第345回 2017年12月11日(月) 放送予定
未来の景色は自分でつくる
スーパーコンピューター開発者・齊藤元章
ことし10月、ベンチャー企業が開発したスーパーコンピューターが日本一の計算速度を記録した。手がけたのは「異端児」と称されるスパコン開発者・齊藤元章(49)だ。その発想はきわめて独創的。まずマシンを見て驚くのが、電子部品が液体にジャブジャブとつかる冷却方法。一般的な冷却の30倍も効率が良いという。齊藤はこうしたユニークな技術を、少数精鋭25名の技術者と共に実現してきた。多くのスパコンが国家プロジェクトとしてばく大な予算と大人数の技術者で開発されるなか、齊藤はアイデア一つで超えてみせると豪語する。
ところが世界一を目指して設計したスパコンから突然、煙が上がってしまう。独創的な設計がことごとく裏目に出て、まったく性能が出ない日々が続く。世界中の開発者から「そんな夢のスパコンが実現するのか?」と疑問の声が続出した。絶体絶命のピンチ。その時、齊藤はまたしても大胆なアイデアで、突破口を見いだそうとする。
日本最速のスパコンは、いかにして誕生したのか?8か月にわたる密着取材で、孤高の開発者・齊藤元章の強じんな精神力に迫った。