更に活動に賛同してくれる店舗へ販売募集をし、ジャンル問わず180店舗以上の広がりを見せている。

松場 登美(まつば とみ)/ 「群言堂」代表・デザイナー
1949年三重県津市生まれ。1981年、夫のふるさと島根県大田市大森町(石見銀山)に帰郷。松場呉服屋の片隅で、布小物の製造、販売を始める。
1989年、築150年の古民家を修復し、店舗をオープン。以来、夫と共に数軒の古民家を修復し、生活文化交流の場として活用している。田舎暮らしの美しい文化を伝えていきたいと考え、1998年、株式会社石見銀山生活文化研究所を設立。
「群言堂」として、商品の企画、製造販売を手がけ、全国の百貨店などで展開している。
13年かけて修復した築228年の武家屋敷を「暮らす宿 他郷阿部家」とし、宿の営業も行っている。
〈著書〉
『あるものを生かしきる毎日を楽しむ捨てない暮らし』(家の光協会)
『他郷阿部家の暮らしとレシピ』(家の光協会)ほか

皆川 明(みながわ あきら)/ 「ミナ ペルホネン」代表・デザイナー
1967年東京生まれ。1995年に自身のファッションブランド「minä(2003年よりminä perhonen)」を設立。時の経過により色あせることのないデザインを目指し、想像を込めたオリジナルデザインの生地による服作りを進めながら、インテリアファブリックや家具、陶磁器など暮らしに寄り添うデザインへと活動を広げている。また、デンマークKvadrat、スウェーデンKLIPPANなどのテキスタイルブランド、さらには陶磁器ブランドRichard Ginoriへのデザイン提供や、東京スカイツリーをはじめとするユニフォームデザイン、新聞小説の挿画なども手掛ける。2006年「毎日ファッション大賞」大賞、「2015毎日デザイン賞」、「平成28年度(第66回)芸術選奨」美術部門文部科学大臣新人賞を受賞。

柳家 花緑(やなぎや かろく)/ 落語家
1971年東京生まれ。落語家。9歳の頃より落語を始め1987年3月、中学卒業後、祖父である五代目柳家小さんに入門。1994年、戦後最年少の22歳で真打昇進。「にほんごであそぼ」(NHK教育)で紹介した『寿限無』は子供たちの間で大ブームとなった。
古典落語はもとより、劇作家などによる新作落語にも意欲的に取り組んでいる。着物と座布団という古典落語の伝統を守りつつも、近年では47都道府県落語を洋服と椅子という現代スタイルで口演する同時代落語にも挑戦し、落語の新しい未来を切り拓く旗手として注目の存在である。他ジャンルからのオファーも多く、番組の司会やナビゲーター・俳優としても活躍中。

横尾 香央留(よこお かおる)/ 手芸家
1979年東京生まれ。ファッションブランドのアトリエにて手作業を担当した後、2005年独立。刺繍やかぎ針編みなどの緻密な手作業による作品を発表している。
主な著書:
『プレゼント』(雄鶏社)、『お直し とか』(マガジンハウス)
『変体』(between the books)、『プレゼント-復刻版-』 (イースト・プレス)
『お直し とか –カルストゥラ–』(青幻舎)
主な個展:
「お直しとか」(2011/FOIL gallery)
「変体」(2012/The Cave)
「カコヲカコウ」(2017/LA GALERIE DES NAKAMURA)
主なグループ展:
「拡張するファッション」(2014/水戸芸術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)

日本人の伝統的な世界観として、私たちの生活には、非日常的な「ハレ」と、日常である「ケ」の両面があります。「晴れ着」というように、祝い事や特別なイベントが「ハレ」であるのに対して、毎日繰り返されるごくあたりまえのことが「ケ」にあたります。現代社会は、とかく華やかな「ハレ」が注目を集めますが、その華やかな「ハレ」も、一見退屈にさえ思える「ケ」の充実の上にこそ、特別で有り難い(ありがたい)ものとして感じられるのではないでしょうか。この展覧会では、毎日あたりまえに繰り返される日常生活の中における「ケ」に着目し、さらにそこに潜む「美」とは何かを、日常生活に新たな提案をされ続けているクリエイターの方々にご参加いただき、浮かび上がらせたいと思います。

展覧会ディレクター 佐藤 卓

実際の展覧会の模様はこちら

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