komagatake_tanpopo_今回は、マルスウイスキーから、シングルモルト駒ヶ岳 ネイチャーオブ信州 ~信濃蒲公英~を飲んでみます。

シングルモルト駒ヶ岳は、マルスウイスキーの中でも信州マルス蒸溜所のモルトのみを使った上級ブランドに位置しています。
基本的に本数限定で、それぞれに様々な試みが行われていて、ウイスキーファンの楽しみになっていると言えます。

2015年から、ネイチャーオブ信州というシリーズがスタート、最初は竜胆、翌年は小彼岸桜をリリースしました。いずれも2011年に再稼働して以降に蒸溜された3年熟成の原酒と、1985~1992年までに蒸溜された長期熟成原酒をヴァッティングしています。

そして2017年に、第三弾となる信濃蒲公英をリリース。
こちらも、2014年に蒸溜され、バーボン樽、アメリカンオークの新樽で熟成されたモルト原酒を主体に、20年以上熟成されたシェリー樽原酒を加えています。

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少し濃い琥珀色、香りはブドウ、接着剤の香りが強く鼻をくすぐります。

口に含むと、赤ワインのような独特のアルコール臭の後、ナシ、ブドウ、リンゴ、カラメル、樽香が口の中にしっかり広がります。
味わいは酸味が少々強めですが、後から果物のような甘みもあって、52度のアルコールを感じさせません。

ロックにすると、エステリーさが一気に現れ、マスカットやバニラ、樽が持つ木の香りも目立ってきます。後味にレーズンをはじめとするドライフルーツのような濃厚な香りが訪れ、加水されるとこちらが主体になっていきます。
味わいは、多少ビターがでるものの、ほどよく酸味、甘さとのバランスがとれている印象です。

最後にハイボールにすると、ナシ、レーズン、ウッディさが香ってきます。
味わいは、多少フルーツを思わせる酸味がある印象です。

全体的に見ても、長期熟成されたシェリー樽原酒が強く印象づけられていて、高い度数にもかかわらず、アルコールの刺激をあまり感じずにまろやかで飲みやすくなっています。

ロックにしても加水しても、その香りが失われることが少なく、十二分に楽しめる印象で、サントリーやニッカとも十分対抗できるほどのできばえです。

700mL、アルコール度数52度、価格は9000円ほどです。
ただし、11000本限定のため、購入の際は在庫に気をつけましょう。

本坊酒造においては、2016年に鹿児島県で津貫蒸溜所が建設され、サントリー、ニッカ同様に2つの蒸溜所で幅広い原酒を造れるインフラを手に入れました。
これらを使った本格的なブレンデッドは2020年代のお楽しみになりますが、今後も期待できるメーカーであることに間違いはありません。

<個人的評価>
  • 香り AA: 20年以上熟成されたシェリー樽原酒からのレーズンの香りが主体。ナシ、リンゴ、カラメル、接着剤、バニラ、そして樽の香りが訪れる。
  • 味わい AA: 52度を感じさせないほどまろやか。酸味がメインで、甘さが後押しする印象。
  • 総評 AA: マルスウイスキーの本気を堪能できるボトル。