2017-12-03
トランプ減税と経済学界・続き
経済 |
昨日エントリの最後でリンクしたサマーズ=ファーマンの「Dear Colleagues: You responded, but we have more questions about your tax-cut analysis」という論説の概要は以下の通り。
- 多くの点を明確にしてくれことに感謝。特に、「長期的な結果に収束する調整スピードについては論じていない」と書いたことで「GDPの長期水準の利得が3%強、ないし10年間は年間0.3%」という元の書簡の記述を事実上撤回したことは良かった。
- しかし、元の書簡で引用した3つの研究は調整スピードの推計値を提供しており、それによると長期的な生産が3%上昇すると今後10年間の年間成長率は0.1~0.2%増える。これは減税案のコストを賄うにはほど遠い成長率である。
- しかし、この成長率でさえ高過ぎると思われる。この見解の違いは経済の動きに関する見方の違いに起因するものではなく、貴兄たちが間違えた引用を行い、かつ、仮説的な理論的提案ではなく実際の減税・雇用法案(Tax Cut and Jobs Act )を俎上に載せ損ねていることによるところが大きい。特に:
- 貴兄たちのOECD研究の使い方は完全に間違っており、明示的な訂正が必要
- 3つの財務省モデルから1つを選んだ根拠
- 書簡では、ジョージ・W・ブッシュの税制改革委員会の成長・投資税案(Growth and Investment Tax Plan)が成長に与える影響を評価した財務省の3つのモデルのうち1つしか引用しておらず、それは長期的効果が他の2つのモデルよりも倍以上大きいものである。今回の書簡で貴兄たちは、「起こる可能性が高い貯蓄の反応と、それによる資本の蓄積を最も正確に反映すると我々が考えた[のがこのモデル]」としている。
- そのように考えた根拠は何か? 元の書簡では、「米国経済は国際的な資本市場の中で運営されている」という事実を反映した分析の重要性を強調したが、貴兄たちが選んだ財務省モデルは、米国を閉鎖経済として扱っているため、「国際的な貿易や資本移動を考慮していない」ものである。実際に国際的な資本移動を考慮した財務省の世代重複モデルを貴兄たちは引用しなかった。そのモデルこそが、署名者の一人であるダグラス・ホルツイーキンがAmerican Action Forum *1税制案の動学的評価をする際の基盤として強調していたものなのだが。
- 正直なところ、熟慮した上で経済学的判断を下したのではなく、財務省の報告書で最も高い推計値を拾った、という結論に到達せざるを得ない。
- マイナス効果を十分に考慮していない
- 貿易赤字の件
- その質問に貴兄たちは答えていない。教科書の経済学通り、我々に同意してくれたものと受け止めたが、その考えが間違っていたら教えてほしい。
- 貴兄たちが本来よりもかなり高い成長率を想定しているという我々の印象は、シカゴブースのIGMパネル経済学者調査と貴兄たちの結論が矛盾していることによって裏打ちされる。同調査では、法案が通ればGDPは「10年後に現状のままに比べて有意に高くなる」ということに同意したのは42人中1人だった。
- 追記:この書簡の送信後、両院合同租税委員会(JCT)が上院案の動学的評価を出したが、それによるとコストは今後10年間で1兆ドルを超え、年間GDP成長率の上昇幅は0.1%ポイント未満、長期的な生産への影響はさらに小さいかマイナス、とのことだった。
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