【日経新聞1面】「データポータビリティー」を検討、2020年代の普及へ向けて【本日の材料と銘柄】
個人データ独占に風穴、日本でも「持ち運び権」、ネット企業に競争促す、政府検討
企業などに蓄積するメールや金融取引の履歴といった大量のデータについて、経済産業省と総務省は個人が要求すればいつでも手元に引き出せる仕組みの検討に入ったと報じられている。一部の大企業が膨大な情報を囲い込み、競争が阻害される恐れがあるためだ。多様なオンラインサービスが育つ競争環境整備にむけて動き出す。
新制度は2020年代の普及を目指しているもよう。経済産業省と総務省が設置した有識者検討会がクラウドなどに積み上がるデータを別のサービスへ持ち運べる「データポータビリティー」の骨格について年度内に提言する。20年に予定される個人情報保護法改正の議論に反映したい考えだ。
データを活用した便利なサービスや製品を普及させた企業のもとにデータが一極集中すると新規参入や企業間連携が難しくなるというデメリットが生じる。欧州連合(EU)はデータポータビリティー権を含む新ルールを18年から施行予定で、日本も公正競争の観点から制度整備を進める。
持ち運びを想定するのは主に、米グーグルなどが提供するメールやカレンダーなどのデータのほか電話の通話履歴、写真などだ。個人が求めれば一括して表データなどで引き出せる枠組みを検討する。また、金融機関の預貯金情報や電子マネーの利用履歴、病院や職場健診で取った健康関連データ、電力会社の電気使用状況といった幅広い分野を対象にする方向のようだ。
例えば金融機関に蓄積された情報を簡単に移せるようになれば、フィンテック企業が提供するアプリで家計管理などのサービスを利用しやすくなる。一方、技術的にも困難とみられ、サーバー上のデータの「削除権」までは認められない見込みだ。
実際にグーグルは、各国競争当局が独占排除の考えを示していることなどを踏まえ、メールや写真などをまとめた圧縮ファイルをダウンロードし、外部に移せる仕組みをもうけている。まだ検討段階であり、今回の報道が市場に与えるインパクト自体は限定的なものとみられる。ただし、実現に向けては個人情報を保護する「サイバーセキュリティ」の重要性が一段と増してくるとみられる。「データポータビリティー」の動向とあわせて、中長期で注目しておきたいところだ。
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※この記事は、無料のスマートフォンアプリ「FISCO」に先行配信された記事を転載したものです。
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