ヨルダン、エルサレムをイスラエル首都と認める危険警告 米に
中東ヨルダンのアイマン・サファディ外相は4日、米国がエルサレムをイスラエルの首都として認めればアラブ諸国やムスリム(イスラム教徒)世界は強く反発し、「危険な結果」を招くと警告した。
ドナルド・トランプ米大統領は昨年の米大統領選でエルサレムの首都承認を公約の一つに掲げた。大統領は近く判断を下すとの憶測が高まっているが、ジャレッド・クシュナー大統領顧問は3日、まだ何も決まっていないと語った。
サファディ外相はツイッターで、「(レックス・)ティラーソン米国務長官に、エルサレムをイスラエルの首都と認めることが、どのような危険な結果につながるかを話した。そのような決定はアラブ、ムスリム世界の怒りを呼び、緊張を高め、平和への取り組みを危うくする」と述べた。
サファディ外相のツイートについて、米国務省から正式なコメントは出ていない。
パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、トランプ氏にエルサレムの首都承認を発表させないよう、国際社会への働きかけを強めている。
自治政府によると、アッバス議長は3日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領などの各国首脳に電話を掛けた。
AFP通信によると、アッバス議長の顧問を務めるマジディ・アル・ハリディ氏は、アッバス議長が「(米国の)大使館をエルサレムに移動させたり、(エルサレムを)首都と認めるような決定の危険さを説明」したいと考えたと語った。
パレスチナ人指導者たちはこれまでも、エルサレムの首都承認はイスラエルとパレスチナの間の紛争の終結に向けた「2国家共存構想」を脅かすと警告してきた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領しており、1980年には同地域を自国の国土とした。国際法上では現在も占領地に区分されている。
イスラエルは、エルサレム全体が同国にとって永遠の首都だと強く主張しているが、パレスチナ人は東エルサレムを将来の樹立を目指す国家の首都にしたい考え。
イスラエルが独立を宣言した1948年以来、米国の歴代政権は、エルサレムの位置付けは交渉で決めるべきとの立場を維持。交渉結果に影響を及ぼし得る行動は、自制してきた。
2016年の米大統領選でトランプ氏はイスラエルへの強い支持を表明し、大統領就任の1日目に、在イスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレムに移す大統領令を出すと約束していた。
トランプ大統領はその後、決定を先延ばしにしてきたが、トランプ氏が今月6日に演説し、エルサレムをめぐる方針を明らかにするとの憶測が出ている。
3日にワシントンでシンクタンクが開いた「サバン・フォーラム」で質問を受けたクシュナー顧問は直接答えず、考えを発表する適切な時期を決めるのは大統領だと語った。
クシュナー氏は、「大統領は決断するし、多くの様々な事実をまだ検討している。決断が下されれば、私ではなく大統領がお話する」と述べた。
(英語記事 Jordan urges US not to recognise Jerusalem as Israel capital)