「ひそねとまそたん」樋口真嗣から青木俊直へのオファーは「あまちゃんの絵を見て」

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左からコヤマシゲト、青木俊直、樋口真嗣、南雅彦。

左からコヤマシゲト、青木俊直、樋口真嗣、南雅彦。

テレビアニメ「ひそねとまそたん」の制作発表が、本日12月3日に千葉・幕張メッセで行われた「東京コミコン2017」にて開催。会場には総監督の樋口真嗣、キャラクター原案の青木俊直、モンスターコンセプトデザインのコヤマシゲト、アニメーション制作を手がけるボンズの南雅彦が登壇した。

「シン・ゴジラ」の監督を務めた樋口の最新作として、数日前よりシルエットビジュアルやティザーサイトが公開されていた本作。ステージ上でタイトルとビジュアルが発表されると、事前情報のイメージとは裏腹なかわいらしい全貌に会場には静かなどよめきが広がる。樋口は「どうでしょう、この困った空気」と口火を切りつつ、聞き馴染みのないタイトルについて「どこで区切るかですね。アナグラムかもしれない」と笑いを誘う。

これまでアニメーションに携わってはいたものの、監督としては実写作品を手がけることが多かった樋口。「そうですね、エヴァだったりエヴァだったりエヴァだったり……。基本的にアニメーションは非常に好きではあるんですが、周りがすごい人たちばっかりだったので、自分が作るというよりは誰かが作るのを手伝うことが多かったんです」と振り返る。そんな中、自らが総監督としてアニメ制作に挑むことになった経緯を「アニメーションを作りたいということよりも、青木さんの絵に惚れたり、コヤマさんの絵に惚れたり……ということが自分の中では大きかったです。この絵が動いたらいいだろうなあと思ったのと、(自分で構想していた)このストーリーを表現するのには手描きのアニメーションが一番いいんじゃないかと思った」と明かす。

「ひそねとまそたん」で描かれるのは現代に生きるドラゴンと、彼らを世話する航空自衛隊に所属する少女。ドラゴンたちは飛行機に擬態し、日本の上空を飛ぶ。このストーリーは「ドラゴンがコスプレしたらどうなるんだろう」という樋口の思いつきから生まれたそうで、樋口は「成田空港って無線を聞きながら珍しい飛行機が来るのを待って、写真で撮る人たちがいるんですよ。それを一日中ずっと繰り返していて。彼らはもし尻尾の生えた飛行機が飛んできても写真を撮るのかなと思ったのが始まり」と語る。

ここで、青木へのオファーはSNSで発表していた「あまちゃん」のイラストを見たことがきっかけだということが樋口によって明らかに。「(青木が描いた)『あまちゃん』のキャラクターが1人歩きをし始めていて、この人が描く絵で物語性をつけたら面白いんじゃないかと思ったんです」と話す。

青木はスクリーンに投影された主人公・甘粕ひそねのイラストを見ながら、「最初にキャラクター(の設定)をいただいたとき、すごく丁寧に描いて樋口さんのもとに持って行ったんですよ。でも『もっとラフに描いてくれ。そのラフな感じをアニメーションで出したい』と言われて。適当に描いてんなと思われるかもしれないけど、リクエストで描いてます! わざとです(笑)」と弁解。「キャラクター原案の仕事を何回かさせていただいてるんですけど、いつも打ち合わせの最初に『僕の絵はアニメーション向きではないですよ』と伝えていて。それでもよいということでお受けしているんですが、今回もそういう形で言っていただいたので、作り手にいながらアニメーションになったときにどういうふうになるのか楽しみにしてます」と期待を寄せた。

一方、樋口とは、「肉部」の会長と部員の関係だというコヤマ。ドラゴンのまそたんがスクリーンに映し出されると、「(ストーリーの軸が)自衛隊で、ドラゴンと聞くと『あ、カッコいい!』と思うと同時に、不安になる人もいると思うんですよ。僕も不安になったタチなんですけど、キャラクター原案の青木さんの絵を見たら『あ、かわいい! これなら俺、描けます!」となって。青木さんの絵に合わせてデザインした感じなんです。ちゃんとドラゴンを描こうと思えば描けるんですけど(笑)、それはちょっと違うかなと。ロボットとか戦闘機とかメカニックではなくて、あくまでもまそたんというキャラクターを作ろうとデザインしてます」と述べた。

脚本の岡田麿里とのタッグについて樋口は「別の企画をずっとやっていたんですが流れてしまったんです。そのときに岡田さんから、『このまま、はいサヨウナラって嫌だよね』と言われまして。そのときに自分の中でずっと温めてた話を提案したら『ああ、いいんじゃない』となって、お話作りが始まったんです」と2人の間のエピソードを披露。「ある意味、アニメーションというフィールドに引き摺り込まれた最大の理由は岡田さんというのもあります。岡田さんとだったらできるかもしれないと」と、しみじみ語った。

最後に樋口は「去年『シン・ゴジラ』をみんなで作って、映画の可能性というのを自分の中で突き詰めてしまった部分が正直あります。それで次に何をやろうかというときに、このままいくと縮小再生産になる恐れもあって。今の自分が何をやりたいか、何ができるかを考えたときに岡田さんや青木さん、コヤマさんの顔が浮かんだんです。物語、作品としての可能性を考えると一番やりたいのはアニメーションという表現形態でした」と吐露。またプレスコ方式で収録が行われることなども含め、「質感とか肌触りとして、今までのアニメーションとはちょっと違ったものになるかもしれない。その違ったことが、自分としては作ってみたい魅力的なことになってるんじゃないかな」とまとめ、イベントは幕を閉じた。

テレビアニメ「ひそねとまそたん」

2018年放送

スタッフ

原作:BONES・樋口真嗣岡田麿里
総監督:樋口真嗣
監督:小林寛
シリーズ構成:岡田麿里
キャラクター原案:青木俊直
キャラクターデザイン:伊藤嘉之
メインメカニックデザイン:河森正治
モンスターコンセプトデザイン:コヤマシゲト
コンセプトデザイン:okama
軍事考証:小柳啓伍
美術デザイン:平澤晃弘
美術監督:金子雄司
色彩設計:小針裕子
撮影監督:佐々木康太
3DCG監督:安東容太
編集:奥田浩史
音楽:岩崎太整
音響監督:山田陽
音響効果:野口透
アニメーション制作:ボンズ

(c)BONES・樋口真嗣・岡田麿里/「ひそねとまそたん」飛実団

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