<link rel="stylesheet" href="/static-assets/css/enhanced.7fac2a42617eac7c9bc8a174b642bb91.css"> back to top

「愛し合う二人を認めてください」 同性愛者の議会への訴えは届くのか

東京都港区議会で12月6日に審議が開かれる。同性愛への理解は広がっていくのか。

同性カップルに「結婚に相当する関係」を認める同性パートナーシップ条例が日本で初めて東京都渋谷区で成立して、早くも2年。港区でも同様の条例を求める請願が出されている。

12月6日には、この請願が港区議会の委員会で審議される。採択か不採択か微妙な情勢だ。BuzzFeed Newsは請願を出した男性に思いを聞いた。

男性は区内で飲食店を経営している同性愛者だ。「両親にはカミングアウトをしていない」という理由で、取材には匿名で応じてもらった。

港区議会に提出した請願では、同性パートナーシップの認証制度の創設や、性的少数者への差別をなくすための施策を求めている。

男性は「家族を営むことは人としての根源的な人権。同性と親密な関係を築きたい人を、そこから差別することは不当な差別」と訴える。

港区議会の6日の審議で請願が採択され、同性パートナーシップ条例の創設に進むかは微妙だ。慎重な議員たちがいるからだ。

男性は反対する人たちに何度も「今じゃない」と言われたという。

この言葉は、11月に批判が広がった自民党の竹下亘総務会長の言葉にも通じる。

宮中晩餐会に招かれた国賓が「同性パートナー」と一緒に出席することに、竹下氏は「私は反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と述べた。

そして、こう言った。

「いずれ議論をしなければならない時期が来るだろうが、まだ先じゃないかと思う」

男性は「今じゃないどころか、遅いと思っています」と言う。

世界を見ると、日本を除く先進国G7は同性婚を認めるか、パートナーシップ制度がある。2017年にも、台湾がアジアで初めて同性婚の合法化を認め、直近ではオーストラリアの国民投票で賛成が過半数を超え、法制化が進んだ。

国内でも、渋谷区以降、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市、札幌市で同性パートナーの認証制度が始まり、国会でも超党派のLGBT議員連盟が誕生した。

その動きは民間にも広がる。社内の福利厚生で、同性パートナーを婚姻関係と同様に扱う規定を設ける企業が増えた。BuzzFeed Japanもその一つだ。

男性が請願への署名集めを始めると、1週間で743人が賛同してくれた。同性愛者への理解や支援は、日本でも確実に広がっていると感じたという。

「議員さんには議員さんができることをやってもらいたい。そうすることで社会も変わる。相乗効果だと思う」と男性は話す。

そして、反対する人たちに対して、こう訴える。

「このことであなたに危害が加わることは何もないです。ただ、愛し合う二人を認めてください」

ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーなど性的少数者は人口の5%とも7.6%(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」)とも言われる。少なくないが、マイノリティ(少数派)であることは間違いない。

そんな同性愛者の権利を認め、差別をなくすことが、社会全体のためにもなる、と男性は考えている。カナダやニュージーランドに住んだ経験からだ。共に、移民が多く、同性婚も認められている国だ。

「少数派を認める国は、みんなにとって住みやすい国です。カナダやニュージーランドには、多様性や価値観の違いは素晴らしいという認識があります」

「日本では言葉の節々に『普通は』という言葉がある。でも、普通というのはあなたの価値観。人は違って当然で、そこから得ることがたくさんある。受け入れて話す機会があれば、それは人生が豊かになる瞬間です」

記事の最後に、男性が請願書に添付した文書を転載する。

請願代表者の思い

私は保育園の同級生に「おかま」と揶揄された事があります。まだその意味や同性愛者が存在している事もわからずいじめられました。


小学生になるとその意味が分かり始め、言動や仕草に気を付けいじめられないように努力したのを記憶しています。思春期を迎え同性にしか興味が持てず現代のようにインターネット等の情報も得られず誰にもカミング アウトできないまま思い悩んだ時期がありました。


そんな中27歳の時ニュージーランドに1年間滞在しました。到着後すぐに最大都市オークランドでゲイパレードがあると知り行きました。ちょうどテープカットをしていて女性の方が中央にいらっしゃったのですが、その方がその当時の女性首相だったのです。約20年前ですが、ニュージーランドでは国を挙げてLGBTへの理解や啓発を推進していました。


ゲイであることを恥じ、誰にも言えないままの私には衝撃的でした。当たり前のように同性カップルが近所に住み、仲良く手をつないでいるのを見てゲイであることは恥ずかしい事ではないと気付きました。


その2年後にカナダ・トロントに3年間住みました。トロントも100万人規模のゲイパレー ドが毎年行われ、市民を巻き込んだお祭りです。両国とも同性婚・パートナーシップ制度が成立しています。移民大国でもあり、国籍・性別などの多様性を認め、外国人の私にも住みやすい国だと実感しました。


経団連の報告にもありますが、人口減少により日本も移民や性的マイノリティの方の活躍が必須だと記載されています。差別や偏見を撤廃し、多様性を認め合うことで個人の特性や才能が充分に発揮されるようになります。


日本にもLGBTの方はたくさんいらっしゃいますが、私のように幼少期にいじめなどの否定的な体験があり、大人になってもカミングアウトできない人がほとんどです。同性を愛することは何が悪いことでしょうか。誰に迷惑をかけることでしょうか。この制度により教育・啓発などで子供から自殺・いじめから守っていただきたいと思います。


私はまだ両親にカミングアウトできていません。区にお願いをするにあたり名前を出すのに大変勇気が必要でした。それでも声を上げるのが重要だと思いました。


自治体の同性パートナーシップ制度は大きな社会的関心を集めています。多様性を重視する港区でこの制度を実現することで、LGBTの仲間は大いに勇気づけられ、自分らしく生きることができるようになります。性的マイノリティを受け入れ、差別しないことへ の象徴的施策として大変発信力があります。


一日も早くこの制度の導入をお願いします。


バズフィード・ジャパン 創刊編集長

Daisuke Furutaに連絡する メールアドレス:daisuke.furuta@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.