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ファイルを効率的に管理するHP StorageWorks 導入事例

株式会社ドワンゴ

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インターネットの新たな流行を生み出したサービスは、容量・転送量の拡張性を確保しつつコストも抑える

今までにない要件をストレージに求める新たなサービス。管理すべきファイルは大容量の動画コンテンツであり、将来的なユーザー数やトラフィックの増加も予想できないが、最初のコストは抑えたい。そういった柔軟な対応が求められるサービスの基盤として、ドワンゴは「ニコニコ動画」のストレージにHP StorageWorksを採用した。容量とスループットのそれぞれを柔軟に拡張できるため、今後も拡大を続けるサービスにも「当面は大丈夫」との見通しだ。
お客様背景
ソリューション
効果と今後の展望
会社概要
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株式会社ドワンゴ

目的

アプローチ

商用の動画コンテンツ投稿共有サービス基盤を構築
ストレージは大容量の単一ボリュームとし、サーバからはNFSでアクセス
拡張性や信頼性に優れ、メンテナンスも容易なHP StorageWorksを採用
Clustered Gatewayによって大容量の単一ストレージプールを構築

システムの効果

ビジネスへの効果

初期投資を抑えつつも必要に応じて段階的な容量拡大、スループット強化が可能に
コンテンツやトラフィックが急増し続ける中でも安定したサービス提供を維持
インターネット発の新たな流行を生み出すサービスの基盤を実現
将来的な拡張の余裕が十分にあり、今後も拡大を続けるサービスにも「当面は大丈夫」との見通しを得た

お客様背景

新たな流行を生み出す動画コミュニティサービスを支えているのはHPのストレージ

株式会社ドワンゴ 開発計画運用部 佐藤 哲也 氏
株式会社ドワンゴ
開発計画運用部
佐藤 哲也 氏
もはや改めて説明の必要もないほど人気の「ニコニコ動画」、略して「ニコ動」は、コメント機能などによって今までにないコミュニケーション手段を作り上げた動画コミュニティサービス。インターネット発の新たな流行を生み出しており、日本のインターネット文化にも大きな影響を及ぼしているサービスの1つといえる。このサービスのインフラに、日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)のストレージが採用されている。動画コンテンツの商用サービスとして求められるさまざまな要件をどのように満足させていったのか、「ニコニコ動画」のサービス構築・運用を行うドワンゴ開発計画運用部佐藤哲也氏に聞いた。



高度な拡張性と信頼性を求め、容量とスループットのそれぞれを柔軟に拡張できるストレージ構成に

気になるのは、動画コンテンツの商用サービスとしての要件を、どのように満足させていったのかという点だ。佐藤氏は、システム構築の経緯を以下のように説明する。

「われわれとしては、NFSでアクセスでき、全体を単一のボリュームとして扱えるもので、かつ拡張性も備えている必要がありました。しかも、非常に短い期間で構築しなければならず、当然のことながらできる限り安く調達できることも条件でした。実際、このシステムインフラの検討は2007年の4月から5月にかけて行われ、本稼働は6月でしたから、1カ月ほどで決めて導入したことになります」

「ニコニコ動画」では、大量のユーザーが「重たい」動画コンテンツにアクセスするため、高いスループットのストレージが不可欠だ。また、商用サービスとしては可用性も重視しなければならない。「各社の製品を検討したところ、NASヘッドのクラスタ化が2ノードまでという製品がほとんどでした。しかしHPのストレージ製品は、カタログ上で16ノードまでリニアに拡張できるとうたっており、またバックエンドのストレージに関してもEVAシリーズは信頼性が高く、十分に安心できます」(佐藤氏)

選ばれたのは、「HP StorageWorks 6100 Enterprise Virtual Array(以下、EVA6100)」と、「HP StorageWorks Enterprise File Services Clustered Gateway(以下、Clustered Gateway)」の組み合わせだった。Clustered Gatewayは単なるファイルサーバではなく、ストレージ側はSANで、そしてクライアント側はLANで、それぞれスイッチを介して接続するようになっており、負荷分散や帯域拡張が可能な設計だ。その上、複数のディスクアレイをまとめて1つの論理ディスクとして構成することが可能となっているため、ストレージ側を増設すれば容量を、NASヘッド側ならスループットを、それぞれ必要に応じて拡張できる。

過去にも実績ある構成を採用した上で、HPの支援を得てパフォーマンス検証やシステム構築を実施

ドワンゴでは、すでにほかのサービスでも、今回とほぼ同様の構成を採用しているという。その信頼性や運用しやすさは、以前から同社の中でも評価が高かったという。

「Clustered Gatewayへのアクセスはすべて仮想IPで行い、仮想IPは実ノード数に関係なく作成でき、将来の拡張に併せて事前に増やしておくこともできるため運用上のメリットもあります」と佐藤氏は話す。システムを止めずにストレージ容量を拡張でき、かつ全体が1つのストレージプールとして管理されており、データのレベリングを自動で行う点も評価が高かったという。

しかし、実証済みの構成とはいえ、「ニコニコ動画」での転送量は相当なものになるはず。そこでドワンゴでは、導入に先立って、HPの支援を受けてパフォーマンスの検証を行っている。

「すでにHPのストレージを導入していたシステムは、モバイル向けのサービスで使っているもの。一方、今回は、モバイル向けと比べて扱うファイルサイズも大きいし、桁違いに高いパフォーマンスを必要とするサービスです。そこで2ノードでは足りないだろうと考えてテストしたところ、4ノードで4Gbps弱、ノードの1Gbpsインターフェイスの限界近くまで性能を引き出すことができました」と佐藤氏。

HPは、導入時にもClustered Gatewayの設定などのサポートをしている。すでにドワンゴでの過去の導入例があるため、その経験を生かして作業は迅速に進んだという。とはいえ、大容量な動画ファイルを扱うのは、HPにとっても例の少ないことだった。HPによれば、ベストなパフォーマンスを出すために同社の開発部隊にまでドワンゴのニーズをエスカレーションし、課題をクリアしていったという。

ニコニコ動画におけるEFS CGWの構成イメージ

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ソリューション

ノードを追加してすぐに使える拡張性が急拡大するユーザーやコンテンツに対し
安定したサービス提供を可能に

ユーザーやコンテンツが増え続ける中で、「ニコニコ動画」は今のところ大きな問題もなく、安定してサービス提供が続けられている。

佐藤氏は、Clustered Gatewayの印象について、「ノードの中身はLinuxベースのサーバで、ほかのアプライアンスのようにブラック ボックス化された部分が少なく、われわれからすると、中身が分かりやすいので都合が良いという面もありますが、反面『これでいいのか』と、少し心配に思うところもありました」と語っている。しかし、その不安も、運用を続けるうちに払拭されていった。

「データ消失など深刻なトラブルは発生しておらず、ノード障害時のフェイルオーバーなども問題なく行われています。HPのサポートも、細かな不具合に関してもきちんと答えてくれるので安心できます」(佐藤氏)

現状の運用に関しては順調だと話す佐藤氏だが、「ニコニコ動画」自体のサービスは常に拡大している。ユーザー数も増加を続けているという。そういった環境に対応するため、ストレージに関しても段階的に能力を増強しているとのことだ。

「ニコニコ動画では、1ファイル当たりの大きさが数Mバイトから100Mバイト、特に20Mバイトから30Mバイトくらいのものが多いのです。このファイルの大きさのため、当社の別のサービスと比べると現時点で約10倍から20倍くらいの容量を使っています。2007年9月には、まず容量が不足してきたのでEVA6100の増設を行いました」と佐藤氏は話す。

「容量追加とは別に、転送量増大に合わせてClustered Gatewayのノード追加も随時行っています。新しく追加したノードからもすぐにストレージを認識でき、ファイルサービスも迅速に立ち上がってくれます」(佐藤氏)

効果と今後の展望

将来的な拡張の余地は十分にあり「当面は大丈夫」という安心感を持てるストレージに

「実際、ニコニコ動画として本格的にサービスを開始した時から、動画コンテンツの保存先には頭を抱えていたのですが、今回のHPストレージ採用で、当面は大丈夫だという安心感が得られました。ノードとストレージのそれぞれを必要に応じて増やせる、しかもどちらも現時点では拡張性に余裕があるのですから。容量的にも安心できると分かってきたので、途中から投稿容量上限を緩和するなどの措置も行っています」と佐藤氏。

なお、Clustered Gatewayは10Gbpsのイーサネットにも対応している。しかしドワンゴでは、今のところ1Gbpsのネットワークで用いているとのこと。パフォーマンス検証テストも1Gbpsイーサネットで実施していた。佐藤氏によるとノードで10Gbpsを使うためにはコストが必要となるため、それを避けたということだが、だからこそ、さらにスループットを強化できる余地があると考えているようだ。

「ノード単体にはまだ余裕がありそうなので、パフォーマンスを強化するには、単純にノード数を増やすだけでなく、1Gbpsインターフェイスを追加してリンクアグリケーションを利用したりする方法も考えられます。あるいはノードのメモリを増強することでもパフォーマンスを向上させることができるようです」と佐藤氏は話す。ノード数上限までの余裕に加え、ノード単位の強化の余地も確認できたことで、将来的なスループット向上の余地は十分にあることが分かったのである。

「今後も、『ニコニコ動画』のサービス拡大に合わせたスループット強化を当面は続けていけると考えています」(佐藤氏)

会社概要

株式会社ドワンゴ
所在地: 東京都中央区日本橋浜町2-31-1 浜町センタービル
代表取締役社長: 小林 宏
資本金: 100億6,962万円(2008年6月30日現在)
従業員数: 連結707名(2008年6月30日現在)
設立: 1997年8月6日
URL: http://info.dwango.co.jp このリンクをクリックすると、HP社外へリンクします。

事例キーワード

業種: 通信・メディア
  HP StorageWorks 6100 Enterprise Virtual Array
HP StorageWorks Enterprise File Services Clustered Gateway

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