猫の鼻は程よく湿っていたり、興奮状態によってびしょびしょになったりしますが、人間同様、鼻水が垂れることもあります。
その鼻水が一時的なものではなく、延々止まらない場合は病気の疑いもあるんですよ。
猫の鼻水が止まらないとき、どんな病気が考えられるのでしょうか。
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猫の鼻は健康状態を図れる器官
猫の鼻って可愛いですよね。ちょこんとした鼻はピンク色だったり黒色だったり、ブチがあったりと猫によって特徴がある部分です。
実は、この猫の鼻は猫の健康状態を図れる器官の一つで、湿り具合や乾燥具合で猫の状態を知る目安になります。
例えば、遊びやじゃれあいで興奮状態にある時は鼻の湿りが強くなりますし、眠たい時にはカサカサになったりもします。体調不良の時も、猫の鼻はそれらを教えてくれるバロメーターの役割を果たしてくれるんです。
とってもすごい! 有能な猫の鼻
そんなバロメーター代わりの猫の鼻ですが、実はとっても有能な器官です。
人間の1~10万倍の感度があり、ニオイの粒子を吸着させる機能を持っているので嗅覚も非常に優れています。
また、吸い込んだ空気を温めて鼻に湿り気を与え、粘膜からの分泌液と一緒に鼻を保護していますし、それに加えて、鼻粘膜の繊毛が外部異物(ホコリやゴミなど)の侵入を防いでいるという素晴らしい機能を持っています。
更に、鼻の粘膜によるリンパ組織などが細菌やウイルスの侵入も防いでいるという優れもので、あんな小さな鼻に複雑で有能なシステムが備わっているんですね。
猫が鼻水を垂らしている時はどんな時?
何とも有能な猫の鼻ですが、時折、鼻水がタラ―ッっと垂れている時があります。
まるで人間の子どものようで思わずほのぼのしてしまいそうになるのですが、猫の鼻水はあまり良くない症状の一つです。
どういう事かと言うと、人間のように寒いから出る、熱いものを食べたから出る、といった生理現象のようなものではなく、何らかの不調が原因で鼻水を垂らしている事が多いからです。
また、その鼻水により猫の有能な機能がストップしてしまい、より一層細菌やウイルスに感染しやすく、免疫が落ちた状態と言えるのです。
慢性的なものか、一時的なものかを判断する
まず、猫が鼻水を垂らしているからと言って早急な治療が必要というわけではありません。
上記で説明したように、猫の鼻は複雑なシステムで機能しています。有能な鼻ですがその分敏感で、外的な変化に左右されることも多いです。
特に寒い季節であれば、急に冷たい空気を吸った時などに鼻水が垂れる場合や、刺激物を臭う、食べるなどしてしまった場合にも鼻水が垂れる事がありますが、いずれにしても一時的なものでしばらくすれば鼻水は止まります。
ただし、時間が経ってもずっと鼻水が出ている場合は注意が必要です。
慢性的に鼻水が出る、垂れる場合、どんなことが疑われるのでしょうか。
猫風邪にかかっている
猫も人間と同じく、免疫力が落ちている時には風邪をひきます。症状も鼻水に始まり、くしゃみや目ヤニなどが出るようになります。
体温も上昇するので、これらの症状に加え、いつもより熱いと感じたら猫風邪を疑いましょう。
猫風邪を疑うべき主な症状
- 慢性的に鼻水が多い、鼻水が垂れている
- くしゃみをよくする
- 咳をする
- 体温が上がっている
- 目ヤニが出たり、瞼が腫れている
何らかの感染症にかかっている
猫風邪も感染症のひとつではありますが、それ以外にも感染症の病気があります。
例えば猫クラミジア(感染症)。
猫クラミジアとは、クラミドフィラ・フェリスという微生物が原因で発症する病気です。
鼻水はもちろん、黄色い目ヤニが多く出たり、くしゃみや咳を伴います。
一見、猫風邪と同じように思えるのですが、慢性化するので肺炎や結膜炎を引き起こしてしまう病気です。
他にも「クリプトコッカス」というカビ(真菌)に感染すると、鼻水やくしゃみ、咳などの症状が見られます。
特にクリプトコッカスは重症化すると体全体が免疫不全を起こして治療が長引く厄介なものです。多くの人は罹患しませんが、人間にも移る可能性のある病気です。
他にも「カリシウイルス」といった猫のインフルエンザと呼ばれる感染症がありますが、こちらも上記の感染症同様の症状に加え、よだれや口内炎、舌炎、高熱や食欲不振などが見られます。
猫クラミジアの症状
- 慢性的に鼻水が多い、鼻水が垂れている
- くしゃみをよくする
- 咳をする
- 気管支炎を起こしたり、肺炎を起こす
- 粘着性の目ヤニが多く出る
クリプトコッカス症の症状
- 慢性的に鼻水が多い、鼻水が垂れている
- どろどろの鼻水が出る
- 肉芽腫がある
- くしゃみをよくする
- 気管支炎を起こしたり、肺炎を起こす
- 粘着性の目ヤニが多く出る、結膜炎を起こす
猫カリシウイルスの症状
- 慢性的に鼻水が多い、鼻水が垂れている
- くしゃみをよくする
- 咳をする
- よだれが垂れている
- 体温が上昇している
- 口内炎や舌炎ができ、食欲が落ちる
アレルギー性鼻炎
ノミやダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが原因で引き起こす「アレルギー性鼻炎」も可能性として考えられます。
完全室内飼いなのにくしゃみや鼻水がひどい場合はアレルギー性鼻炎を疑いましょう。
鼻水以外にも、鼻が詰まったり呼吸が荒くなる、口呼吸で苦しそうな場合も同様です。
まずは、鼻水の原因を特定する
鼻水が延々止まらず、更に他の症状もみてとれるようであれば、まずは鼻水の原因を特定しましょう。何らかの病気にかかり、体調不良になってしまっている場合がほとんどです。
外に散歩に行く猫は特に感染症や病気をもらいやすいので、病気が疑われるような場合は速やかに動物病院を受診しましょう。
ある特定の事をしたときにだけ鼻水が止まらない場合は、アレルギーの可能性があります。
アレルゲンの原因を遠ざけて猫の鼻水が止まるようであれば、まずはアレルゲン対策を試みてください。
感染経路
感染経路はいくつか考えられますが、外に散歩に出かける猫は、外で罹患することがほとんどでしょう。
外ですでに猫風邪や何らかの感染症に罹患している猫や犬などの動物と接触をする事で感染してしまいます。
また、人間が外で野良猫など感染の恐れのある猫に接触し、自宅に菌を持ち帰り猫に移してしまう可能性も大いにあります。
完全室内飼いだからといって油断はせずに、自分が外で他の猫や犬(特に野良)に接触した場合は速やかに手を洗い、服を着替えるなどしてから自宅の猫と触れ合いましょう。
また、多頭飼いをしている場合ですと、1匹の罹患猫からあっという間に感染してしまう恐れがあります。
猫風邪や何らかの感染症を発症している猫は、完治するまで別室で生活させてあげましょう。ストレスが溜まらないような工夫も忘れないでくださいね。
その他、季節の変わり目で食欲不振、運動不足などで免疫力が低下している猫も注意が必要です。
あまり神経質になる必要はありませんが、猫の元気が回復するまでは外に出さず、自宅で様子を見た方がいいでしょう。
治療方法
どうしても鼻水が止まらない、それ以外の症状がみてとれる場合は早急に動物病院へ受診しましょう。
猫の鼻水以外にも思い当たりそうな事は、獣医師に伝えておくと検査や処置がスムーズです。
風邪を含む感染症の場合は、感染症に合った薬が投薬されます。また、猫の栄養状態や免疫状態も見て、キャットフードも指定してもらえるでしょう。
家での投薬方法に不安がある人は獣医師や看護師にアドバイスをもらってくださいね。感染症が重篤な場合は治療が長引くこともありますが、薬の投薬を続け、生活環境を整えてあげれば徐々に回復します。
ただし、肉芽腫などが大きくなっている場合は切除手術を受けたり、入院が必要になる場合もあります。
自宅で見ている猫の場合はそこまで重篤になっている可能性は低いでしょうが、野良猫を保護したり拾った場合には、病気が重篤化している恐れもあるのです。
予防方法
猫の鼻水は症状の一環なので鼻水だけを予防するという事ではありませんが、各感染症が原因であれば、ワクチンなどで病気を予防することが可能です。
普段からキャットフードも猫の年齢や体調にあったものを選び、免疫が落ちていそうなときは無暗に外に出さないように心がけてあげましょう。
猫も人間も鼻水は出る!大切なのは、慢性化させないこと
一時的なものであれば特に心配する必要はありませんが、長引くようであれば必ず動物病院で検査を受けてください。
ただの風邪と思っていたら違う感染症や病気にかかっている可能性もあります。
猫も人間と同じように体調が悪ければ鼻水が出ますが、それをほったらかしにせず、早めの治療で早期回復をさせてあげてくださいね。