米国株での配当金生活は税金面で不利?むしろ、有利になることも!
どうも、今年から人知れず米国株への投資を進めている新人・米国株ブロガー「のーまねー、のーふりーだむ」管理人です。
米国株投資は純粋な値上がり期待のインデックス投資とは別枠で、配当金生活への移行準備として始めました。
世界的な株高の中、ここ2,3ヶ月で約2,500万円以上買い付けており、受け取り予定の配当金は税引き前で120万円/年くらいです。
数年以内に(正確には米国株以外も含めて)1億円以上のポートフォリオを構築して、税引き前で400~500万円/年くらいの配当金を夢見ています。
ただ、憧れの米国株による配当金生活ですが、税金面ではあまりよろしくありません。
米国株での配当金生活は税金面で不利?
米国株による配当金生活は、日本株による配当金生活と比較すると税金面で不利です。
理由は、①配当金の二重課税(米国の源泉徴収)、②配当控除の対象外、という2つのデメリットがあるからです。
また、後述する外国税額控除を受けるために確定申告をすると③国民健康保険料が上がるというデメリットもあります。
米国株は配当金が二重課税される(米国で源泉徴収される)
米国株の配当金は米国と日本で二重に課税されます。(売却益は二重課税されません)
具体的には、まず米国内で租税条約に基づいた税率10%が源泉徴収されて、その後に日本国内でも20.315%課税されます。
例えば100万円で配当利回り5%の米国株を買った場合、実際に受け取れる配当金は以下の通りです。
100万円で配当利回り5%の株を買った場合
【米国株の配当金(税引き後)】
100万円×5%×90%×79.685%=3.585825万円
※配当金への税率は28.2835%
【日本株の配当金(税引き後)】
100万円×5%×79.685%=3.98425万円
※配当金への税率は20.315%
同条件の日本株と比較すると、受け取れる配当金は約8%も減ってしまいます。
これは痛い。
米国株は配当控除の対象外
米国株でも、日本株でも、申告分離課税を選択すると配当金に対しては20.315%課税されます。(米国株の場合は米国で源泉徴収された後にですが)
税率20.315%の内訳は所得税15.315%、住民税5%なのですが、このうち所得税15.315%については確定申告で総合課税を選択すれば-10%の税額控除を受けることができます。
これが配当控除です。
総合課税による所得税率は以下の通りなので、課税所得900万円以下であれば総合課税を選択して配当控除を受けた方が得なのです。
(課税所得900万円以下であれば配当金の所得税率が15.315%以下になる)
課税される所得金額 | 税率 | 配当控除 | 配当控除後税率 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | -10% | 0% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | -10% | 0% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | -10% | 10% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | -10% | 13% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | -10% | 23% |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | -10% | 30% |
4,000万円超 | 45% | -10% | 35% |
但し、残念ながら米国株は(国内リートなども)配当控除の対象外です。
これは辛い。
国民健康保険料が上がる
後述する外国税額控除を受けるために確定申告をすると国民健康保険料が上がります。
米国株の配当金については確定申告をしないという選択肢もありますし(いや、ない)、配当金を出さない純粋な値上がり期待のインデックス投資などであれば問題ありませんが・・・(そもそも論)。
これも悩ましい。
それでも私が米国株で配当金生活を目指す理由
かつて、上記のデメリットは私を米国株投資から遠ざける理由としては十分過ぎました。
しかし、最近になって私が米国株で配当金生活を目指し始めたのは、税制面での不利を完全に克服することができた(むしろ有利にすらなった)からです。
外国税額控除を受ける
米国株の配当金は、まず米国内で租税条約に基づいた税率10%が源泉徴収されて、その後に日本国内でも20.315%課税されると説明しました。
しかし、米国内で源泉徴収された税金については確定申告をすることで他の所得税や住民税から差し引くことができるのです。
これが外国税額控除です。
(ふるさと納税なども同様ですが)税額控除の上限額は課税所得金額によって異なりますが、配当金の外国税額控除は相応の所得があれば全額控除されます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1200.htm
面白いのは、米国での源泉徴収分が全額控除されると配当金への税率は(実質)約18%になり、むしろ日本株の約20%よりも税制面で有利になるのです。
100万円で配当利回り5%の株を買った場合(外国税額控除あり)
【米国株の税引き後・配当金】
(100万円×5%×90%×79.685%)+(100万円×5%×10%)=4.085825万円
※配当金への税率は(実質)18.2835%
【日本株の配当金(税引き後)】
100万円×5%×79.685%=3.98425万円
※配当金への税率は20.315%
ちなみに、NISA口座で保有している米国株から受け取った配当金には外国税額控除が適用できません。
所得税率を上げる
米国株は配当控除の対象外であると説明しました。
しかし、確定申告で総合課税を選択して配当控除を受けた方が有利なのはあくまでも課税所得900万円以下(所得税率23%)です。
それ以上の課税所得がある場合、米国株の配当金が配当控除の対象外であることはメリットにもデメリットにもなりません。
まー、配当金以外の所得は不安定ですし、配当金以外の所得がある時点で配当金生活とはいえないかもしれませんが、なんにせよ税制面では臆することなく申告分離課税を選択できます。
定額の健康保険組合に加入する
外国税額控除を受けるために確定申告をすると国民健康保険料が上がると説明しました。
しかし、世の中にはいくら所得が増えても定額の健康保険組合が存在します。
そーゆーのに加入しおけばOKです。もしくは既に国民健康保険料が上限とか。
まとめ
基本的に、米国株による配当金生活は日本株による配当金生活と比較すると税制面で不利です。
しかし、配当金以外にもある程度の所得があったり、定額の健康保険組合に加入するなどすれば、それらのデメリットを完全に打ち消すこともできます。
むしろ、外国税額控除をフル活用できるのであれば日本株での配当金生活より有利にすらなるのです。
もちろん、私達が米国株へ投資をする上で、必ずしも税制面での不利が解消されている必要はないでしょう。(私の場合、きっかけにはなりましたが)
米国株投資家の根っこにあるべきなのは、そもそもの高配当=株主還元や、今後の増配=業績向上を通して、長期的には日本株のトータルリターンを上回ると固く信じる心一つだからです。
ただ、未来はいつだって不確実ですから、実際に今後も米国株が日本株をアウトパフォームし続けるかどうかは誰にもわかりません。
一方で、税制面での不利は確実に私達の資産を蝕みますので、せめてゲームのルールは理解しておきたいところです。
今日は以上です。