ネット保険創業者から大学学長へ。ライフネット生命の創業者出口治明氏が、2018年1月に立命館アジア太平洋大学(APU)の学長に就任する。日本生命保険を退職し、11年前にインターネットを活用した生命保険会社をゼロから立ち上げた出口氏は国際色あふれる同大学をどうけん引するのか。出口学長の就任に関わったAPUの今村正治副学長とともに話を聞いた。
日本生命では海外畑や経営企画など幅広く担当し、その後、インターネットの時代に向き合ってライフネット生命を創業されました。大企業からベンチャーまで実業界を歩いて来られた出口さんが、次の活躍のフィールドに「大学」を選ばれたということで驚きました。どのような経緯で学長就任が決まったのでしょうか。
出口:9月頃だったかと思います。何名かの方から「出口さんを推挙しました」というお話を頂いたのです。当初は一体何の話かとキツネにつままれたような感じでした。お話を聞いてみると、APUの学長就任に推薦したという話でした。
後から知りましたが、APUは学長を公募していたのです。誰であっても自薦、他薦できる仕組みで、何人かが私を推挙してくださったということでした。ところが、募集要項を見せて頂くと、第1条件がドクター(博士課程修了)で、第2条件は英語がペラペラ。「ああ、(基準を満たさないので)私には関係ない話になりそうだ」と思いました。
でも、たまたま僕は、ライフネット生命を作る前に、東京大学の総長室のアドバイザーをやっていたことがあるんです。大学改革はチャレンジングだと思っていましたので、10年後にまたこんな話がきたのは何かのご縁かなと思えました。結果として選任して頂いたので、じゃあ、もう頑張るしかないなと覚悟を決めました。
今村:APUの学長は出口さんで4代目になります。今回始めてAPUのメンバーが学長を推薦できるようになったのです。これまでの3人は、京都にある学校法人立命館が決めていました。開学から18年たち「そろそろ自分たちで選ばせてください」と交渉し、我々が推薦することを認められたのです。
それで、すぐに10名の選考委員会を作りました。私が選考委員長で、5人の教員、2人の職員、2人の卒業生からなります。そのうち4人が外国人です。そういうメンバーで構成された委員会で、そもそも「どうやって決めるか」というところから話をしまして、そこで浮かんだのが公募ということです。APUは18年目の建学の時にも、教員たちを世界で公募しましたので、思い切って学長も公募しようということになって、そこから公募要項を作り始めたんです。
公募要項を決めて、募集したところ100人ぐらいのリストができました。20人はご自身で立候補された方々で、残り80人が出口さんのように他薦された方でした。
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