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「幻想都市・ヤマメ編」
香霖堂から出て、空を見上げるとどんより曇り空。
これはまずい。大気にもう十分穢れが溜まったようである。
世界が浄化を望んでいるのだ。まさに週刊降雨。
土蜘蛛「ダスト・・・」
土蜘蛛「病んでる病んでる。困ったもんだねぇ。」
人工物しか無いこの街は、もう汚す価値もない。
土蜘蛛「ぷっ・・・」
土蜘蛛「汚す価値って・・・どんな価値だよ、ぶーっ、くすくす!」
橋姫「うわー、何か一人で笑ってるよ。」
斜め後ろ後方から声がした。振り返ると死んだような目付きの少女が若干引き気味に立っている。
橋姫「マジ引き・・・」
土蜘蛛「水橋ぃ!」
橋姫「ちょ、街中でそんな大声出さないでよ。」
水橋パルスィは地上で「妬み屋」を営んでいる。
妬ましくもないのに、良くやっているものだ。
土蜘蛛「例のヤツは?」
橋姫「とりあえずマック入らない?」
土蜘蛛「オーケーオーケー、行こう。」
駅前のマックは、ランチタイムでありながら人はまばらであった。
不気味なピエロのロボットがメニューを聞いてくる。
橋姫「コーヒー」
土蜘蛛「カレーバーガーセット烏龍茶で。」
橋姫「あ、Mで。」
私たちは窓側の席に陣取り、雨が降り出した街を眺める。
黒く澱んだこの雨は工業地区である西ブロック特有の非自然現象「ダスト」。
一、二週間の内、一回か二回こういう日がある。今の幻想都市で一二を争うウザイベントだ。
浄化装置による「自然」への干渉による小さな副作用であったはずのダストだが、
その効力「マイナスへの働き」が力を強め始めてから人々はその雨に触れる事は無くなった。
橋姫「ああ、降って来ちゃった。」
土蜘蛛「水橋水橋、設計図設計図。」
橋姫「はいよはいよ、えーと・・・はい、これ。」
カンダタ橋。その設計図である。
天まで届くそれは私の最後の”あがき”だった。
橋姫「言っとくけど、ホントにアンタのカルマ・ナノチューブ無しでは出来ない設計だから。」
土蜘蛛「凄い・・・」
橋姫「アンタの罪深さは本当に妬ましくないわ。」
土蜘蛛「アンタの才能は本当に妬ましいよ!」
橋姫「世辞はいらないわ。」
土蜘蛛「これで行けるのかぁ。」
橋姫「そう、ね。」
橋姫「妬ましくないわ・・・。」
パルスィはコーヒーをちょびちょび飲みながら言った。
最近はコイツも、妬む物が少なくてつまらないと嘆いていたから、きっとこの社会に呟いているんだろう。
依り代を失う事が、私たち妖怪にとっても大変な事だとは分かっていながら、だ。
土蜘蛛「そんな事言ってると可逆とかいうヤツが起こるわよ?」
橋姫「自分の能力に押し潰されるっていう、アレ?」
土蜘蛛「そういう症例を、最近ちょくちょく聞く。」
橋姫「ふーん・・・。」
橋姫「でも・・・」
土蜘蛛「?」
橋姫「こんな世の中生きてても、どうなるのよ。」
土蜘蛛「!?」
橋姫「別に、生きる意味無いんじゃないの?」
土蜘蛛「パルスィ・・・」
橋姫「まぁ、死ねとも言ってないし死ぬとも言ってないけど。」
土蜘蛛「・・・」
橋姫「・・・帰るね。私。」
土蜘蛛「・・・今日はありがとう。」
橋姫「いいのよ。じゃあね。」
コーヒーを半分残したまま、パルスィは店を出ていった。
私は一人窓の外を見ながら、すっかり冷えたポテトに手を付ける。
土蜘蛛「・・・意味か。」
土蜘蛛「はっ。」
土蜘蛛「知らん。」
その時だった。駅前に見知った顔を見つけたのである。
私はそこへ行く事も出来るし、行かなくても良かった。知り合いと言っても、随分昔の友達だ。
幻想都市で面倒を起こしても、本当にただ面倒なだけだ、なんて言われて。
塞ぎこんだ精神は、また周囲に感染して希望の種を蝕むだろう。
私は何故妖精に声をかけるのか。
頼んだ食べ物は食べずに店を出る。
理由が必要なのは心の中だけで十分である。
少なくともこの世界では、因果など邪魔なだけなのだから。
土蜘蛛「意味なんて、知らない。」
土蜘蛛「知らないわよ。そんなの。」
土蜘蛛「清浄な川をご覧。」
土蜘蛛「意味なんて無いでしょ?」
これはまずい。大気にもう十分穢れが溜まったようである。
世界が浄化を望んでいるのだ。まさに週刊降雨。
土蜘蛛「ダスト・・・」
土蜘蛛「病んでる病んでる。困ったもんだねぇ。」
人工物しか無いこの街は、もう汚す価値もない。
土蜘蛛「ぷっ・・・」
土蜘蛛「汚す価値って・・・どんな価値だよ、ぶーっ、くすくす!」
橋姫「うわー、何か一人で笑ってるよ。」
斜め後ろ後方から声がした。振り返ると死んだような目付きの少女が若干引き気味に立っている。
橋姫「マジ引き・・・」
土蜘蛛「水橋ぃ!」
橋姫「ちょ、街中でそんな大声出さないでよ。」
水橋パルスィは地上で「妬み屋」を営んでいる。
妬ましくもないのに、良くやっているものだ。
土蜘蛛「例のヤツは?」
橋姫「とりあえずマック入らない?」
土蜘蛛「オーケーオーケー、行こう。」
駅前のマックは、ランチタイムでありながら人はまばらであった。
不気味なピエロのロボットがメニューを聞いてくる。
橋姫「コーヒー」
土蜘蛛「カレーバーガーセット烏龍茶で。」
橋姫「あ、Mで。」
私たちは窓側の席に陣取り、雨が降り出した街を眺める。
黒く澱んだこの雨は工業地区である西ブロック特有の非自然現象「ダスト」。
一、二週間の内、一回か二回こういう日がある。今の幻想都市で一二を争うウザイベントだ。
浄化装置による「自然」への干渉による小さな副作用であったはずのダストだが、
その効力「マイナスへの働き」が力を強め始めてから人々はその雨に触れる事は無くなった。
橋姫「ああ、降って来ちゃった。」
土蜘蛛「水橋水橋、設計図設計図。」
橋姫「はいよはいよ、えーと・・・はい、これ。」
カンダタ橋。その設計図である。
天まで届くそれは私の最後の”あがき”だった。
橋姫「言っとくけど、ホントにアンタのカルマ・ナノチューブ無しでは出来ない設計だから。」
土蜘蛛「凄い・・・」
橋姫「アンタの罪深さは本当に妬ましくないわ。」
土蜘蛛「アンタの才能は本当に妬ましいよ!」
橋姫「世辞はいらないわ。」
土蜘蛛「これで行けるのかぁ。」
橋姫「そう、ね。」
橋姫「妬ましくないわ・・・。」
パルスィはコーヒーをちょびちょび飲みながら言った。
最近はコイツも、妬む物が少なくてつまらないと嘆いていたから、きっとこの社会に呟いているんだろう。
依り代を失う事が、私たち妖怪にとっても大変な事だとは分かっていながら、だ。
土蜘蛛「そんな事言ってると可逆とかいうヤツが起こるわよ?」
橋姫「自分の能力に押し潰されるっていう、アレ?」
土蜘蛛「そういう症例を、最近ちょくちょく聞く。」
橋姫「ふーん・・・。」
橋姫「でも・・・」
土蜘蛛「?」
橋姫「こんな世の中生きてても、どうなるのよ。」
土蜘蛛「!?」
橋姫「別に、生きる意味無いんじゃないの?」
土蜘蛛「パルスィ・・・」
橋姫「まぁ、死ねとも言ってないし死ぬとも言ってないけど。」
土蜘蛛「・・・」
橋姫「・・・帰るね。私。」
土蜘蛛「・・・今日はありがとう。」
橋姫「いいのよ。じゃあね。」
コーヒーを半分残したまま、パルスィは店を出ていった。
私は一人窓の外を見ながら、すっかり冷えたポテトに手を付ける。
土蜘蛛「・・・意味か。」
土蜘蛛「はっ。」
土蜘蛛「知らん。」
その時だった。駅前に見知った顔を見つけたのである。
私はそこへ行く事も出来るし、行かなくても良かった。知り合いと言っても、随分昔の友達だ。
幻想都市で面倒を起こしても、本当にただ面倒なだけだ、なんて言われて。
塞ぎこんだ精神は、また周囲に感染して希望の種を蝕むだろう。
私は何故妖精に声をかけるのか。
頼んだ食べ物は食べずに店を出る。
理由が必要なのは心の中だけで十分である。
少なくともこの世界では、因果など邪魔なだけなのだから。
土蜘蛛「意味なんて、知らない。」
土蜘蛛「知らないわよ。そんなの。」
土蜘蛛「清浄な川をご覧。」
土蜘蛛「意味なんて無いでしょ?」
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