<iframe src="//nspt.unitag.jp/f8fa0c7841881b53_3309.php" width="0" height="0" frameborder="0"></iframe>
Ads By BEYOND X

コラム

トランプ「スパイ」説を追え

2017年12月05日(火)16時30分
トランプ「スパイ」説を追え

安倍首相ら世界の首脳はトランプのエゴをうまく利用してきた ILLUSTRATION BY LINCHEVSKA-SHUTTERSTOCK

<金銭力やエゴをくすぐられてプーチンに操られる大統領――諜報専門家が読み解く数々の疑惑と証拠の信憑性>

真実は時に、誰も口にできないほど恐ろしい。だが、あえて言おう。ドナルド・トランプ米大統領は諜報専門家が言うところの「ロシアの資産」だ、と。

つまりトランプは国家に対する反逆者であり、米国において最も重い刑罰に値する罪を犯している。アメリカ合衆国は南北戦争開始で大混乱に陥った1861年以来、最悪の憲政の危機に直面している――。

こんな「暴言」をなぜ吐けるのか。その根拠はあるのか。

トランプをめぐる事実の数々、彼の発言や政策からはある結論が導き出せる。トランプはロシア情報機関の故意の協力者(専門用語では「資産」、一般的に言えば「スパイ」)か、ロシア情報当局によって「意識しないまま」利用されている人物だ。この2つは二者択一的なものではなく、1人の人物がその両方になる場合もある。

米政治は昨年の初夏以来、トランプいわく「ロシア絡みのこと」に振り回されてきた。きっかけはFBIとCIAが、米大統領選にロシアが介入していると政府上層部に報告したこと。この問題はトランプの大統領就任後、米政権にとっての脅威かつ障害と化している。

MI6(英国情報部国外部門)元職員のクリストファー・スティールが昨年前半から調査・作成していた文書は、トランプの側近と家族がロシア情報当局の関係者や高官と何度も面会していた事実を指摘している(この文書は今年1月上旬、米メディアに全文が掲載された)。

トランプは1月下旬の大統領就任直後、自分に敵対的なジャーナリストを逮捕できるかと、FBIのジェームズ・コミー長官に尋ねた。否定したコミーが電撃解任されたのは5月。トランプに「忠誠を誓う」ことを拒否したためとされる。これを受けてFBIを管轄する司法省は、ロシア疑惑の独立調査を指揮する特別検察官にロバート・ムラー元FBI長官を任命した。

トランプとムラーおよびメディアが対立する構図のなか、米政治の危機は拡大を続ける。共和党指導部は党利のためトランプ支持を掲げざるを得ない状態のまま身動きが取れず、米国民の3分の2を占める反トランプ派は危機感を抱き、識者の間ではアメリカが今後10年以内に内戦に陥るとの見方が広がる。

諜報専門家の視点から、より幅広い文脈で一連の問題を捉えた場合、状況はトランプにとって破滅的だ。

ある人物が故国を裏切るように仕向ける際、情報当局者は4つの要素を活用する。「MICE」と総称されるその4つとは、マネー、イデオロギー、コアーション(脅迫)、エゴだ。トランプのケースでは、そのうちの3つが作用している。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

今、あなたにオススメ
Content X powered by

ニュース速報

ワールド

米特別検察官、ドイツ銀にトランプ大統領の口座情報求

ビジネス

日航、超音速旅客機開発の米ベンチャーと提携

ビジネス

アングル:米税制改革進展で早くも銘柄物色、注目され

ビジネス

長府製造所アルミ押出工場、JIS認証一時停止=神戸

MAGAZINE

特集:コロンビア大学特別講義 戦争の物語

2017-12・12号(12/ 5発売)

76年前の真珠湾攻撃は「奇襲」? 「だまし討ち」? 米コロンビア大の歴史学者が説く歴史と記憶の違いとは

グローバル人材を目指す
CASA

人気ランキング

  • 1

    「軍事衝突は近い。国防総省は在韓米軍の家族を退避させるべき」米上院軍事委員

  • 2

    北ミサイル、中国の本音は?――中国政府関係者独自取材

  • 3

    「若ハゲ」と「若白髪」の心臓病リスクは5倍以上

  • 4

    中国で歯の治療をしたら凄かった──逆メディカルツー…

  • 5

    応急処置で肺に針を 北朝鮮亡命兵士、救出から6時間…

  • 6

    米朝戦争になったら勝つのはどっち?

  • 7

    2017年は中流でもビットコインを買える最後の年にな…

  • 8

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 9

    アメリカも北朝鮮のミサイルすべては迎撃できない

  • 10

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 1

    米朝戦争になったら勝つのはどっち?

  • 2

    「英王室はそれでも黒人プリンセスを認めない」

  • 3

    「軍事衝突は近い。国防総省は在韓米軍の家族を退避させるべき」米上院軍事委員

  • 4

    アメリカは核武装した北朝鮮との共存を選ぶ

  • 5

    「骨タイプのおやつ」で死亡する犬が急増 米政府機…

  • 6

    慰安婦カードを使わせる中国――習近平とサンフランシ…

  • 7

    「原子力潜水艦が欲しい!」韓国の望みは現実的か

  • 8

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 9

    ポルノやフェイクニュースの流入でISISが大混乱

  • 10

    韓国を操る中国――「三不一限」の要求

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 3

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 4

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 5

    米朝戦争になったら勝つのはどっち?

  • 6

    「英王室はそれでも黒人プリンセスを認めない」

  • 7

    北朝鮮経済の「心臓」を病んだ金正恩─電力不足で節約…

  • 8

    「トランプ歓迎会に元慰安婦」の陰に中国?

  • 9

    「セックスしている子もいるけど私はしたくない」 …

  • 10

    北朝鮮の子供たちの余りに残酷な現実 身分で決まる…

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク日本版デザイナー募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!