私は帰って来た、いっしーです。
ぼくの人生に多大な影響を与えた友人”コンちゃん”についてお話させて下さい。
こいつは最高にクレイジーで、何事も本気で楽しんでる頭の中がハッピーセットみたいな野郎です。
※フィクションです
コンちゃんとは小、中学校と同じで、家も近い所に住んでいました。ぼくと同じで勉強は出来なかったけど、柔道が最強で県内でもトップクラスの実力で、異常に体力があるタフな少年でした。
ヤンキーに憧れる不良・・・なタイプでは無く、自分が面白いと思った事を本気で追及するタイプの変態でした。
自転車をパクったり、窓ガラスを割ったり他人に迷惑を掛ける悪さは一切しませんでしたが、謎のポリシーが多数あり、結局そこで教師と揉めて一歩も引かないのでヤンキーとは別の意味で問題児扱いされていました。
「コンちゃんなんでいつも学校にカバン持って行かないの」
「俺には手ぶらで通学する美学がある」
「ふーん(何言ってんだコイツ)」
意味分かんないけど、コンちゃんはいつでも本気でした。
メッチャ懐かしい・・・
中学生になると、自然と音楽に興味が出てきます。ぼくは女性ボーカルのバンド系にドハマりしていました。(GO!GO!7188、少年カミカゼ、チャットモンチー、中ノ森BAND等)
特に好きだったのが、THE PINK☆PANDAという超マイナーバンドが一番好きでした。ベースの古賀ちゃん可愛い・・・
コンちゃんはHIPHOPにハマっていました(SEAMO、SOULd'OUT等)
音楽の趣味こそ合いませんでしたが、いつも一緒にスマブラをして遊ぶ仲でした。終点でタイマンを張る毎日・・・まぁコンちゃんのシークよりもぼくのフォックスの方が強かったんですけどね。
お互い引く事を知らない性格だったので、コンちゃんとはよく無茶な遊びをしました。
真冬に2キロ先のスーパーに歩いて行き、大雪の中極寒BBQ、自転車で縁石を誰が一番長い距離走れるかレース、ブランコを本気で扱いでる間をアイマスクして通る事は出来るのか?辛すぎる思い出ばかりです。
高校生になって久しぶりにコンちゃんの家に遊びに行くと、完全に知らない部屋になっていました。
漫画の代わりに大量のレコード、ゲームキューブが置いてあった棚にはターンテーブル。そして壁全面が緑と黄色と黒色の布で覆われていました。
「いやここ何処だよ」
「ここはジャマイカだよ」
お前つい最近まで「ウェカピポ」聞いてただろと思いましたが、コンちゃんのレゲエに対する姿勢は本気でした。
レゲエとの出会いが彼の人生を変えます。
高校生ながら地元のクラブに潜入し、客では無く運営側に入り込んでいきました。DJ達と仲良くなってターンテーブルの使い方を教わり、勝手に箱で曲を流し始めます。
「コンちゃんレゲエの調子どう?」
「今・・・なんて言った?」
「調子どう?」
「その前」
「レゲエ↑」
「レゲエ↑じゃない、レゲェ↓だ」
「良いからスマブラやろうぜ」
東北訛りがあるクセにレゲエの発音に拘る意味が分かりませんが、コンちゃんは昔からこんな感じです。
2人共地元の専門学校に進学しました。ぼくは美容の学校、コンちゃんはパソコン系のなんか良く分からん学校です。
専門学校に進学するとレゲエに対する熱が更にヒートアップしていきます。学校に行かずに昼はアルバイト、夜はクラブに入り浸る生活です。
岩手のメインストリートでイベントのビラ配りをしている所も見ました。
ぼくは行きませんでしたけど。
「コンちゃんレゲェ↓の調子どう?」
「今度パイセンとジャマイカ行ってくるぜ」
「どーせマリフ〇ナ吸いに行くんでしょ」
「うるせえラブ&ピースなんだよ、本場のプレイを見てくるぜ」
コンちゃんの行動力がある所が大好きでした。
自分の好きな事に対して、本気で遊ぶ彼に憧れなのか尊敬なのか良く分からないけど、なんかスゲェ奴だなとは常に感じていました。
「ジャマイカ最高だったZE!!!」
「どんな感じだった?」
「もう最高だよ!場所時間関係なく道端で音楽流しててさ!そこにみんな集まってくる感じ!!」
「マリフ〇ナどうだった?」
「それよりもさ、道端で音楽流してるとテンション上がった奴が銃を空に向けて撃ったりすんのよ!!あれはもうキマっちゃってんね!!!」
「それめっちゃ危ないじゃん」
「マジで危ないよ、だからみんな銃声聞くと走って逃げだすもん。少し時間がたったらまたみんな集まってくるっけよ」
「俺都内の美容室に就職決まったんだけど、コンちゃんどうなった?」
「出席日数足りなくて卒業出来なかった・・・」
「だろうな・・・学校行ってた時何してたのよ」
「・・・学校に行った時はひたすら英語の単語を覚えてたよ」
「は?」
「俺NYに行くわ」
「は?」
「今の時代は英語だね、語学留学してくるわ」
「おう行ってら」
コンちゃんは学校に行かずに貯めたバイト代でNYに行ってしまいました。
これがコンちゃんと直接交わしたの最後の言葉です。
その後コンちゃんとはFacebookを通して連絡を何度か取りました。
「金無いからその辺の柔道教室で先生のバイト始めたわ」
「チャイニーズレストランでバイトしてたんだけど、今日ユマ・サーマンが来たぜ!」
「NYのクラブ潜入してプレイしてきたZE!」
「地方ラジオ局の火曜日夕方枠のDJ任されたわ!!」
「南米では有名なDJに気に入られてさ、今度ガンビアって国のツアー一緒に回ってくるわ!」
「ガンビアって何処だよ」
南米の小さな国らしいです。なお治安は最高に悪い模様
「コンちゃん今何してんの?」
「本気で遊んでる」
「そりゃよかった」
20歳の時に海外に旅立ってからコンちゃんは日本に戻ってきていません。事務的な処理で数回帰国していると思いますが、またすぐに日本を脱出しています。
Facebookのアカウントはパスワード忘れたし、携帯も幾度となく紛失しているので、連絡先は失ってしまいました。
きっとコンちゃんは今も海の向こう側で本気で遊んでいるはずです、彼ほど人生を楽しんでいる人を知りません。
根拠はありませんが、そのうち会えると思います。友達ですからね。
そして再会した時に、「お前、つまんなくなったな~」と思われないように、ぼくも自分のやりたい事、成し遂げたい事に向かって走り続けます。
こんな所で立ち止まっていると、コンちゃんに笑われちゃいますからね。
またね、byいっしー