インターネットテレビの「AbemaTV」で11月2日21時から5日21時まで生放送で配信された『72時間ホンネテレビ』。稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が、SNSで視聴者とつながりながら番組を進行。SMAP元メンバー・森且行との21年ぶり共演の企画は6時間にわたって放送され、普段、テレビでは決して涙を見せない稲垣が何度も目頭を押さえた。そして最終日のエンディングでは3人が号泣。怒とうの3日間を振り返り、稲垣が「涙のワケ」を語ってくれた。
番組の冒頭では、矢沢永吉からのメッセージが届き、その後、サイバーエージェントの藤田晋社長(AbemaTV社長)の別荘で、公募したゲスト出演者と合流するなど、様々な展開を繰り広げた。3日間はサプライズとハプニングが続出。それを通して、稲垣の考え方が変わっていったという。
「僕自身は、どんなジャンルであっても、エンタテインメントの世界にいる限りは、作品を提供していれば、それでいいじゃない?という気持ちが強かったんです。でも、『ホンネテレビ』では、僕たちが素をさらしちゃってたのを、ファンの方たちが面白がってくれてたんですよね。しかも、その受け止め方に愛があるというか。それを見て、考え方が変わってきたかもしれない。素の部分も、舞台裏も、求められているのであれば、応えていってもいいのかな、って。
中心になって企画をまとめていたのは、香取くんです。彼は、昔からライブの演出を担当していたので、やはり発想力とか企画力がある。『ネットだからユルくていいとか、ネット的な表現を模索するとかではなく、従来の、地上波のテレビを作る感覚でやろう』と言ってましたね」
■「合宿所にいる時のことを思い出した」
番組のハイライトの1つが、かつて共に活動していたSMAP元メンバー・森且行との21年ぶりの共演。オートレーサーに転身した彼を訪ね、3人は浜松のレース場に足を踏み入れた。森のレースを食い入るように見つめながら、普段、テレビでは決して泣かない稲垣が、何度も目頭を押さえていた。
「正直言うと僕はもう、オートレース場に入った瞬間に、泣きそうだったんです。テレビだと分からなかったかもしれませんが、音がものすごく大きいんですよ。その爆音の中に、命がけで走っているような鬼気迫る感じがあって、『森くん、こんなところでやっているんだ』って思って。
宿舎を見せてもらった時も、なんとも言えない気持ちになりました。あんなにストイックな生活をしてるなんて、想像したこともなかったから。
でもね、最新の、快適なつくりとは言えないけれど、あそこにはとてもいい『気』が流れてたんですよ。神聖な場所というか、すごく綺麗な感じがした。それは、選手たちが持ってる気が、きっとそう感じさせてくれたんじゃないかと思って。
そしてね、あの狭いところにみんなで集まる感じ。昔、合宿所にいる時のことを思い出しました」
フィナーレを飾ったのは「72曲ライブ」。そしてライブ後のエンディングでは、番組に出演した人たちからのコメント映像が次々流れ、それを見た3人は号泣していた。
「正直、番組開始から、ライブのことがずっと頭にありました。『最後に72曲なんて、無理なんじゃないか』っていう不安が、ずっとつきまとってて(笑)。実際、どんどん声が出なくなってたし。2日目の夜に亀田三兄弟とカラオケ勝負をしてた時、『あれ? 出ない』ってなって、以降40時間ぐらい、ずっとドキドキしてました(笑)。
あの番組に関しては、出てくださった全員に感謝しかないです。皆さん、何か下心があって出演してくださったわけでもなく、ただ僕らを応援するというピュアな気持ちが、あの最後の映像に詰まっていました。うれしかったし、幸せでした」
(ライター 菊地陽子)
[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]
※インタビューの全文は、発売中の日経エンタテインメント!2018年1月号に掲載しています。全文では、番組を通じて改めて感じた草彅剛、香取慎吾への思い、そして新しいスタートを切った今の心境と、これからのことにもふれています。