靴下の臭いでも「フルーツの王様」、中国で人気沸騰
Anuradha Raghu-
マレーシア、ドリアン外交でタイの独占市場に参入狙う
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中国のドリアン輸入は10億ドル突破、独特の香りが大ヒット
強烈なにおいを放つフットボールほどの大きさのとげだらけのフルーツ、ドリアンが中国で人気沸騰中だ。マレーシアはその人気にあやかりたい考えだ。
国連のデータによると、中国のドリアン(生果実)輸入額は過去10年に平均で年26%増加し、2016年には11億ドル(約1240億円)に達した。この市場はタイが独占しているが、マレーシアの政治家は冷凍果肉以外の販路を拡大しようとドリアン外交に期待をかけている。11月初旬に中国南部の広西チワン族自治区南寧市で開かれたマレーシア・ドリアン・フェスティバルでは約16万5000人が、最高級品種「ムサンキング(猫山王)」の解凍済みサンプルを試食しようと行列を作った。
マレーシアのアフマドシャベリー農業・農業関連産業相は11月25日に同国パハン州で開幕したドリアンフェスティバルで、「中国では今、市民が行列する商品が2つあると言われている。それは『iPhone X』とマレーシア産ドリアンだ」と語った。このフェスティバルには中国内陸部の西安からもドリアンの熱狂的ファンが駆け付けた。
「フルーツの王様」
ドリアンはマレーシアでは「フルーツの王様」と称される。臭いの強さからホテルや空港、公共交通機関で持ち込みが禁止されているドリアンを味わおうと果樹園を訪れる中国人観光客は急増している。
ただ、ドリアンは好き嫌いが分かれる果物だ。熱狂的ファンは内側の果肉を、豊かなバターのようなカスタードにほのかなチャイブの香りと粉糖、キャラメルクリームも添えたような味だと表現するが、それ以外の人は腐ったタマネギやテレビン油、汚い運動用靴下のような臭いだと拒絶する。
インターネットでドリアン探し
マレーシアの国際貿易・産業担当高官が今月語ったところによると、ドリアンとドリアン関連製品は中国の電子商取引サイト、アリババ・ドット・コムで検索される商品の上位に並ぶ。ただ、マレーシアのドリアン農家4万5500世帯は現在、中国市場にドリアンを生果実として丸ごと輸出することはできず、冷凍果肉での輸出が頼りだ。生果実として売買する市場から閉め出されているのは、木に登って収穫せず、熟して地上に落下するのを待つのが一般的だからだ。
アフマドシャベリー農業・農業関連産業相によると、中国がマレーシア産の輸入を思いとどまるのは、生果実に付着する汚れや害虫のリスクが要因だが、中国当局との交渉次第では生果実を丸ごと輸出することについて、1年以内に承認を得られる可能性がある。同省は4ポンド(約1814グラム)のドリアンを地上に落下させずに収穫するためネットやロープの利用について農家と協力しているという。
パハン州で2日間の日程で開かれたドリアンフェスティバルに参加するため陝西省西安から来たというチュラン・チャンさん(35歳)は、「中国にはタイ産のドリアンが多く出回っているが、味は猫山王のようなマレーシア産とは全く違う」と述べ、マレーシア産の丸のままの生果実ドリアンが早く中国で手に入るようになることを心から期待すると語った。
原題:The Fruit That Smells Like Gym Socks Is Skyrocketing in China(抜粋)