NHK受信契約義務付けは「合憲」 最高裁が初判断
契約成立には裁判必要

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2017/12/6 15:12 (2017/12/6 17:12更新)
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 NHKの受信契約をめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、テレビを置く人に受信契約を義務付けた放送法の規定が「合憲」と判断した。1950年にできた受信料制度について、最高裁が憲法判断を示すのは初めて。

NHK受信料訴訟の最高裁判決後、記者会見する高池弁護士(右)ら被告側の代理人(6日午後、東京都千代田区)

NHK受信料訴訟の最高裁判決後、記者会見する高池弁護士(右)ら被告側の代理人(6日午後、東京都千代田区)

 最高裁は判決理由で、受信料制度について「国民の知る権利を充足する目的にかなう合理的なもの」などと指摘し、契約の自由を定めた憲法には反しないとした。

 一方、受信契約が成立する時期について「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」とした。「契約を申し込んだ時点で自動的に成立する」とのNHK側の主張は退けた。契約を拒む人から受信料を徴収するためには、今後も個別に裁判を起こさなければならない。

 いつまでさかのぼって受信料を徴取できるかについては「テレビ設置時点まで遡って受信料の支払い義務がある」とした。

 NHKが東京都内の会社経営の60代男性を訴えていた。

 男性側は「放送法で契約を強制することは、憲法が保障する契約の自由に反して違憲だ」と主張。テレビ設置者が承諾しない限り、契約は成立しないとしていた。

 NHK側は災害報道や全国の放送網など公共放送としての役割を強調し、「不偏不党を貫いて良い番組を放送するため、安定財源として受信料制度は欠かせない」と訴えていた。

 一、二審判決は、放送法の規定は合憲と判断。「契約の自由を制約するが、公共放送の目的に合理性がある」とした。

 NHKの推計によると、テレビを設置しているのに受信契約に応じていないのは約900万世帯ある。

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