北朝鮮の木造船が一時避難していた北海道松前町の無人島・松前小島で、灯台の周辺に設置の電源用太陽光パネルの一部が取り外されたり、漁業者の避難小屋にあったテレビや冷蔵庫、炊飯器といった家電やバイクなどの備品のほとんどが持ち去られていたことがわかった。灯台を管理する第1管区海上保安本部(小樽市)や避難小屋を管理する松前さくら漁協が4日、現地で被害を確認した。
同漁協などは道警へ被害届を検討しており、1管や道警は4日も木造船を立ち入り調査。これまでに家電品の一部を確認している。5日も立ち入り調査し、乗組員10人から事情を聴くとともに、窃盗容疑も視野に調べる。
道警や海保の担当官らは感染症予防の防護服を着て島に上陸。灯台のそばに36枚設置された太陽光パネルのうち4枚(1枚当たり縦119センチ、横197センチ、重さ30キロ以上)がなくなっていたが、配線が切られた状態で港の防波堤付近で見つかった。工具や食糧を保管していた灯台施設のシャッターの鍵も壊されていたが、灯台の機能に支障はないという。
また避難小屋はドアノブが外され、家電製品や発電機のほか、布団や衣類も根こそぎなくなっていた。
木造船をめぐっては11月28日午後、松前小島への漂着を上空から確認。同29日に島周辺で漂流しているのを1管が見つけたが、その際、乗組員らが家電製品などを海に投棄。一部を巡視船が回収しているという。
菅義偉官房長官は4日の記者会見で「(1管などの調査)結果を踏まえ、関係法令に基づき適切に対応したい」と話した。
【真貝恒平、源馬のぞみ、澤俊太郎】